プロダクト2.5合目、開発体制4.5合目と評価する理由は?デザイナーによるインタビュー 後編
マネーフォワード クラウドのラインナップである「マネーフォワード クラウド人事管理」。これは、社内のHR領域においても注目されているプロダクトです。
今回は、開発チームの自己評価を職種別に聞いてみました!
(2022年10月時点)
前編はこちら。
QAエンジニア視点の評価を教えてください。
人事管理チームをQAのロールモデルにしていきたい。
QAエンジニア(以下、QA):建川
この一年間、土壌というか仕組みづくりをやってきました。
基礎の基礎が出来てきていると思います。
エンジニアさんにも、テストの作り方やテスト観点について口酸っぱく言ってきた一年でした 笑
人事管理チームは、QAエンジニアからみると結構特殊かなと思っています。
テストケースの作り方一つ取っても、テスト観点毎にコンポーネント化されていて構造が見えやすい。
QA業界のスタンダードは「前提条件/テスト手順/テスト結果/備考」が何行も連なっているテストケースなのに、このチームは自分たちに合った形に工夫されている。
今がベストとは思っていませんが、既成概念に囚われずチームに合ったやり方が模索できていて素敵です。
まだエンジニアと壁がある会社も少なくはないが、QAエンジニアは業界でも盛り上がってきている。
インタビュアー(以下、INT):小野
マネーフォワードのQAって情報発信が活発なイメージですが。QAのコミュニティにおいても、弊社って相対的によくやれていると思いますか?
QA:建川
やれていると思いますね。
世の中にはQAエンジニアと開発チームの関係がバチバチしているところもあるとたまに聞きます。
テックリード(以下、TL):玉井
想像はできる 笑
デザイナー(以下、D):林
エンジニア←→デザイナーもいまだにバチバチしてるって世間的に思われてる。
QA:建川
QAが最後の砦みたいな。QAのハンコを押さないとリリースできません!とかもあるし。
それに比べると、人事管理チームはチーム内で品質を担保してリリースを行っている。
お客様にスピーディに価値を届ける上でも、今のやり方はなるべく崩さないように進めて行きたいですね。
INT:小野
QAの業界は盛り上がってきているんですか?
QA:建川
QAエンジニアになりたい、という人は増えてきている印象です。
最近は「QAインターン」とか実施している企業さんもあります。大学卒業後の新卒採用でも、QAエンジニアを目指す学生さんも出てきている。
業界としては、注目されてきていると思います。
INT:小野
以前、建川さんは資格も取ってましたよね。
QA:建川
そうですね。
JSTQB認定テスト技術者資格っていうんですけど。
取ってなかったから、取ってみようと思って 笑
併せて社内での勉強会も実施しました。
デザイナー視点の評価を教えてください。
ユーザーリサーチやユーザビリティテストをスクラムのプロセスに取り入れたい。
D:林
TLとQAがいい話すぎてハードル上がってるんですが 笑
チームとして良いなって思うのは、チーム全体としてデザインに興味を持ってくれているところです。
そもそも、非デザイナーのデザインに対する関心が薄い話はよく聞きます。 「提案したUIが再現性の低い状態で実装されていた」とか「実装が厳しいという理由で、相談なしにデザインを変えられた」なんて話も。
このチームは、そういう品質に対しての意識が高いなと。エンジニアと議論して進められるし、デザイナーとしては嬉しく思ってました。
まだまだだなぁと思うのが、ユーザーリサーチやユーザビリティテストなど。今は、当たり前として求められるだろう機能のUI検討に多くを費やしています。フェーズ的にも、スピーディな開発も求められているので。
今も社内の労務担当さん(ユーザー属性が同じ)にヒヤリングも適宜してはいますが。本当は、今以上にもっと開発プロセスにしっかり取り入れていきたいと思ってます。
もっと表層にも拘って、UIの品質の底上げをしていきたい。
D:林
人事管理のプロダクトフェーズを考える必要はありますが、将来的に、もっと表層においても拘っていきたいなと。
今の人事管理の表層の品質には、まだまだ満足してない。
ユーザーが普段触れている世の中のデジタルプロダクトと比べると、時代錯誤というか追いつけていない気もするので。
TL:玉井
