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DDIは救世主となるか

現代の企業における「イノベーション」とは、新たな技術革新を前提とするものが多く、膨大なコストと先進性が必要とされています。しかし、そのようなプロダクトやサービスは、日進月歩で進化する現代おいて、より優れた類似品に置き換わる過程を繰り返し、コモディティ化されていきます。そういった「無駄の繰り返し」も、今後数年でリセットされ、新たな価値観を求められる時代が到来するようにも感じます。

これからの未来を築くZ世代の思想やライフスタイルを見ても、「シンプルでより良いプロダクトやサービスを永く愛用する」といった「世の中の平坦化」を支持していく傾向が見えはじめているように感じます。「昭和」の名札を付けた企業戦士が、消費が美徳だと感じた価値観とは真逆の価値がマジョリティとなる日に備え、若い起業家や柔軟発想のベテランも思考をシフトしているように感じます。

ユーザー中心デザインやデザイン思考など、ビジネスの新しい切り口を模索し、ソリューションを行ってきた日本企業も、勢いのあるベンチャーを日々吸収し続ける「GAFA」などのイノベーションに張り合うことに少々限界を感じているのではないでしょうか?また、チマチマしたスペックの優劣を競い、小さな「π(パイ)」を取り合うことにも未来はないでしょう。

デザイン・ドリブン・イノベーション(DDI)とは、高度な技術に頼ることなく、自分たちのプロダクトやサービスに「共感される意味」を持たせることでイノベーションを起こす考え方です。普遍的な価値を創造し、値引きなしでユーザーが喜ぶ概念を創出することを目的としています。技術解決のイノベーションが「どうやって?」に対し、デザイン・ドリブン・イノベーションは「なぜ?」と問いかけるのです。

例えば、ジョギングは元来、危険から回避する行為でした。動物学的にみても、走ることは、餌として食べられるリスクヘッジとして寿命を削って逃げています。しかし、人にとってのジョギングは、危険から回避する行為から健康や精神的な楽しみに変化しています。関連する産業も多く創出され、今後も一定層の支持を得ることでしょう。

また、ロウソクは、電気が無い時代に照明として使用されていました。現在は、信仰やお祝い、アロマキャンドルなどの癒しに使用されるなど、精神的や安らぎや拠り所を求めるアイテムとして愛好されています。

日本には古くから「禅・気・霊」などの形のないものに意味や思いを込めることを重んじ、人々にも広く浸透していた時代がありました。また、俳句や短歌を通じ、彩り豊かな四季を愛でる情緒豊かな感性も持ち合わせていました。

現代人は、それらをどこに置き忘れてしまったのでしょうか?まずは、若い世代を理解しようとは思わず、聞き上手になってみてはどうでしょうか?デザイン・ドリブン・イノベーションを通して、既存のプロダクトやサービスに新たな意味を見出し、心地よい新しい時代の準備をはじめましょう。

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