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インターバル(Short)の有効性

前回はVO2max相当パワーである
「Peak Power Output(PPO)」
とその求め方をご紹介いたしました。

テストによりPPOが判明し、VO2maxを基準とした強度設定をが可能となっとことから、今回からはより具体的なインターバル(IT)メニュー作成の手順について持論を述べていきます。

なぜVO2max向上にはインターバルなのか?
についてはこちら

Long ITとShort


自転車競技(ロードバイク) におけるインターバルには様々な形式がありますが、VO2max向上を目的としたものは大きく2種類に分けられます。
まずはこれらの違いについて明らかにする必要があるでしょう。

一般的に"ワークセットの時間が60秒以下"のものは「Short intervals(Short IT)」に分類されます。
30-30sec,60-30secといった定番メニューがこれに該当し、通常はレストも60秒以下です。
また合計ワーク時間、>90%VO2max滞在時間(T at VO2max)を確保するために10-30回という多量のセット数で構成されます。

ワーク時間が短いことから設定強度を高める傾向にあり、100%VO2maxパワー以上(100%PPO)で行わる事がほとんどです。

対象的に"ワークセットの時間が90秒を超える"メニューは「Long intervals(Long IT)」と呼ばれ、ワーク時間を2-5分とするのが一般的です。レストも同様に数分単位で設けます。
いくら休みを挟むとはいえ、PPOを超えるパワーを数分に渡り繰り返し出力するのは困難を極めるため、100%PPO以上の強度に設定することはあまりありません。

さて、一見これらは強度と時間以外に差がないように思えますが、実は目には見えない違いがあります。
VO2max向上をターゲットとしている点は同じですが、運動時のエネルギー産生システムの動員割合・血中乳酸濃度の動態などが異なり、結果に至るまでの機序も、得られる適応も微妙に違うのです。

それぞれの特性を理解していれば、自身の長所をより伸ばすor弱点を改善する、というように望んだ適応を最大限引き出すためのメニュー作成を通してより効果的なトレーニングが可能になります。

そのためには各々のインターバルについて隅々まで詳しく解説していかねばなりません。

しかし...書いているうちに一回では解説不可能と悟りました...ごめんなさい。
得られる生理学適応の違いや具体的なメニュー作りに言及するのは次回以降として、まずはShort ITの有効性を明確に示さなければなりません。
何卒お付き合いください。

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