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その一打に想いを込めて|カメラマンとめぐる尾道_第5回(市街地)

今回は全8回のシリーズ企画第5回
尾道にゆかりのあるプロカメラマンと、尾道市地域おこし協力隊が市内をめぐり、各地で撮影した場所やひとの情報、撮影について学んだ内容をinstagramnoteマガジンで発信します。

この企画の投稿や記事を見ながら、カメラ片手に尾道各地をめぐってみてくださいね(尾道への交通手段をまとめた記事はこちら)。

1. エリア・テーマ・講師のご紹介

第5回の舞台となるのは、市街地
この記事で言う広島県尾道市の「市街地」は、ガイドブックによく載っている商店街や、商店街と線路を挟んだ山側に広がる、千光寺などの寺社や個性豊かなお店並ぶ傾斜地のエリアを指しています。

全8回のうち、初回はカメラの基礎知識を学ぶ座学で、2回目以降は実践編として市内各地を撮影しながら撮影方法を学びます。各回研修のテーマを設けていますが、第5回のテーマはこちら(テーマの一覧)。

〈第5回の研修テーマ〉
ホワイトバランス

今回の講師は、広島県・岡山県などへの出張撮影サービス「旅する写真館」をされている大森崇史さん。東京から尾道に移住して島暮らしをされています。カメラマンとして活躍する傍ら、週末に各地でスパイスカレー屋さんもされています(見るだけでお腹がすくカレー専用インスタはこちら)。

2. カメラ研修

内容に入る前に、研修の大まかな流れを改めてご説明します。

まず「①全員で被写体を撮影」し、「②協力隊2名が自分の写真を複数枚選択」します。それから「③撮影意図と疑問点を発表して講師からフィードバック」を受け、それをもとに「④再撮影」し、最後に「⑤講師の撮影した写真を見て質疑応答」をします。

前提として、写真はInstagramとnoteで使う写真を想定して撮影しています。

2-1. 協力隊1人目(選んだ写真)

協1:「1枚目は指輪づくりのシーン。2枚目は顔も写るように撮影しました。3枚目は材料の物撮りです。明るく撮るより、渋みや暗さがあった方が職人感が出ると思ったので、ホワイトバランスの設定でケルビン*(※説明は後述)を高くして撮影しました。」

大森さん:「まず今日のテーマであるホワイトバランスは、明るさではなく”色味”の設定のことを言います。設定によって、青寄りな色や赤寄りな色の写真を撮ることができます。晴れモード、曇りモード、蛍光灯モード、白熱電球モードなど種類はさまざまで、撮影状況に合わせて設定すると、見た目に近い自然な色になります。」

晴天→晴れモード、白熱電球の店内→白熱電球モードなど状況に合わせると自然な色になる

大森さん:「先程おっしゃっていた”ケルビン”ですが、ホワイトバランスの設定のなかに晴れモードや曇りモードなどと並んで"ケルビン"という項目があります。太陽の温度を表す単位と同じ名前で、数値を高くすると赤寄りの写真、低くすると青寄りの写真が撮れます。

同じ椅子でも、左は暖かい印象、右は冷たい印象に見える

大森さん:「ホワイトバランスは出したいイメージによって変えます。赤だと懐かしい、暖かい、情熱。青だと落ち着いている、冷静、冷たい、といった印象になります。ケルビンを高く設定して(赤寄り)、暗く撮ると渋い職人という感じになりますよ。」

POINT
・ホワイトバランスは色味の設定
・ケルビンを高く(赤寄り)して暗く撮る=職人感
・ホワイトバランスは表現したいイメージに調整する

2-2. 協力隊2人目(選んだ写真)

協2:「1枚目は作業場の写真、2枚目は作業風景、3枚目は完成した指輪の写真です。ホワイトバランスの設定は、1枚目はオートで撮りました。太陽光で全体が白っぽく写ったので、2~3枚目はケルビンを変えました。低いと(青寄り)しっくりこなかったので、少しだけ高く(赤寄り)して撮っています。」

大森さん:「写真の色味を変えると印象が結構変わるので、できるだけホワイトバランスは統一して撮ったほうがいいですよ。職人感が出るのは少し赤寄りで暗く撮ったものですが、もう少し見た目に近い色で撮ると職人感が強すぎない、カジュアルで優しい印象になります。

大森さん:「ちなみに、ケルビンを低く設定(青寄り)して暗めに撮ると、ノスタルジックというよりも静かな感じになりますよ。」

Photo by Takashi Omori

大森さん:「ホワイトバランスを統一する、と言いましたが、自分の場合は撮影前に大体の方向性を決めています。青寄りで撮ろうとか、赤寄りで撮ろうとか。」

大森さん:「シチュエーション次第で変えざるを得ないときもあります。最終的に写真に統一感があることが大事なんです。だから明日、今日の撮影の続きを外で撮るとしたら、自分なら部屋の中と同じ雰囲気になるようにホワイトバランスを設定し直します。」

POINT
・ホワイトバランスは極力途中で変えない
・ケルビンを低く(青寄り)して暗く撮る=静寂感
・全体で統一感が出るようホワイトバランスを調整する

3. プロカメラマンが切り取った市街地

ここまで協力隊の写真とプロカメラマンからいただいたアドバイスをご紹介してきましたが、今度はプロが撮影した写真とコメントをご紹介します。

大森さん:「1枚目は、手元の指輪のアップ。手が汚れていて、作業している感が出ているなと思ったので撮影しました。手と指輪のアップで手が目立つようにして、若干暗めだけれど、ものがわかるように撮影しました。ホワイトバランスの設定は日陰モードにしています。」

大森さん:「2枚目も、職人感を出すために、全体的に暗めのトーンで撮影しました。」

大森さん:「3枚目は、集中している感じを撮るために横顔をアップにはせず撮影しました。逆光だからか少し白っぽくなってしまったので、もう少し赤めで渋めの方がよかったかもしれないです。」

4. 市街地で出会ったひとやもの

最後にあとがきとして、今回市街地で出会ったひとやものをご紹介します。

香(KOU)さん
広島市出身。大学卒業後、上京して貴金属装身具製作検定を取得。その後7~8年は制作をしていなかったが、めぐり合わせで現在は尾道で活動している。「香(KOU)」という名前でオーダーメイドアクセサリーの制作をする他、百貨店のPOPUPへの出展も行っている。

instagram @kou_pinkyring

指輪制作
「金槌で叩いて模様を入れるリングは、だいたい2号分小さくつくって叩いて大きくするんです」と簡単そうに語る香さん。しかし実際の制作は骨が折れる作業の連続だ。削って、熱して、磨いて、叩いて…。打ち方ひとつで、模様も出来上がりの印象もまるで変わるという。地道な工程を経て、感動の1個が出来上がるのだ。

曲英字刻印(まがりえいじこくいん)
指輪に文字を打ち込むときに使用する道具。先端に文字が掘られた凸部があり、それをハンマーで指輪に打ち込むことで文字が彫られる。打ち間違えれば、長い時間をかけてつくった指輪ごとやり直しという緊張の作業。

いかがでしたでしょうか。これからも尾道各地のさまざまなエリア情報と、カメラ講座の内容をご紹介していきます。よろしければフォローやいいね!をよろしくお願いします♪

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