「私は頭が悪い」と言う子どもへ
はじめに
「私は頭が悪い」
テストが返ってくると決まって言う子どもがいます。
一体何が子どもにそんな思いをさせてしまうのでしょうか。
どんな子どもにも必ず光るものがあります。
私たちの大人の役目は、決まりきった基準で子どもを評価するではなく、
子どものもつ光を見つけ出し、磨きをかけるお手伝いをすることではないでしょうか。
多様な能力をもった子どもたち
クラスの中には、実に多様な能力を持った子ども達がいます。
発表したり説明したりすることが得意な子もいれば、文字や絵・図などで表現するのが得意な子、グループ学習で友達と協力するのが得意な子など実に様々です。
その一方で、話したり聞いたりするのが苦手な子、書くのが苦手な子、友達に合わせるのが苦手な子もいます。
このように、能力や適性が違う子どもたちがクラスの中にはたくさんいます。しかし、現状では一方向的な見方で評価され、自尊心を深く傷付けられている子どもがいます。先ほど紹介した子どもはまさにその典型的な例です。
子どもの能力を捉え直す 「多重知能理論」
先程の例のように、学校現場では子どもが本来の能力を認められないケースが他にも多くあるはずです。
また学校では、成績優秀などいわゆる学力の評価を受けているのは、言語能力や論理的・数学的能力などの分野に偏っています。
このような状況に疑問を感じ、人間の能力の可能性について研究したのが、心理学者のハロルド・ガードナーです。ハロルド・ガードナーは、人間の能力には大きく分けて8つの分野があると示しました。それは、
です。これら8つの力は、社会で「生きる力」の源であり、どれも同じように評価されるべきなのです。これらは、後の研究者によって、子どもにも分かる平易な表現に変えられ、ピザを用いて表されました。
多様な子ども達に多様な学び方を
このように子ども達の能力は実に多様で、得意不得意も同様です。
そのような中で、学び方を統一し、子ども達の能力を低く評価するのは危険です。
子ども達は、自分の学び方の多様性に気づくと共に、自分に合った学び方を選択する力をつけなければなりません。
子ども達を誤った見方で否定してしまわないように、様々な角度から子どもの得意・不得意を受け止め、子ども一人ひとりに合った学びを提供していきたいものですね。
参考文献
「授業のユニバーサルデザイン Vol.2」桂聖、石塚謙二、廣瀬由美子、小貫悟・一般社団法人 日本授業UD学会、2020
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