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ソジャーナ・トゥルース

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19世紀末にNY州で生まれた奴隷解放運動家の伝記。天啓を受け「旅する真実の子」と名乗ったアメリカのジャンヌ・ダルク、ソジャーナ。
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記事一覧

ソジャーナ・トゥルース 前書き(電子版)

 私が最初手に入れたペンシルバニア大学の電子版には、前書きがついていましたが、のちに届い…

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ソジャーナ・トゥルース 1略歴

 イザベラにはきょうだいが十人はいたが、正確な数はわからない。イザベラは読み書きを知らず…

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ソジャーナ・トゥルース 2生い立ちと両親

 私の先祖は九州の農民でした。明治生まれの曾祖母は名前も顔もわかりません。農作業や養蚕な…

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ソジャーナ・トゥルース 3住まい

 奴隷制を擁護する意見として、「黒人は自活できないのだから、私たちが庇護して衣食住を保証…

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ソジャーナ・トゥルース 4イザベラの兄姉

 東南アジアのスラムで活動するボランティアの本を読んでいて、「自分の子が何人いるのかわか…

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ソジャーナ・トゥルース 5神の教え

 昔チョムスキーにインタビューしたとき、思い切って神の存在について聞いてみました(チョム…

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ソジャーナ・トゥルース 6競売

『アンクルトムの小屋』も奴隷の生活を描いた傑作です。そこで一番衝撃的だったのは、奴隷が「なんとか自由の身になって働いてお金をため、自分の家族を買い戻して一緒に暮らす」ことを夢見る場面です。「そんなバカな話があるもんか」と、読んでいるだけで涙がこぼれました。 __________________________________  チャールズ・アーディンバーグの死後、ついに「奴隷と牛馬などの家畜」が競売人の槌のもとに置かれて主人が変わる、恐ろしい競売の日がやってきた。イザベラは

ソジャーナ・トゥルース 7マウマウ・ベットの死

 アメリカの社会保障制度が始まったのは1935年。連邦政府が運営する医療保険、メディケア…

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ソジャーナ・トゥルース 8バウムフリーの晩年

 赤ん坊が6か月くらいだったとして、体重およそ8キロ。それをベビーカーでもおんぶでも抱っ…

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ソジャーナ・トゥルース 9バウムフリーの末路

 映画『風と共に去りぬ』で黒人として初めてアカデミー賞を受賞(助演女優賞)したハティ・マ…

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ソジャーナ・トゥルース 10試練の始まり

 1820年のアメリカの一世帯当たりの収入は$1、149。2019年は$65,112(Go…

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ソジャーナ・トゥルース 11さらなる試練

 アメリカの通貨がドルと制定されたのは1792年。イザベラが少女のころは、それまで使われ…

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ソジャーナ・トゥルース 12新しい主人と夫人

 たぶんこの作品で一番奇怪な章です。どうにももどかしい書き方がされているものの、イザベラ…

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ソジャーナ・トゥルース 13イザベラの結婚

 イザベラと四人の子をもうけたわりに、影のうすいトーマスさん。結婚しても配偶者が売られたらまた結婚とは、まったくわけがわかりません。産めよ増やせよ、でも一応人間だから結婚はせよ。相手は選べないけど。 ________________________________  この事件のあと、イザベラは同じ家で働くトーマスという奴隷と結婚した。彼はその前に二度結婚していたが、妻の一人ーーひょっとすると二人かもしれないーーは夫から引き離され、遠方に売られていた。彼は妻が売られるやいな