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岩手県の民俗学(胆沢の民話)

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岩手県の胆沢という地域に伝わる民話や伝説を紹介しています。 民俗学的に価値のあるものだと思うので、目にとまった人の記憶に、少しでも残って伝わっていけばいいなと思います。
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2021年8月の記事一覧

杉山になった田圃【岩手の伝説⑪】

杉山になった田圃【岩手の伝説⑪】

参考文献「いさわの民話と伝説」 編:胆沢町公民館

※田圃・・・たんぼ。

昔、新里の宮の下という所に、若い夫婦が住んでおりました。

もう近所では田植えを始める話がポツポツ語られているのに、その家では未だ田掻きも始めておりませんでした。

※田掻き・・・たかき。田んぼに水を張り、土を細かく砕き、丁寧に掻き混ぜ、田んぼの表面を均平にする作業。昔は馬や牛に鍬(くわ)を引かせた。

それには色々訳があ

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愛宕盛りの由来【岩手の伝説⑩】

愛宕盛りの由来【岩手の伝説⑩】

参考文献「いさわの民話と伝説」 編:胆沢町公民館

昔、秋田に三吉という超人的な大力(だいりき)の男がありました。

この三吉の大力にまつわる物語が、秋田、岩手、宮城に沢山残されて、今なお語り継がれていますが、ここに申し上げようとする「愛宕盛りの由来」もその一つで、我が胆沢町(現胆沢区)としては唯一のものでもあります。

三吉は後日「秋田三吉」の愛称で呼ばれることになりますが、その秋田三吉が北上川

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