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エジソンとニュートンから見る中学受験のロールモデル

中学受験の進学塾に勤務していた頃、エジソンの伝記を課題図書として、内容を授業で問うという仕事をしていました。

エジソンは疑問に思った事は何でも問わずにはいられないという性分で、学校の先生を質問攻めにして、学校の先生はもてあまし、この子は低能児に違いないと小学校中退を余儀なくされました。

エジソンの母が元々、中学校の先生をしていたため、エジソンを教育しました。父が牧師をしていたために厳格で、くだらない小説などを読ませるな、と言っていたそうですが、母は文学の重要性がわかっていたため、スコットの「アイヴァンホー」などを読ませたそうです。読書も1冊読んだら感想を書かせて次に行くと言う指導法でした。

その中で注目したいのは、読書リストの中に、ニュートンの「プリンキピア」があったことです。ニュートンはリンゴが木から落ちる姿を見て万有引力の法則を発見したことで有名ですが、同じ頃1年半で三大発見をしたのです。

プリズムを通る光で7色のスペクトルに分かれることや微分法、積分法を生み出したことです。その光学研究を使って説明したのが「プリンキピア」であったと言われています。

大学生の頃に「プリンキピア」の実物を見る機会があったのですが、ほとんどが難解な数式の羅列で全く理解できませんでした。それよりも、これを10歳か12歳の少年が読みこなしていたという方が驚きでした。

学校の先生がエジソンを持て余すのも当然と言えるでしょう。これほどの天才性を少年の頃から発揮していたのですから。

ここに学習の本質があります。エジソンに文学と物理学の科目の差異など意識になかったでしょう。国語ならやるけれど理科はやらない、といった事はなかったはずです。知的に面白そうな事は分野に関係なく夢中になって学習していたはずです。

知性を高度に高めていく向上心に優れていたので、自主的に際限なく向上していったのでしょう。そのような才能に気づいた母親も優れた教育者であったと言えるでしょう。

中学受験で時々出題される作品に「独学のすすめ」(加藤秀俊著、ちくま文庫)というものがあります。学習の本質は独学にあり、歴史上の偉人は独学で大成していたのであり独学ができないものが学校に行くのだといった趣旨のことが書かれています。

子供や若者は元来が好奇心の塊である。子供の好奇心は非常にしばしば、おさえつけられる。

親が子供の好奇心につきあえず否定的にあしらったらせっかくの好奇心も萎えてしまう。学校というのが、それに輪をかけて好奇心を圧殺する、と言うのです。

ニュートンは晩年、自分の一生は、海岸の砂浜で貝殻や小石を拾って遊んでいる子供のようなものだったと述懐しています。

ニュートンやエジソンのようにどうやったら知的に高度に好奇心と向上心を持ってやってくれるか。主体性と自律性を持ってやってくれるか。私が日々考えている中学受験のテーマです。

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