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本と温泉の宿『松本本箱』に行ってきました

プレオープン中のホテル「松本本箱」に行ってきた。

同グループの「箱根本箱」が大好きで、2020年夏に松本に同じコンセプトの宿ができると聞いて以来、ずっと泊まるのを楽しみにしていた。

現在プレオープン中ということもあって少しだけ安く泊まれるし、GOTOもあるし、温泉旅行に良い季節ということもあり、今回1泊2日で訪れた。

着くまでの感想

「あずさ」は遅い。

やたら長い前置きとしての「ドーン食堂」および「しづか」

松本に着いたらまずはチェックイン前にランチを。向かった先は「ドーン食堂インド山」。

なぜ松本まで来てインド料理?と思われるかもしれないが、地元では有名なインド料理屋で、「松本でオススメの店ってどこ?」と聞くとなぜか名前が挙がる。楽しみにしていたのだが、行ってみるとクローズの看板が出ていた。

がっかり!

中から店主らしきインド人のおじさんが出てきたので事情を聞くと「腕を怪我して手術したので一ヶ月半休業中です」と。仕方がない。私たちより残念なのはお店の人の方だろう。店の前でもたついているとひっきりなしに地元の人らしき人がやってきて、同じように残念顔で去って行く。よほど人気の店なのだ。

ドーンさん(仮名)に近くに美味しいランチの店があるか尋ねると

「あー、私なら”しづか”に行きますねー」とのこと。

「しづか」は知らなかったが、美味しい店をやっている人の勧める店は美味しいに違いないので足を運ぶことにした。

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ドーン食堂から歩くこと5分。中はめっちゃ広い。そして人が多い。

私たちが入店した直後、なんとドーンさんとそのご家族が後から店にやって来た。

「ちゃんと来れたか気になって来ちゃいました…あ、これ、帰りに食べてください」

そう言ってドーンさんが差し出した袋の中にはたくさんのりんごが!

ドーンさん、めっちゃいい人……!


さて「しづか」にいるのにドーン食堂の話ばかりしていてもあれなので、「しづか」である。長野名物といえば「山賊焼」であり、「しづか」の名物も「山賊焼」らしかった。「山賊焼」って何よと思って調べてみると、にんにく醤油味の唐揚げのことらしい。は?唐揚げ?なんで山賊?…どうやら「鳥(とり)を揚げる(あげる)=取り上げる」から「山賊」なんだそうな。ダジャレとしてかなり無理があるだろうと思うが、昔の人がなんとか名物をこしらえようとしてひねり出したであろうそのワードセンス、嫌いじゃない。

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もちろん「山賊焼き」を注文。

見た目はなんの変哲も無い唐揚げ。かなりでかい。……なのだが、食べてみると、

う、うまい!

衣はバレリーナの足捌きのごとく軽やかでサクサク、中の肉は大海に沈む錨のごとく重みがあってジューシー。みりんなのか酒なのかビールなのか分からないけど、かすかな酒味が効いてる。

来た時にはものすごく大きく見えたのだが、見かけよりも食べ応えが軽いので、気づいたらあっという間に完食していた。

「しづか」は地元の人もよく来るお店らしく、ドーンさんはしょっちゅう知り合いに声をかけられていた。ドーンさんもドーン食堂も、きっと地元で愛されているんだろうな。

ドーンさん教えてくれてありがとう。

着いてからの感想

さて食事を済ませてからいよいよ「松本本箱」へ。

まず、レセプションはホテルの棟ではなく、歩いて3分ほどの蔵をリノベーションしたカフェ「おやきと、コーヒー」にある。

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チェックインするとウェルカムおやきとコーヒーがもらえるのだが、これがめちゃくちゃ美味しい。餡が多すぎるお菓子があまり得意じゃないのだが、餡が少なめ、皮がもっちもちで、ちょうどいい甘さで最高に美味しかった。

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この建物自体が素敵なので、泊まらずともここに来てずっと座っていたいくらいだ。

しばらくしてから本館へ。

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松本本箱の隣の敷地には、リノベーションした旅館「小柳」やブックカフェ「哲学と甘いもの」がある。まだオープンしていないが、シードル工場などもこれからできるみたい。全部の施設をひっくるめて「松本十帖」という名称らしい。

