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6. フランス・オペラの舞台装置製作者。

あまりフランス・オペラの専門的な話はしたくないのです。
そんなことができるほどの知識があるなら論文にしたい。ですが、当分論文にもしないであろう本とかは紹介して、どんどんフランス・オペラについて日本でも研究されるように貢献したいという気持ちがあり、少しはネタにします笑

19世紀に活躍した舞台装置家の伝記本

 次の本は、昨年パリに行った時に本屋でたまたま見つけた本です。舞台美術の研究はパリから帰国して本格的に着手したので、この本で取り上げられている人がどういう人なのかも分かっていませんでした。ですが、立ち読みでザーッと見て「グラントペラの装飾家って書いてあるし、いろんなオペラの模型写真載ってるし(文字はあまりすぐに読めなかった)、買っておこうか」という直感で購入しました。

2008年刊。書誌情報読めばわかるのですが、ヴェルディの《アイーダ》や、グノーの《ファウスト》とか、今も聞いたことのある当時の数々のオペラの装置画を描いていたEdouard  Desplechinという舞台装置画家を取り上げた本です。前書きには19 世紀のロマン派時代に最も名声を得た劇場とオペラの装飾画家、と紹介されています。一応時系列でその功績を述べている様子なので、伝記なのかな。1861年の《タンホイザー》オペラ座上演なんてのも担当していたりしまして…。

いやあ、珍しい本ですよ…。とくにグラントペラの装置とかだとソロメとかシセリが筆頭に出てくるでしょうね。それよりもというと。結構重要な方です。

昨年の発表や論文で、私が19世紀後半の舞台装置画家の年表を先行研究から洗い出して図にしたのですが、その作成過程でこの人もかなり出てきています。
図を作っている時に、「あれこの名前、あの本に…?」と、後からつながりました。(早めに本読め)そこで気がつくまでは、「この人の名前読みにくいなあ」という漠然とした記憶で覚えていました。といっても今もほぼ積読です。絶対大事なんだけど。

この時代はいくつか舞台装置を作るためのアトリエがあり、そこに画家たちも弟子入りしたりし、アトリエ単位で各劇場に舞台装置を製作・提供していたようです。その関係図を書いたのが去年のハイライト(それだけじゃないですが)

当時の舞台装置家のことかなんとなく網羅できる大事な参考文献

なお参考にしたのが下記のNicole WIldの著書が主です。是非ご覧になってください。普段オペラについては歌手や作曲家に焦点があてられがちですが、これは全く異なる視点から研究したものなので、なかなか楽しいです。笑

需要あるかわからないけど

いやー、こんな書籍を日本語で紹介している文はどこにもないんですよ(笑)需要ないわけではないと思うんですがね…。これから出るといいですね。これらの本は大学のごく一部の図書館にあったりなかったり。もちろん買うと高いです笑。自分の大学にはなかったので、私は紹介状経由で閲覧しました。研究発表や論文でも引用したり参考文献でも既に紹介しているので、こちらでも紹介してもいいかなと思い紹介しました。でもこれ書いている間に自分がもっと研究したくなってきた。でもわたしが研究するものは今他にあるので…ネタとして持っておこうかな。

本1冊でも確認するのは大変ですよね。まだまだ私も頑張ろう。

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