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私の好きな短歌 #2 | 制服は未来のサイズ


大学卒業後ずっと、ゆるゆるフリーランスとして暮らしている私がいま、主に仕事をさせて頂いているのは、横浜市青葉区を拠点にした、ローカルメディアの編集部。ウェブメディアと同じ名前、「森ノオト」というNPOが運営しています。

森ノオトの書き手は、地域の子育て世代のお母さんたちを中心とした市民ライター。毎年、森ノオトではライター養成講座を開き、自分らしく記事を書くための"いろは"を丁寧に伝えています。

純度100%の市民ライターの作るメディアということに加えて、とっても面白いなぁと思っているのは、このローカルメディアが「寄付型ローカルメディア」であること。

書きたいことを、書きたい人が、書きたいようにーーー。

あくまで自分たちの裁量で好きなことを発信していくことを目指し、一切の広告を取らずに運営しているのです。広告収入ありきのメディア花盛りの中でこの断固とした態度、かっこいいなと思っています。

広告を断つということはつまり、余計な「忖度」「配慮」「ご機嫌伺い…」といったことが起きにくい、ということ。と同時に、その人がその記事を書く意味、みたいなことが、(たぶん本人は意識せずとも)力強く記事の柱になっているのもすごく面白い。

横浜市青葉区周辺にお住まいの方がいらしたら(もちろん他の地域の方も)、ぜひ読んで欲しいなぁ。そして寄付もぜひお願いします♡


…て、全然短歌の話からずれちゃった。
話を戻します。

私も去年から、いくつか森ノオトに記事を書かせてもらっていてそれぞれに思い入れがあるのですが、中でも印象深かったのが、こちらのインタビュー。

横浜市旭区の制服・学用品専門のリユースショップ「Pass」。次の使い手へ誠実にパスするための母親目線の運営が光るお店です。その始まりの物語をひもとうちに、店主の日暮晴美さんには思いもよらない過去があることが分かって…。日暮さんが踏み出した新しい一歩がつくる、希望に満ちたPassの物語をどうぞ。

想像もしていなかった過去の話を伺うことになったインタビューをしながら、私の頭の中には俵万智さんの歌、「制服は未来のサイズ入学のどの子もどの子も未来着ている」が浮かんでいて……日暮さんに、こんな短歌があるんですよ、と帰り際にお伝えしたのでした。

制服のリユースってつまり、誰かの「過去になった未来」をまた「次の誰かの未来」へと繋ぐこと、なんだろうなぁとしみじみ。日暮さんは子どもの未来を売り続けているんだな、とふと思ったのです。子どもたちの未来が循環していく様子も、美しいなぁ。


そして私はこうして、ローカルメディアの原稿の中に短歌を忍ばせる、ということにはじめて成功したのでした(笑)。チャンスがあれば、またいつの日にか!

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