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コアラのマーチ

コアラのマーチ

夜中、目が覚めると隣に眠っていたはずの君がいない。トイレにでも行ったかなと思い、うとうとしていても帰ってこない。心配になって探しに行く。

また、眠れないのかな……

リビングの方に行くと、真っ暗な部屋で映画を見ている君を見つけた。眠れないの?と聞くとうなずく。

寝転んでごらんと言うと聞き分けの良い女の子のように、すっと寝転がる。僕は君の足元に廻り、そっと足の裏をマッサージしていく。そうするとた

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眠る睡蓮(1)

眠る睡蓮(1)

 芥子色の帽子を目元まで隠すように深くかぶった女性が、神社の石積みの階段を上ってくるのが見えた。僕のいるところから百段ぐらい下だろうか。はあはあという息遣いが聞こえてくる。脇に据えられた手すりを握って上がって来ている。歳は僕と同じ二十代前半のようにも見えるし、もっと年上のようにも見えた。手足のすらりと長い細身で、それは病的なものを感じさせる細さだった。
 僕は神社の長い石段の中段の踊り場の脇にある

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