デザインの理想形からミニマムに削るときに、開発視点で削りすぎてないか不安になることあります。
INT:小野
僕も同感です。もっと品質は高めたい 笑
世の中の人が触れているデジタルプロダクトの中には、表層の品質が高いものもありますしね。ユーザー含め僕らも高い品質の表層に触れる経験が日常的にあるから、目も肥えている。デジタルプロダクトの品質水準は上がっているし、ユーザーのアプリケーションへの期待も高い。
ただ、プロダクトが提供する価値やプロダクトのフェーズが大きく関係するとは思います。
今は何を優先すべきか?ユーザーフォーカスしつつ、ギリギリでの判断されているのが実情かとは思います。
利用性に関してだと、エクセルやスプレッドシートなどのプロダクトって改めてすごいと思いますよね。
D:林
自分は、マネーフォワードに入社してからtoBの業務アプリケーションのUIデザインに向き合うようになったのですが。
マネーフォワード クラウド人事管理のUIデザイナーになって、ようやくスプレッドシートの凄さに気づきました。
INT:小野
モードレスだし、エクセルも1970-1980年代から開発され続けてますしね。歴史ある。
D:林
OOUIの究極系だと、私は思ってます。
PdM:高澤
最大の競合はマイクロソフトなんすよね。
PdMの先輩がそういってました。
TL:玉井
従業員の管理をエクセルから人事管理に乗り換えて「使いにくいな」と思ってほしくないけど、今はまだ思われてそう。
PdM:高澤
エクセルやめてよかったって思われたいですね。
TL:玉井
思われたいですね。
エンジニア視点の評価を教えてください。
お客さんは最終的には画面に触れるし、その品質担保は不安。
エンジニア(以下、ENG):田中
リリースがスピード感あるところが良いですね。
テスト周りがまだごちゃごちゃしてる感あるので、綺麗にしていきたいです。
フロントをReactへ変える作戦を考えたりしてるので、そこをやってみたいですね。
TL:玉井
Reactはやってみたいです。
グループリーダー(以下、GL):佐藤
Reactやってみたい。
計画はまだ立てられてないけど、Nuxtのサポートが切れるまでには。(クラウド人事管理はNuxt.js)
INT:小野
シナリオテストの自動化も推進してましたね。その辺りも興味あるんですか?
ENG:田中
そうですね。興味ありますね。
結局、最後はお客さんが触る画面の部分。
その品質が守られていないと不安感あるなぁと、前から思っていました。
ゲームのUIとかも面白いし、toBでもそういうフロントを構築したい。
ENG:田中
お客さんは結局、業務では画面に触れるので。
こういう操作したらバグになる、みたいなのは無くしたいかなと思ってます。
TL:玉井
フロントエンドのフレームワークが変わったら、ついでにフロントエンドのテストもデザインも改善する余地がある気がします。
QA:建川
いつもいちまるさんにはお世話になっております!!
ENG:田中
林さん(デザイナー)が言ってた「デザインを新しくしたい」って話は、やっていきたいですね。
D:林
嬉しい 笑
ENG:田中
最近のゲームのUIとかも面白いんですよね。
なんでtoBのUIだけこんなに古いんだろ?って前から思っていたので。
PdM:高澤
一丸さん、秘めてるけどめちゃ思いが熱くていいですよね。
QA:建川
いちまるさんはUX系も知見ありますよね。
INT:小野
学生時代の専攻もデザインですしね、一丸さん。
スクラムマスター視点の評価を教えてください。
土台と形はできてきた。これからは、オーナーシップを持った機能開発ができるチームを目指したい。
INT:小野
三宅さんは、テックリードやGL、スクラムマスターと兼務状態なので意見の仕方が少し難しいかもしれないですが。
スクラムマスター(以下、SM):三宅
製品としては、業務で利用できる一定のレベルに至りつつあるのかなと思います。
逆に言えば、それが課題でもある。
まだ、お客様の目線では今時点では決め手になる機能がないと。魅力的な機能を作っていきたいというのはありますよね。
もちろん、ビジネス側からアイディアが出ても良いんですが、僕らが考えた機能をチームから提案していけると良いなと思うんです。
なんじゃこりゃ?という機能になることもあれば、ユーザーにウケる機能になることもある。
自分たちチーム内で機能を考えて投入してみる、みたいなことができると面白いだろうなと思っています。
QA:建川
いいですね!