本箱のエントランス。

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どーん。

コンクリ打ちっ放しの壁、天井低め。赤の絨毯、暗い照明がなんとも艶っぽく、バルセロナで訪れたサルバドール・ダリの美術館を思い出した。

そして箱根本箱と同じく、床から天井を覆う一面の本棚。

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箱根本箱は、人文文芸が多めだったけど、こちらはデザインや写真集やカルチャー系の書籍が多い。小説が少ないのが残念。もう少し文芸も充実してほしい。

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広いメインダイニング。食事中もこんなに近くに本が並んでたら、ついつい食べながら手に取ってしまいそう。

いたるところに昔の温泉の大浴場の設備の名残があり、元の浴場のカランや浴槽が残っている。

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「大人本箱」。旧旅館の巨大な浴場を残した図書室。天井が鏡張りで本棚が二倍の大きさに見える。

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箱根本箱と同じく、お籠りスペースもある。ずっとここに篭って執筆していたい。

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お部屋はシンプルだけど落ち着く感じ。箱根本箱よりもコンクリ率が高くてマニッシュな感じ。

一番良かったのが客室付きの源泉掛け流しの露天風呂。箱根本箱よりも湯船が大きい。泉質も最高!

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私は4階の部屋だったので、昼は浅間山の景色、夜は街の夜景が楽しめ、ずっと入っていられる…と思った。

夜になってからの感想

食事はメインダイニング「365+2」で。

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個室も選べる。

お食事は長野の新鮮な野菜を使ったフレンチのコース。

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アミューズのおやきと餅、味噌を使ったシュー。

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味噌クランブルと野菜のマリネ。味噌クランブルが美味しい!

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メインは豚肩ロースの薪焼きグリル。

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一番美味しかったのはタルト・タタン。ホワイトチョコレートクリームとキャラメルソースが絶品。

これを食べるためにまた訪れたい。

また写真を撮り忘れてしまったが、廊下のアメニティコーナーには、長野のお菓子、アイスクリーム、おかきやせんべいなどが食べ放題で置かれている。コーヒーやカプチーノ、カフェラテは専用のタンブラー(お持ち帰り可)で飲み放題なのも嬉しい。ちょっと朝晩のご飯の量が成人男性には少なめかも…と思ったが、お腹が空いても小腹を満たせるので安心。

食後は外湯へ。部屋の露天風呂以外に「小柳の湯」という元は地域の公衆浴場だった場所を改築した浴場が一つあり、そちらも小さいながらもゆったり楽しめた。

惜しむらくはあまりにも温泉が気持ちよすぎ、ご飯を食べた後には眠くなってしまい本を一冊も読み切ることなく寝落ちしてしまったこと…。

気に入った本は購入できるし、棚にある本は全てお部屋に持って行って読める(雑誌は傷むため持ち込み不可)。

個人的には、箱根本箱の方がお籠りスペースも多く、ソファなども本を読みやすい作りだし、パーソナルスペースが守られている感じがして、純粋に読書三昧を楽しみたい方向きのように思う。松本本箱は部屋のお風呂や周辺施設を楽しみ、プラスアルファで読書、という印象を受けた。

朝になってからの感想

翌朝の朝食はお重で。クロワッサンとりんごパイが食べ放題。クロワッサンがかなり美味しい。お腹いっぱいじゃなかったら2個3個と食べたかもしれない。お土産に持って帰りたいというと、紙袋に入れてくれた。

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チェックアウト後は隣の「ホテル小柳」のセレクトショップでお買い物。ベーカリーが併設されていて、パンをお土産に買うこともできる。

まとめ

「箱根本箱」が大好きで、訪れる前はわざわざ松本まで行かなくてもいいかも?と思ったりもしたが、行ってみるとこちらはまたこちらなりの良さがあり、空間自体も広く、また「おやきと、コーヒー」ほか、近くにあるシードル工場やブックカフェ「哲学と甘いもの」など自由人が手がける周辺施設も多分に楽しめる。2泊3日ぐらいの旅程で、よりゆったりのんびり過ごしたい時にはまた長野まで足を伸ばして滞在したいなあと思った。

本と温泉が好きな方にはぜひ一度訪れてほしい宿だ。

おまけ

お昼は日本料理の「ヒカリヤヒガシ」でいただいた。

古い蔵を改築した建物で、お蕎麦もとても美味しく、前日の本箱でのディナーがフレンチだったので懐石にして正解だった。

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ありがとうございます。