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セミナー企画とファシリテーションのコツ5:「内容と構成を考える②(手法と時間配分)」

こんにちは。大木浩士と申します。
これまで1000回以上、セミナーやトークイベントなどを企画し、開催してきました。(具体例はこちら
この記事は、それらを自ら企画し開催してみたい。そう思われる方に向け、私が培ってきたセミナー企画のノウハウをお伝えする内容の第5回目になります。
※前回(第4回)の記事はこちらから。

今回のテーマは、「内容と構成を考える」の続きになります。

前回は、セミナー内容を考える際のヒントをご紹介させていただきました。
今回は、「手法」や「時間配分」の視点を交え、中身の具体化に取り組んでいきます。

「手法」を大きくわけると、以下のようになります。
①講師からのレクチャー
②講師から参加者への質問
③参加者の個人ワーク
④参加者同士のグループワーク(話し合いなど)
⑤全体共有
⑥質疑応答(参加者からの質問)

講師が一方的に話すだけのセミナーなら、「①講師からのレクチャー」のみになるでしょう。
もし、セミナーを参加型にしたい、体験型にしたい。そう思われるのなら、ぜひ②~⑥の手法も取り入れながら、中身や構成を考えてみてください。

参加型にした方が、参加者の満足度は高まる傾向にあります。
人は、話をしたり体験ができたりするなど、能動的な関わりがあった方が、楽しさを感じやすくなるからです。
また参加型にすることで、参加者同士の学びあいや気づきあいが起こりやすくなります。
そのため、仮に講師からの話に満足ができなかったとしても、「参加してよかった」との感想が持たれやすくなるのです。

参加型にする際、一般的なのは、個人ワークとグループワークの実施です。
ここでは少し難易度の高いグループワークに焦点を当て、場づくりや進め方のアイデアをご紹介します。

グループワークを行う際、1グループの人数は、4名前後が基本です。
机をあらかじめアイランド型(島型)に配置し、グループ単位で話し合いや作業を行っていきます。
(オンラインの場合は、ブレイクアウトルームなどを使うことになりますね)
参加者がどのグループに所属するかは、
・講師や主催者があらかじめ場所を決めておく。
・当日にくじ引き。
・参加者が自分で座る場所を決める。
などが考えられます。

グループで話し合いや作業を行う際は、「お題」が必要になります。
何らかの「問い」をテーマに話し合いを行う。
または、「特定の作業テーマ」に対して、メンバーで協力しあって作業に取り組む。
そのような「お題」をあらかじめ決める必要があります。

前回棚卸しした、講師から伝えたいメッセージ。
その中に、「みんなで意見を出し合うと面白そうなもの」は何かないでしょうか。

もしあるのなら、それをグループワークのお題に仮設定してみましょう。

お題はシンプルなものがベストです。
そして、多様な意見が出やすいもの。他者の意見が、気づきや共感につながりやすいもの。
そんなことを意識しながら、問いの言葉を選びます。

実は昨日、「学校の先生向けのファシリテーション講座」というものを開催していたのですが、その際に設定した問いは、
「生徒・児童が主体的になった瞬間。どんな時?」でした。
まずはこの問いをテーマにグループで話し合いを行い、その後、「主体性を引き出すために大切なこと」について、全体で意見交換を行いました。

グループでの問いは、難易度を下げて、楽しく話せるものを心がける。
気づきを深めたければ、「②講師から参加者への質問」や「⑤全体共有」を通して深めていく。
やや応用的かもしれませんが、そんな心がけも大切なポイントかと思います。

体験型にする際、「グループワーク」をその中心に据えるなら、前後の取り組みも大切になります。
最も一般的な流れは、
③参加者の個人ワーク
   ↓
④参加者同士のグループワーク(話し合いなど)
   ↓
⑤全体共有
です。

グループでの話し合いの前に、少し個人で考える時間を設けるようにする。
その時間があることで、話す材料が準備され、話し合いが活性化しやすくなります。

グループでの話し合いの後には、できるだけ全体共有の時間も設けます。
時間に余裕があれば、それぞれのグループから簡単な発表を行ってもらうとよいでしょう。
あまり時間がなかったとしても、2~3名でもよいので、グループでの話し合いを通して印象的だったことを共有してもらいます。
この時間を設けることで、場に和やかな空気がつくられます。また参加者同士の気づき合いが起こりやすくなります。

グループワークを行う際は、最初にグループ内で「アイスブレイク」を行うことも大切です。
アイスブレイクとは、「参加者の緊張状態(氷のように固まった状態)を壊す(ブレイクする)」ことを目的とした、短いワーク時間のことです。
アイスブレイクについては、次回、その具体的な内容をご紹介したいと思います。

さて、ここまでのお話を少し整理します。
セミナーの内容を考える。
その際、セミナーで伝えたい情報を、
「①講師からのレクチャー」だけで行うのか、
「②講師から参加者への質問」も交えてみるのか、
「③参加者の個人ワーク」を取り入れてみるか、
「④参加者同士のグループワーク(話し合いなど)」を行ったり、「⑤全体共有」などを取り入れることで、参加者が能動的に関わる時間を設けてみるのか。
「内容」と「手法」のかけ算を行いながら、大まかな流れをイメージしてみます。

セミナーの冒頭では、講師からの挨拶や開催主旨の説明などがあるとよいですね。
また、終了前には、少し「⑥質疑応答」の時間があってもよいと思います。

このような全体像のイメージを大まかに持つことができたら、下の図のように、その構成をあらためて文字に落とし整理してみるとよいでしょう。

セミナーの進行設計書例①

それができたら、次は「時間配分」の検討です。

個人作業を行う場合は、内容にもよりますが3~5分くらいは確保したいですね。
グループでの話し合いは、テーマにもよりますが、最低5~10分くらいは必要になると思います。
以前、話し合いの時間が3分間というセミナーに参加したのですが、話がほとんど深まらず消化不良感を覚えました。

少し判断が必要なのは、「全体共有」の進め方と時間配分です。
参加者全員から全体共有を行うと、どうしても長い時間が必要になります。
※例えば、1人1分×20名とすると、20分間が必要になります。
そのため、「グループの代表からの全体共有」という手法がよく用いられます。
もし時間がなければ、数名またはいくつかのグループからの共有ということになるでしょう。
時間に余裕がまったくないのなら、全体共有の時間を設けないという選択をすることもあります。
これらを、全体の時間配分とともに検討しながら選ぶことになります。

下の画像は、時間配分を加えた修正版です。

セミナーの進行設計書例②

セミナーの開催時間を「1時間30分」と想定していたのですが、やりたいことの時間を足し上げていったら、5分間のオーバーとなってしまいました。
優先順位を考え、どの時間を削るのか。
または、開催時間を少し延長してみるのか。
このような検討や事前準備を、私はセミナー企画のたびに行っています。

長時間のセミナーとなる場合、進行時間をわかりやすくするため、下の図のようなエクセルでの進行表をつくることもあります。

セミナーのタイムスケジュール例

個人的には、セミナーやワークショップを行う際、一番難しいのが「当日の時間管理」だと思っています。
内容を参加型にすると、どうしても時間が足りなくなってしまう。
そのため、少し余裕をもった時間配分を心がけることも、セミナー企画の大切なコツの1つだと考えています。

セミナー企画のコツ。
次のステップは「アイスブレイクのコツ」になります。
ご興味ございましたら、ぜひご覧ください。

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