ENG:井之上
めっちゃいいですね。
D:林
めっちゃわかります。
デザイナーとしてもその魅力品質に向けた機能を発掘していきたい。
TL:玉井
人事管理というプロダクトの哲学をゴリ押しする機能があったら面白そう。
D:林
ゴリ押し機能 笑
SM:三宅
今はまだ追われるというか。
「こんな機能がないと・・・!他社は持ってるじゃん?」と言われるばっかりなので。
当面は難しいんですけど。それができるプロダクトのフェーズになったら、チャレンジしていきたいですよね。
「検査」の機能を高めたい。チームでタスクを完了する、脱属人化。
INT:小野
改めて、スクラムに関してはどうでしょう?
SM:三宅
土台は整って形はできてきた、という話がありましたけど。
自律に関しては、まだ伸ばせるかなと。
スクラムイベントがあるんですが。
チーム全体のメンバーがオーナーシップを持って活動できているか?というと、まだそこまでではなくて。運営する人間が固定されているとか。
「検査」の機能がチームとしては弱いと思っていて。
チームで互いに補える状態を目指して行きたい。
まだ、属人的なんですよね。
INT:小野
打ち手も見えているんですかね?
SM:三宅
そうですね。
タスクをみんなで取っていきたいんですけど。案件を特定の人にアサインしがち。一人で抱えがち。
これを、よくあるカンバン方式を導入して「今日、これをやります」って動きを毎日自然に取れるようなチームを目指して行きたい。
GL:佐藤
カンバンどんどんやりたいです。
タスクを皆でやりきる という体制作っていきたい。
SM:三宅
カンバン方式が重要ではないんですけど。
今は、案件が人に付くって状態。
カンバンを使って理想的に回して行ければ、「全てはチームのものです」という意識が出来上がる。
まだ、感覚として「この案件は僕のもの」が残っていると思うんですよ。その感覚が消えるような見せ方だったり、考え方になるように運用していきたいですね。
TL:玉井
カンバンのTODOに人がアサインされてると意味ないですよね。
GL:佐藤
ほんまに。
チームのこのタスク危なそうなのでこうした方が良くないですか?みたいな声が活発に出るようなチームになりたみ。
PdM視点の評価を教えてください。
これからは、もっとユーザーの解像度を高める仕組みや機会をチームへ提供したい。
PdM:高澤
私はエンジニアもデザイナーも経験があるんですが。
ずっと思ってるのは、「こうやれ、ああやれ」って作るのが一番つまんないと思っていて。
できるだけ、チームが楽しみながら「こうじゃないか、ああじゃないか」と考えて行けるといいなと思ってます。
そのための助けは、私はまだ全然できてないんですが。。
ユーザーのイメージ、姿や形が想像できるくらいにしないとなーと思っていて。
こういうユーザーだから、こういう機能がいいよねって開発できると幸せだなと思ってます。
すると、魅力的な機能も作れるようになっていくんじゃないかなと。サービスの独自性も生まれるだろうし。
すごく理想主義なので、言っちゃいますけど 笑
そのための土壌は、育って来ているかなと思います。
INT:小野
前職では、顧客対応もされていませんでしたっけ?
PdM:高澤
そうですね。
カスタマーサポートもやったりディレクター的なこともしたことがありました。
INT:小野
職能経験が広いと視野も広くなるから、色々と気になることも増えるんじゃないですか?
PdM:高澤
個人的に気になることはあるけど、それが本当に正しいかはわからないですし。
みんなが思うなら、それが正しいのかなって思ってます。
INT:小野
PdMとしては、普段はどんな判断をしていますか?
PdM:高澤
哲学的な部分で、全部は言語化できていないのですが。
解決したい課題を解決してるのかどうか?だと思いますね。
プロダクトのビジョンやゴールを決めたりしてますが、それが基準だと思います。
この機能は、ユーザー(労務担当さん)が困ってないか?とか。
ユーザーの利用状況を可視化し、定量的に成果を追う仕組みも考えたい。
INT:小野
その結果は、どうやって評価してますか?
