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#建築 記事まとめ

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建築系の記事を収集してまとめるマガジン。主にハッシュタグ #建築 のついた記事などをチェックしています。
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2019年9月の記事一覧

Santa Maria Church /  Álvaro Siza Vieira #01

半年の留学生活が終わり、何か書き留めておかないとこぼれて落ちていってしまいそうだなと思い、それぞれ訪れた場所や、その時に考えたことなど書き留めていこうと思います。 ということで、ポルト編から。(できるだけ訪れた順番で。) 初めに訪れた建築は、Santa Maria Church / Álvaro Siza Vieira 最寄り駅のMarco de Canaveses駅から徒歩で30分ほど坂道を上ると現れる白い箱から端部を書き取ったような外観をした独特の建築。 初め

勝手に月評 新建築2019年9月号

今月号は,先月の集合住宅特集と比較すると大規模な作品が目立ちました.前半では開催を来年に控えた東京オリンピック関連施設が作品として取り上げられ,後半の作品群もエネルギーのある作品となっています.また,他の特徴としてゼネコンが実施(基本)設計から入り,そのまま施工を行うデザインビルド方式で建設された作品が多くなっています. 表紙にもなっている東京オリンピックのメインスタジアムである新国立競技場は,思い起こすと今開催されているラグビーワールドカップでこけら落としされるはずだった

建築の3次元デジタルアーカイブの未来はどこへ?─『旧都城市民会館』3DDAトークセッションレポート

菊竹建築設計事務所によって設計され,1966年に竣工した都城市民会館. 変わらない部分と社会の変化や技術の発展によって変わっていく設備などの部分を分け,屋根は部品化された部材を用いて,交換可能なものとして設計されたメタボリズムの思想が取り込まれた建築である. 鉄筋コンクリートの基壇の上に鉄骨屋根架構が載る特徴的な形態を持ち,まるで昆虫のような独特な姿が印象的だ. 旧都城市民会館の「残る部分」 竣工してすぐに掲載された建築専門誌『新建築』の解説で,菊竹氏は「残る部分」につ

「斜面の魔術師」建築家・井出共治が手掛けた斜面住宅の世界

斜面に沿って段々に建ってる集合住宅。たとえば、安藤忠雄の名作「六甲の集合住宅Ⅰ」(1983年)が頭に思い浮かぶ方も多いかと。斜面地を利用して段状に建設されたのが「斜面住宅」。 そんな「斜面住宅」を得意とし、そして「斜面の魔術師」という怪しげ(?)なニックネームをもつ建築家・井出共治(1940-2010)の存在を不勉強ながらはじめて知りました。 そんなわけで「斜面の魔術師」と呼ばれるほどの彼が手掛けた「斜面住宅」の世界を、ちょっとばかしのぞいてみたので以下にまとめておこうと

アアルト 大学に行ってきました!!

私の大学(早稲田)では、大学一年の時に近代建築の三大巨匠として教えられたのは、コルビュジェ、ミース(ファン・デル・ローエ)、そしてアルヴァ・アアルト でした。その中でも私が一番好きだったのがアアルト で、アアルト の作る建物の白い壁、そして木を多用した温かみのある建築がとても好きで、平面図を見ながらいつも思いに馳せていました。 そのアアルト はフィンランドのガイドブックにも絶対に登場するほど、フィンランドではスーパースターで、ヘルシンキ市内にあるアアルトの自邸、そしてスタジ

アアルト自邸 & Studio Aaltoを訪問!

昨年、葉山の神奈川県立美術館でアアルト展が開催されるなど、日本でも再び注目されている巨匠アルヴァ・アアルト。 アアルト展に行った時に「アアルトは『人』」という感想を持ったのですが、改めて、本当にその空間に立つことができるという感動を持ってアアルト自邸とアアルトスタジオに向かいました。 基本はツアーでしか入れず、当日飛び入りも不可能ではなさそうでしたが、アアルト自邸とアアルトスタジオを見に行くためには、事前にWebで申し込んでおいた方が良いです。ちなみに、私はアアルト自邸を

審査員の先生方の紹介#ASHIBA

太田です。イベントの続報です。 ASHIBA「デザイン評価の頭の中」で、住宅作品を審査していただく建築家の先生方が決定しましたのでお知らせします。 非常に面白い議論が聞けそうです。 イベント概要は一番下に記載しています。事前予約必要です。 以下、敬称略・五十音順で紹介 大西 麻貴 【略歴】 1983年愛知県生まれ。2006年京都大学工学部建築学科卒業。2008年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。 同年〜大西麻貴+百田有希/o+h共同主宰。2011年〜2

