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特許から教わるパラパラチャーハン【特許レシピによる料理⑥】

※ 本記事はパテントサロン「知財系ライトニングトーク #12 拡張オンライン版 2021 春」向けに執筆したものです。

三ヶ月ぶりの特許料理です。今回は炒飯を作ってみました。

特許レシピ:炒飯用飯の炊飯方法及び炒飯の製造方法(特許第4085591号)

今回は 味の素株式会社 によるレシピ(特許)を参考にします。料理店の炒飯のような「パラっとした食感」を有する炒飯を提供するというものです。

【0005】
このように、大量生産品の炒飯と料理店等で作成した炒飯とは、乳化剤の使用の有無や、卵の付着の有無によってできあがった炒飯の状態が異なっており、風味や食感において品質が大きく違っていた。言い換えれば、これまでは、大量生産では、料理店と同等の品質の炒飯は作ることができなかったといえる。
・・・
【0008】
そこで本発明は、工業的に大量生産する炒飯の品質を、料理店等で手作りされる炒飯に近い品質を有し、具体的には、卵の風味を損なわないで、かつ、飯同士が十分に解れてべったりくっ付いていないパラッとした食感を有し、本来の手作りの炒飯の飯粒の状態がそうであるように、各飯粒を卵の薄い皮膜でコーティングした状態を効率よく作ることができ、しかも、新たな特別な設備を用意しないで従来の生産ラインでも実施が可能な炒飯用飯の炊飯方法及び炒飯の製造方法を提供することを目的としている。
(特許第4085591号:JPlatPat リンク, Google Patents リンク

ふむ。特別な設備は不要とのこと。特許の権利範囲が書かれた【特許請求の範囲】をみてみましょう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生米に対して、卵黄を0.5~15重量%含むとともに乾燥卵白を0.2~5重量%含む炊き水により生米を炊飯することを特徴とする炒飯用飯の炊飯方法。
【請求項2】
請求項1記載の炒飯用飯の炊飯方法で炊飯した飯を炒飯用原料飯として用いることを特徴とする炒飯の製造方法。
(特許第4085591号:JPlatPat リンク, Google Patents リンク

短くてわかりやすい。白米を炊くときに、卵黄と乾燥卵白を入れればいいんですね。これなら私でも実施できそうです。

調理

請求項1では卵黄と乾燥卵白の量が規定されていますが、よく分からないのでなんとなくの量を投入します。

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水を入れます。

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あとは炊飯器に入れてポチー・・としそうでしたが、これでは目玉焼きができてしまいそう。もう少し特許の中身を読んでみます。

【0010】
まず、本発明の炒飯用飯の炊飯方法では、炊飯時に使用する炊き水(炊飯水)に卵黄を加えてなるべく均一になるように混合しておく。また、炊き水には、必要に応じて、卵白や全卵、あるいは、油や調味料を加えてもよい。・・・

おお、やはりそうでしたか。混合が必要とのこと。まぁそうですよね。かき混ぜておきました。

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乾燥卵白がダマになっているのは特に気にしません。炊き上がりを待つ間に、野菜を炒めておきます。

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そして肉を切ったり炒めたりしている間に、ご飯が炊き上がりました。

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黄身色に染まったご飯にしゃもじを入れると、普段とは違う感触が。サクサクサラサラパラパラ。これは期待できそうです。

野菜や肉と混ぜて完成。

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ご飯の一部がどうしても ”ダマ” になってしまうものの、通常の白米で作る炒飯とは雰囲気が異なります。お味もなかなかでした。”ダマ” さえ無くせば、もう少しでお店に出せそうです。

というわけで、今までの特許料理の中で最も効果を実感できました。

Uchida I 知財ライター Twitter:https://twitter.com/estoppel88

#特許料理 #特許レシピ #チャーハン #炒飯

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