PdM:高澤
まずはユーザーの声を聞くとかですかね。
または、自分よりも業務知識がある人に聞くとか。
D:林
ユーザビリティテストがそこを補強するかもしれないですね。
PdM:高澤
私自身、PdMの経験もドメイン知識もまだ浅い。
本当は社外ユーザーに声を聞きに行けると良いのですが、まだまだ仕組みが整っておらず、十分にできていません。
社内にもユーザーが行う業務の実務経験がある方はいらっしゃるので、その方にインタビューしたり質問しています。
TL:玉井
困ったときの山口さん(カスタマーサクセス)
INT:小野
本当は時間を割きたいんだけど、取れていない?
PdM:高澤
そうですね!
デザイナーやエンジニアと実際のユーザーに声を聞く機会を設けたりできればなーと考えたりしています。
SM:三宅
モデルシナリオを作って時間計測したい。
PdM:高澤
そうですね!
この機能でどれくらい業務時間が減ったとか。
人事管理のおかげでこれくらい工数削減できました!とか、そういうのを指標にできたら良いですね。
めちゃくちゃやりたいです。
INT:小野
定量的にユーザーのメンテナンスコスト削減など測れると良いですよね。利用時のパフォーマンス改善。NLSのような総合評価とは別に。
GL:佐藤
この機能で◯分短縮できたとか分かるとテンションあがる。
PdM:高澤
人事管理を導入してむしろ時間かかるようになったとか嫌ですし。
「おそらく、今はここが業務がしんどいのでは?」とか見たりできれば。
本当は、ロードマップもそういったデータから組み立てられているべきじゃないかなと思います。
TL:玉井
人事管理を導入した労務担当さんは早く帰るか新しい仕事をしててほしい(?)
SM:三宅
チームが届ける価値を一応は定義してあったりします 笑
INT:小野
チームで簡単に観測できるような自動化の仕組みが欲しいですね。そうすれば、評価しやすい。状況判断もできる。
PdMは、時間を何に注力するか判断して時間を作ることが大事。生焼け状態の資料をチームへ共有できると、心理的にも楽。
INT:小野
PdMも忙しいと思うけど、どうやって時間を作っていきますか?
PdM:高澤
難しいですね。
社内にもPdMがかなりいて。PdMお悩み相談会があるんですが。こんなことに時間は割くと良いよね、みたいなことは最近話しました。
自分も性格的に抱え込んでしまうタイプ。
ある程度やって無理だ!となったら、すぐに相談するとか試みをしています。
そういう小さな積み重ねをしないと時間は作れないなとか。
INT:小野
デザイナーにPJの企画が生焼け状態でもっと相談してみるとか?
PdM:高澤
そうですね!
この前に実施していた施策は、まさにそういうやり方でした。時間がなくって結果的に生焼けで共有するしかなかっただけでもありますが。
最近は、要件とか生焼け状態でチームのみなさんへ相談してます。でも、みなさんにもアイディアをもらってアジャイルに作ることができているなって。
課題も然るべきタイミングで解決できているので。
これまでは、仕様とか要件はめちゃくちゃ細かいところまで検討してから共有してたんですけど。
でも、完成度を高め過ぎないでやっても良いんだなと。
そんなプロセスができつつある様に感じています。
結果として、時間的にも精神的にも余裕ができてきていると思います。
INT:小野
横断的な開発を考える際は、特に速く共有できると良いかもですよね。影響範囲も大きいし。
マネーフォワード クラウド人事管理という、基盤的なプロダクトの宿命。
PdM:高澤
宿命 笑
そうですね、HowとかWhatとかはみんなで考えていきたいですね。
今後もマネーフォワード クラウド人事管理の開発チームの成長に期待!
以上が、新規プロダクトリリースから1年経過した開発チームの実情でした。
私も以前はデザイナーとして関わっていたので、懐かしいインタビューでした。
マネーフォワード クラウド人事管理はマネーフォワード クラウドにおいては基盤的なプロダクトなので、これからもたくさん連携していくつもりです。
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