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「大人になっても戻りたい場所」 NPO法人 こどもば ・ 横山 誠

OPEN MAGAZINE "Interview"では、「場づくり」に焦点をあてて、その領域を担う人物にインタビューを行うことで、未来へのヒントを探ります。

今回は、子どものための場づくりを通じて顔の見えるまちづくりを行う NPO法人・こどもば。

近年のライフスタイルの多様化、地域社会の繋がりの希薄化により、子どもたちが地域で見守られながら「地域の中で育つ」という環境づくりが難しくなっています。そんな課題感を持ち、子どものための「場づくり」を行っている団体が NPO法人・こどもば です。

本取材では、NPO法人・こどもばの代表を務める横山さんの「これまで」や、こどもばの「これから」についてもお話いただきました。

子どもの声を第一に 

- - こどもばの設立に至ったきかっけについて教えてください。

横山さん:僕が保育士をしていた頃、卒園した子どもたちがどう過ごしているか気になっていて。親の帰宅が遅くて1人で留守番している、なんて子もいました。保育園や学童保育といわれる「保育サービス」とは別に、地域の人たちで子どもたちを見守る「地域子ども支援」が大切であると思ったんです。ボランティアベースの取り組みではありますが、「どう考えても誰かがやるべき」だと思って。

- -なるほど。では、活動拠点はどのように決められたのでしょうか。

横山さん:僕は50年以上、目黒区内で育ってきたので、活動拠点も目黒区にしようと思いました。そこでまず、地域のことをより深く知ろうと思い、目黒区の非常勤職員として、区立児童館で2年程働きました。その間に運良く同じ課題感を持った仲間と出会うこともできて、一緒にこどもばの原点となるボランティア団体を立ち上げたんです。

「子どもの居場所づくり」という目的ではありましたが、具体的にどのようにして取り組んでいくかは決まっていなくて。ただ、居場所づくりと言っても、逃げ場ではなくて、一人一人が生き生きと輝くような場所をつくる必要があったので、僕らは常に子どもの声を第一にモノゴトを考えるようにしていました。

多世代の交流の場

- - では、こどもばの取り組み「子ども食堂」について教えてください。

横山さん:子ども食堂は「誰もがホッとできる、子どものための居場所」です。
と言っても、だたお腹を満たすための食場ではなく「ご飯はひとりで食べるより、みんなで食べた方が楽しいよね」という純粋な想いから生まれた場なんです。

子ども食堂は上目黒住区センター中央町社会教育館の2か所で、月3回開催しています。開催前には、近隣の学校や児童館などにチラシを配布し周知をして、多くの子どもたちに知ってもらえるようにしています。学校も違えば学年も異なる子たちが集まり、学生から大人のボランティアも参加するので、現場では様々な世代が入り混じる"多世代交流の場"が生まれています。

食をきっかけにして、遊んだり、ただおしゃべりをしたり。誰かと一緒にいることの安心感だったり、純粋な楽しさを味わってもらえたら嬉しいです。子ども食堂がその子にとって、一つの居場所になればと願っています。

- - 子ども食堂は「子どもが安心して自分を出せる場」だと思いました。住んでる地域でこのような取り組みがあると、親御さん的にも大変助かりますね。

横山さん:現場では親御さん同士も雑談をしたり、息抜きになっているようです。子育てについて相談しあったりと、"情報交換の場"としても機能しているようで。

また、目黒区にはちょっと"いいイメージ"があるからか、経済的に困っている家庭がマイノリティになってしまいがちなんです。「うちも大変だよ」、「お互い大変だね」と言い合える関係性ができずらく、困っていることを言い出せない、助けを求めづらい、なんて陥るケースもなきにしもあらずで。

子ども食堂は、大人も子どももありのままの自分でいられて、リラックスできて、「なんか楽しかったな、また来たいな」と思ってもらえる場を目指したいと思っています。

拠点を持たず、手を取り合う

- - 最後に、こどもばとしての展望についてを教えてください。

横山さん:この活動の"関係人口"を増やしていきたいと思っています。
子どもたちを支援していくには、地域の方の協力や、子ども支援の関連機関・組織との連携が必要不可欠です。僕らは物理的な拠点を持っていませんが、その代わりに"多様な関わり方"ができるというメリットがあると思っています。これからも、多方面からお力をお借りしつつ、できることの幅を増やしていきたいと思います。

- - 私たちもOPEN Magazineを立ち上げて以降 、外に出る取り組みを積極的に行なってきました。"関わりしろ"を増やすことで、その先に新たな繋がりが生まれたりしますよね。

横山さん:子育てに関しても同様です。その子に対しての"関わりしろ"を増やしてあげることで、その子はより豊かに育ちます。
街に関しても、その地で暮らし人々で"顔の見える関係性"を増やすことを目指し、子どもが地域でのびのびと育っていくことのできる環境をつくり、見守り、ときにはサポートしていくという、という意識を持つことが大事だと思っています。大人になった時にでも、またこの地域に戻ってきたいと思ってもらえる場所を私たちはつくりたいです。



NPO法人 こどもば

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