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特許から教わるかんたんお蕎麦【特許レシピによる料理⑨】
※ 本記事はパテントサロン「知財系ライトニングトーク#15 拡張オンライン版 2022 冬」向けに執筆したものです。
パテサロLT(ライトニングトーク)、5連続5回目の参加です。
2021.1.25(1回目):簡単で美味しい炊き込みご飯(リンク)
2021.4.19(2回目):パラパラチャーハン(リンク)
2021.7.19(3回目):塩クッキー(リンク)
2021.10.25(4回目):日本酒豆腐アイス(リンク)
そろそろ常連になれたかもしれません。ネタが尽きるまで続けていきたいと思います。
今回は手軽に「お蕎麦」を作ってみました。
特許レシピ:十割そばの作製方法および十割そば手作りキット(特許第6960703号)
J-PlatPat リンク Google Patents リンク
参考にするのはこちらのレシピ(特許)。本発明によれば、家庭でのそば作りを簡単かつ短時間で行うことができるとのこと。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来からの家庭でのそばの作り方にあっては、そば打ちセットを揃えて、そば粉とつなぎを準備し、上述の「水回し」、「木鉢」、「延し」、「切り」の各作業を行うものであった。その結果、一定の用具が必要であり、かつ、これら用具の使用における習熟が各工程において必要となっていた。すなわち、そば打ちには習熟と所定の時間とが絶対的に必要で、面倒であり、結果に満足できないことも多々生じていた。
【0006】
そこで、発明者は鋭意研究の結果、家庭でのそば作りを簡単な手順でかつ短時間で行える手法を開発することで、上述した課題は解消されることを知見し、この発明を完成させた。
「赤いきつね」より「緑のたぬき」派の私としては、これは楽しみな発明…!私でも実施できるでしょうか。具体的な特許の権利範囲を示す【特許請求の範囲】の記載を見てみます。
【請求項1】
製造過程において加熱されたそば粉と製造過程にて非加熱のそば粉とを、前者を15重量%~25重量%、後者を残りの85重量%~75重量%の割合で混合した十割そば用そば粉を準備する過程と、
この十割そば用そば粉に対して水を加え、その十割そば用そば粉と水の量との比は1:1~1.5として、これをボウルで混ぜ合わせることにより、そば生地を作る過程と、
このそば生地を絞り袋に投入してこの絞り袋の絞り口よりこのそば生地を細長い紐状にして熱湯中に押し出し、そば麺を作る過程と、
このそば麺を冷水に浸すことにより茹でそばを作る過程とを含む十割そばの作製方法。
これはわかりやすい!!!(毎回お決まりの反応・・)
「加熱そば粉+非加熱そば粉+水」をいい感じに混ぜて作った生地を、袋の絞り口から押し出して熱湯の中へ放り込めばいいんですね。
やってみましょう。
・・と思ったものの、加熱そば粉とは一体何か?調べればいいのかもしれませんが、早く「生地を絞り出して熱湯の中へ放り込む」行為をしたくてたまりません。今回は特許の具体的な権利範囲は気にせず、お店で売っていた蕎麦粉を1種類だけ使用します。それでよしとしましょう。
そしてつなぎとして強力粉も買いました。つなぎを有さない「十割そば」に関する特許ではあるのですが、そこも特に気にしません。
![](https://assets.st-note.com/img/1641796608878-pIO8CSbfof.png?width=1200)
蕎麦粉と水を混ぜて作成した生地を絞り袋に入れます
![](https://assets.st-note.com/img/1641555801143-zQcN0MqycJ.png?width=1200)
本特許は権利内容だけでなく図面も非常に分かりやすい…!そば粉11と水12をボウル13に入れ、泡立て器14にてかき混ぜ、絞り袋15に入れている図面ですね。
そば粉、強力粉、水を、1:1:1くらいの雰囲気で混ぜました。
![](https://assets.st-note.com/img/1641796551517-2RDCDgD3F5.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1641796743790-20wlQBabtU.png?width=1200)
チューっと鍋に向けて押し出します
![](https://assets.st-note.com/img/1641556131769-3M6svCfHeK.png)
特許図面ではとても綺麗に「チュー」っと生地が鍋の中へ入っていきます。
生地を細長く押し出すだけで蕎麦が出来る…!
そんな期待を胸に、チャレンジ1回目!
GO!!!
![](https://assets.st-note.com/img/1641797199972-07ATp38W77.png?width=1200)
!!!
袋から生地を押し出すことには成功。しかし鍋に入った蕎麦生地は、特許図面から受ける印象とは異なる動きを…。
![](https://assets.st-note.com/img/1641797038003-SwNHeOJOHC.png?width=1200)
予想外の振る舞いに動揺したためか、蕎麦の太さはバラバラとなってしまいました。冷静に均一に押し出すよう心掛けるのが良さそうです。
![](https://assets.st-note.com/img/1641797130526-RbizP16YfR.png?width=1200)
お皿に盛れば不思議とお蕎麦っぽくなりました。そして風味がしっかりして、美味しい!確かに手軽で、楽しくお蕎麦を楽しむことができる発明でした。次はもう少し上手に絞れるようになりたいものです。
「十割そばしぼり」
ところで、この素晴らしい発明は既に製品化されています。大分県中津市の「道の駅 耶馬トピア(やぱトピア)」や 「道の駅 なかつ」にて販売されているとのこと。
実際に絞り出す様子を以下動画で拝見しました。私が絞り出した蕎麦生地は少々細すぎたかもしれませんね。
次は、袋の穴をもう少し大きく開けてチャレンジしたいと思います。
以上
Uchida | 知財ライター
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