「芸術」という言葉を知らない人はいないだろう。だがいざ「芸術」が何か説明してみろ、といわれると答えるのは難しい。ぼんやりとしていて、でこぼこだが鋭く、なにかきらっと光る正直さ。これが芸術という言葉からわたしが連想するイメージだ。この記事では、芸術や創造、創作行為に関連する言葉を紹介したい。(著者和訳)
1.Ethan Hawke
わたしが言葉、音楽、美術などに心から惹かれるようになったのは青年期以降だったように思う。自我が芽生え、自分とは何なのか、自分の進みたい道はどんな姿をしているのか考え始めたとき。友人関係に悩んだり、喪失を経験したとき。確実に何か言葉・考えを求めているけれど、それが必ずしも家族や周囲の人からのものではないとき。そんなときに、芸術は「お高くとまったもの」ではなく、わたしの生活に欠かせない泉のような存在になっていた。忘れられない言葉や旋律、絵画は私の体に記憶され、意識と一体となり、私を活かしている。
2.Glenn Gould
芸術はたびたび、刺激的なものとしてとらえられる。しかし本質的に芸術は、静けさのなかで呼吸する生命体のような存在なのかもしれない。
3.Oscar Wilde
創作活動をしていると私たちは「これで生活が賄えるか」考える。私たちには日常の生活がある。屋根、寝る場所、食べ物などが必要だ。だがその要素を重視するあまり、「受け」を狙ってしまうと、その人はアーティストではなくビジネスマンになってしまう。
4.Allen Ginsberg
彼のこの言葉は先ほどのOscar Wildの言葉とも関連する。何かが生まれるとき、そこには「出し手」と「受け手」が存在する。出す側は、受け取る側の反応を忘れた状態で本来創作活動を行うべきなのだろう。
5.Jeff Buckley
創作活動をしていると、われわれはつい生産性について考えてしまう。だが、ある程度自然に任せて焦らず辛抱強く継続すること。創作にはそんな忍耐力がとても大事なのだとおもう。人間は結局マシンではないのだから。
6.James Baldwin
アーティストは、普段日の目にさらされることのない人々の闇、醜さ、小ささなどに気づき、彼らの孤独に寄り添うことができる。その表現方法は決して一様ではない。しかし、作品の創造にあたって嘘、不誠実は許されない。そうした行為には責任が伴う。創造と破壊、喪失は常に繰り返される。何かを得るには何かを手放す必要がある。創造は常に変化を伴う。生き物と同じように呼吸し、補給し、脈打っている。