雑誌『庭NIWA』のコラム『2100年の日本庭園へ』。vol.253では島根/松江・出雲の日本庭園の「運営サイド」にフォーカスしたインタビュー。
■コラム『2100年の日本庭園へ』が掲載されている雑誌『庭NIWA』vol.253が発売中
創刊40周年を迎えた日本の「庭」の専門誌『庭NIWA』。2023年1月の発刊号から庭園情報サイト《おにわさん》の中の人:イトウによるコラムがはじまりました。
コラムのタイトルは『2100年の日本庭園へ』。2100年=次の次の世代に伝えるために、「今の自分が次の世代になにができるか」みたいな意味を込めています。
その前段に関しては以下のnoteをお読みください。
前回、vol.252でのインタビューに関するnoteはこちら。
■10月発売 vol.253でインタビューしたのは『島根県の日本庭園の運営関係者』。
これを書いている今現在はすでにvol.254も発売になっていて、この記事をアップするのも遅れてしまったのですが…10月発売のvol.253について遅ればせながら紹介。
vol.253では島根県の庭園の運営に関わる方へのインタビュー。
島根県の日本庭園と言えば現在はなんと言っても『足立美術館』。そして今回インタビューにもご協力いただいた『由志園』が人気が高く全国的にも知られた存在になってきています。
「日本庭園、なんかいいな」と思っている方々の多くの方はきっと「なんで島根にそんな人気で立派な庭園があるのだろう?」と一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
『島根は決して現代になってから庭園で盛り上がりを見せていただけではなく、江戸時代に譜代大名の城下町だった影響で根付いた文化が今も強く残っている』みたいな話は以前↓のエントリでも書いたので、ぜひ合わせてご覧ください。
…でも文化や歴史だけでは全国的に知名度が高くなるはずもないし、この情報とコンテンツが溢れた時代で生き残れない。
まして島根県は全国的に見て人口の少ない都道府県で、東京・大阪といった大都市からの距離やアクセス面から見るととても不利な土地。
待っているだけでは人が来ない。2023年発表の人口動態では人口減少率も48都道府県中12位。
その中でどう頭を使いサバイブしていくか?
そのような環境にある島根県での努力や試みというのは、全国の(ゆるやかな右肩下がりを感じてきた)庭園関係者が知ったら面白いのでは、と思ったし、そんな面白いインタビューになっているのではないかと思います。
①:『日本庭園 由志園』日本庭園演出デザイナー・門脇竜也さん
足立美術館と並び、島根・山陰・中国地方で最も来場者数が多い日本庭園であろう『由志園』さん。「おにわさん」をご覧いただいている方であれば一度は名前を見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。
もちろんその規模や「美しさ」は疑いようはないのですが、それでも由志園も決してアクセスの良い場所にあるわけではない。
足を運んだことがある方であれば、『由志園』が「“美しい庭園を見て終わり”ではない」ことを何となく実感された方もいらっしゃるだろうし、決して受け身ではない、島根を飛び出て東京・京都・そして海外と「攻め」の施策を打っているからこそ、この知名度に至っていることがわかるはず(?)。
そのキーマンが門脇竜也さん。『日本庭園演出デザイナー』の肩書きも唯一無二かもしれませんが、一言「広報・企画」の枠には収まらない様々な取り組みをされています。日本庭園シーンにこんな面白い人がいるのか。庭園シーンにおけるメインストリームではないけれど、まさに「日本庭園の未来を切り拓かん」としている一人。ぜひご覧ください。
②:『絲原記念館』(絲原氏庭園)絲原家十六代目 絲原丈嗣さん/『茶房十五代』店長 絲原優子さん
『足立美術館』『由志園』といった現代の日本庭園が知名度を高める一方で、島根県は国の文化財の庭園も幾つかあるけれど決して知名度が高いとは言えない。…と思っていたら、2023年は国指定名勝『櫻井氏庭園』がドラマ『VIVANT』のロケ地になって話題になりましたが。
そんな櫻井氏庭園と同じくかつて奥出雲町でたたら製鉄を営み、松江藩の五鉄師と呼ばれたのが絲原家。その庭園『絲原氏庭園』が2018年に国の登録文化財になりました。
国の文化財とはいえ、その立地は松江市・出雲市の中心部からも遠く離れた奥出雲町。今後将来に向けて伝え、維持し続けるのは簡単な話ではない…。
そんな絲原家が、同じく国の文化財に登録されている邸宅の一部を活用して2018年から営業を開始したのが『茶房十五代』。
古民家や文化財を活用したカフェという業態は最近増えているけれど、「どのような狙いがあって/それによってどのような効果があったか」というのを見聞きする機会はそれ程ありません。
地域では人気を博し、SNSを通じても積極的に発信されている『茶房十五代』からきっと学べることもあるはず……と言った所から今回インタビューにご協力いただきました。こちらもぜひご覧ください。
■異業種やさまざまなバックグラウンドを持つ人々が「日本庭園」に関わる時代に。
↑この言葉は前回の寄稿の紹介でも書いた言葉。
異業種の自分自身がこのコラムを書く意味もこれだと思うので改めて。
今回の3名のバックグラウンドは決して『庭園の専門』では無かったりする。
『日本庭園を未来を残す』ためには、専門的な知識や経験はもちろん必要だけれど、様々なバックグラウンドからの多様なアイデア、新たな発想が必要…まして人口減少が進む地域ほどもう「体力勝負」は不可能で未来はない…そんな『新しい試み』を今後も探し、紹介できたらと思っています。
近々、vol.254のコラムについても紹介予定…!
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