私が女優になりたいと思った理由【エッセイ Vol.4】
「どうして女優になりたいと思ったの?」
と聞かれることはよくあるが、正直はっきりと思い立った理由は覚えていない。
初めて芸能事務所に所属したきっかけは中学3年生時に受けたオーディション。
私が応募したのではなく、母が勝手に雑誌の広告を見て応募したのである。学校から帰ってきたらテレビに釘付けだった私を見て、受かることを半信半疑で母が応募した。
運が良いことにオーディションに合格。高校入学後、現場でのお仕事や演技レッスンを受けるにつれてお芝居の苦しさと面白さにぎゅうぎゅうに揉みくちゃにされながらも、少しずつお芝居の魅力に取り憑かれていった。
芸能界に入る直接的なきっかけは、知らないうちに母が事務所のオーディションに応募していたことだが、元々私自身もこの世界への興味があった。
当時は幼かったのでお芝居そのものの本質はよくわかっていなかったからふわっと興味を持っているだけだったし、正直今でもわからないことがたくさんある。
だが唯一言えることは、幼い頃から本を読むのが好きだということ。
本の世界にどっぷりと浸かり、キャラクターの1人になった自分を空想するのが好きだったのである。幼い頃に学校の図書室や近所の区立図書館で読んだ児童書のタイトルは、今でもはっきりと覚えている。
寺村輝夫氏の『わかったさん』『こまったさん』『王さまシリーズ』『かいぞくポケット』、福永令三氏の『クレヨン王国』、草野たき氏の『ハッピーノート』、藤真知子氏の『まじょ子シリーズ』、早川真知子氏の『ユミのおしゃれノート』、茂市久美子氏の『つるばら村シリーズ』などなど…
個人的にはもっともっと挙げたいくらい!
今思うと、私が惹かれる物語の系統はどれもファンタジーだ。がっつりなファンタジーということでもない。
「主人公が日常生活でちょっと不思議な体験に出くわした」
というような物語が私は大好物なのだ。
私自身も道を歩いていて野良猫と目が合ったとき、野良猫から「あら、あなたは帰り道?私はこれから集会があるのよ」と声をかけられ、
私は「猫会議なのね。大変だねぇ、いってらっしゃい」と返した。
この会話はただの私の都合のいい解釈で成り立っているものかもしれないが(笑)
児童書は、まるで日常生活で起こりそうな親近感のあるファンタジー要素が多い。読んでいるといつの間にか物語の世界の中を飛び回っているかのようにぐっと引き込まれる。
今でも頭を休憩したい時は、本棚の中から児童書をそっと引っ張り出して私は旅をする。忙しない現実世界からちょっと離れて非日常を味わうことが私の癒やしなのだ。
少し話が逸れてしまったが、私は幼い頃から物語の世界に入り込むことが好きだったのである。
そして今では台本を読み、いただいた役のキャラクターになりきり作品の中へ入り込む。
幼い頃の児童書との出会いが女優のお仕事へ魅力を感じるきっかけになっていたのかもしれない。
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