フランク・ロイド・ライト「入門」 (その②)

ジョンソン・ワックス・ビルは、ウィスコンシン州のラシーンという小さな街にある。雄大なミシガン湖を望む美しい街だ。シカゴから車で一時間半くらい。そして、この街は、このビルのクライアントであるジョンソン財閥の企業城下町でもある。通りを歩くとあちこちに「Johnson」を冠したお店とか、銀行とか。きっと公共施設への寄付や出資もたくさんしている筈だ。 これもフランク・ロイド・ライトをめぐるポイントのひとつで、彼にとっての「優良クライアント」は、こうした地方の資産家が多かったよう

泊まれる名建築、熱海lala御殿場

はじめにすっごくツボで素敵なホテル!なんですが非常に残念なことに滞在時間がわずかだったので夜の写真しかなく、さらに情報が少なめです...。ただ、建築が魅力の建物なのでとにかく写真だけ見てもらえれば魅力が十分に伝わると思います。 魅力①:ディテールまで計算されたゴージャスすぎる対称建築 ちなみに温泉もあってこちらもシックで素敵です。 もはや説明不要で刺さる人いると思うんだよな。建築好きの方、アンティーク好きの方、男前インテリア好きの方、ツボでしょ...!絶対。 魅力②:

第4章 かわいさに至る前に──2004 立石遼太郎

こうあるべき、を突き詰めた設計は完璧には出来ませんが、「なぜだめなのかどうしても分からない」ものだけで出来た建物を考えるなら、自分たちにも向いているかもしれない、と考えることにしました。 中山英之『スケッチング』新宿書房、2010 0 あれからもう あれからもう15年も経つのか、と、少し感慨深い気持ちになる。 2004年、僕は高校2年生だった。大阪の、平和で平穏なホームタウンにある公立高校の学生だった僕には、建築や建築家という言葉はいかにも大袈裟な言葉だった。2004年、僕

有料
300

クモとモモ:リチャード・ノイトラから中川エリカへ

リチャード・ノイトラの建築の特徴である、外に飛び出す柱梁のフレーム。これはスパイダー・レッグと呼ばれているらしい。それを知ったとき、中川エリカさんの設計した「桃山ハウス」を思い出した。桃山ハウスも柱と梁が外に飛び出している。 ノイトラは1892年のウィーン生まれで、中川は1983年生まれ。およそ90年の時間を飛び越えて広がった、ある種の自由連想について書いてみたい。 中川エリカ建築設計事務所ウェブサイト (http://erikanakagawa.com/)より 精神分

フランク・ロイド・ライト「入門」 (その①)

先日、落水荘に行ってきた。おそらく世界で一番有名な住宅。言うまでもなく、建築家フランク・ロイド・ライトの代表作だ。ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外の、自然に囲まれた山中にある。 張り出したテラスの下に滝が落ちる、幾度となく本や雑誌で見てきた外観。実物はまさにそのままの姿で、なんか「問答無用」って感じの威厳があった。 外観のフォトジェニック具合とはある意味対照的に、一度建物の敷居を跨ぐと、この住宅を印象づけるのは「音」だった。そう、滝の音。よくよく考えたら、滝の上に住宅を作

近代建築まとめのまとめ

いままでTwitterで作成したものが散逸しかけているので、こちらにまとめます。 現存する戦前の県庁舎戦前の都道府県庁舎は意外と多く残っています。都道府県のランドマークとして、その多くが文化財に指定・登録されています。 近年は、戦後の都道府県庁舎も評価され始め、2019年には島根県庁舎(1959年)が登録有形文化財に登録されました。 現存する戦前の市庁舎戦前におよそ200あった市のうち、現存するのはわずかに13ヶ所のみです。都道府県庁舎に比べると圧倒的に少ないと言えます

フランソア喫茶室:京都のクラシカルなカフェ、昭和の文豪・芸術家が愛した自由の場

京都の四条大橋を河原町方面に向かって歩き、高瀬川を渡って左折するとレトロな看板が見えてくる。 1934年(昭和9年)創業のフランソア喫茶室。 写真を撮影した日は、日中の曇り空が夕方にかけてわずかに晴れ始め、ぼんやり灯った看板の明かりと美しい雲を撮影することができた。 ちなみに別日に訪問した時には青空の中、外観を撮影することができた。 創業者は、労働運動家である立野正一氏(1908-1995)。 立野氏は、もとは明治から大正の間に建てられた京都の伝統的な町家だった建物