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ニートが家に住むことになった。#07

どうも、この度ニートが家に住むことになりました。

(ソ)大晦日

寅女のエネルギーが大爆発したMTGの翌日、会議の内容を踏まえて今後どうしていくのか話をしなければいけないと思いニートを誘う。思えば前日の夜、寅女はいつの日かの渋谷のクラブで出会った知らないお兄さんと遊んでいたのであるが、なんだかつまらなく感じたと同時に思い出したのはニートと初めて2人で遊んだあの日のことであった。あの時は本当に何も知らなくて楽しかったな〜。そんなことをぼやぼや考えながら連絡を取っていると、今後の話をするついでに2人で遊ぶことになった。

19時半池袋集合。とりあえず居酒屋。乾杯をするとすぐに「本日はマジックデーなんですよ」とニート。何それどういうこと、と言うと「新しくマジックを仕入れてきたのでみてほしい」と。居酒屋で早速新たなマジックを披露し出すニート。お酒を運んでくる店員さんもびっくり、まあこう言うセンスだけは高い。その”ショー”を一通り楽しんだ後、一軒目を出る。二軒目の居酒屋に入りようやく話題を出すことに成功。「今後のことなんだけどさ」寅女話し始める。

前日のMTG内容を本人向けにすべての言葉を変えて(オブラートに包んで)伝えた。最後に、「だからおこがましいかもしれないけど、もうちょっと見届けたいなと思う」と付け加えるとニート「本当は”年始に帰るね〜”って言ってたけどこれ以上住むのは寅女ちゃんに迷惑かなと思ってたんだけど、よければぜひお願いしたい。引き続き頑張りたいので」とのこと。このような形であっさりと本人への意志確認は終了し、年始からもうちに住むことが確定した。

今思うと普通に寅女がもう少し一緒に住みたかっただけなのかもしれない。

隣の卓から「あと10秒じゃん!」と言う声が聞こえてきた。そうか今日は2020年最後の日か。と思っていたら店内にいる人々が一斉に「あけましておめでとう!」と言い出した。2020→2021の年越しは池袋の居酒屋にて一瞬で過ぎ去っていった。

気がつけば午前3時。「始発まではまだ少し時間があるな〜」とニート。その後すぐに歩き出しついていくとダーツバーに入っていった。「初投げしよう」そう言っておもむろに投げ始める。2人で楽しんでいると酔っ払いのおじさんたちが勝負を挑んできて、頑張って戦ったが寅女の圧倒的戦力不足で無事惨敗。そのうち1人のすごくダーツがうまかったおじさんに「マイダーツを買った方がいいよ、全然違うっしょ」とか言われている元ダーツプロのニートを横目に「今どう思っているんだろう」と思いながらも、そっとすることにした。

店を出て寅女は池袋の街中で「まだ家に帰りたくない!」と叫ぶ。一週間家で共に時を過ごしてきたがほとんど真面目な”ビジネス”の話。出るは出るはのクズ加減に呆れ果ててしまいには少し嫌いになりそうだった。それがどっこいそんな話はほとんどせずに単純に2人で遊んでみたらどうだろう。寅女はやっぱり心から楽しんでしまっていたのである。

叫ばれたニート「ええええ?!?!?!俺はもう始発あるのに…じゃあどうする?磯丸水産行く?(磯丸水産しか空いてなさそうだった)」寅女「磯丸水産は嫌!(磯丸水産さんごめんなさい)」ニート「えええええでももうこの時間に空いてるところって他はホテルしかないよ」寅女「ホテルでいいじゃん」ニート「えええええダメだよ…」寅女「なんで」ニート「この前2人で遊んだときはお酒の勢いもあっていっちゃったけど、これからもお世話になるのに軽率にそんなことできない」

これには少し面食らってしまったが、続けて寅女「じゃあ別にやらなければいいのでは。」ニート「ええええええ…じゃあ決まり!いったん寝てから成田山に初詣や!」

え、なんかホテル行くのとついでに初詣までついてきたんですが。何こんな特典の付け方あんの。まずこれを特典とか言っている時点で寅女はやっぱりニートのことが好きなのかもしれない。そんなことが頭をよぎったが、首を横に振り思い直したのであった。

(タ)初詣

翌日。目が覚めるといびきをかいて隣で寝ているので叩き起こす。起きるとすぐに「レンタカー屋」と”ここはtwitterのタイムラインじゃない”、と言いたくなるくらいボソボソした声で呟いてきた。レンタカー屋で車を借りて、いざ出発。ニートが毎年必ず行っていると言う成田山に向かった。変に一緒に5日間も住んでしまっているので、ドライブなどなんの苦痛もない。いつものようにニートの好きなYouTubeだの音楽だのを聞かされ見させられながら車に揺られて約4時間。ようやく目的地到着。参拝が済むとニート「毎年ここでお守り買ってるんだ。寅女ちゃんも買うといいよ、一緒に買おう」とのことだったのでお揃いのお守りをゲット。その後おみくじをひき、参道を歩いているとニート何やら元気がない。「お腹空いたんでしょ」と聞くと「うん…」と死にそうな声が返って来たので何か食べに行こうと行って店を探した。

しばらく歩くと「鰻」と言う文字が見えた。寅女は以前「俺の一番好きな食べ物は鰻と春巻きなんだ」と言われたことを思い出し「鰻食べようよ」と誘った。するとニート「え!いいの?でも高いよね…」と目の前にじっと立って考え込んでしまった。運転してもらったしいいよ食べようよと言うと「ありがとう」と言われて店に入る。嬉しそうにうな重に食らいつくニートの顔は一生忘れられない。

なおこの年末年始の支出に関しては全て寅女が払っている。(否、寺で買ったお守りだけは「神様も見てるから」とのことで自分で払っていた。)いよいよ本当に紐じゃん大丈夫かと色んなところからヤジが飛んでくるに違いない。帰りに「今日色々払ってもらっちゃって本当にありがとうまた今度返すね」と言われたので寅女「お金じゃなくて別の方法で返して」とだけ伝えておいた。寅女がお金を払う度ニートは悲しい目でこちらを見つめていたのだった。

そんなこんなで池袋に帰って来て「また3日の夜に家に向かうね」と言われ、解散した。


寅女の人生史上一番楽しかった初めて2人で遊んだあの日を、まるで春風のように軽く追い越してしまった。


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