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おにわさんInstagramから見る、日本庭園ランキング2020

16,000人のInstagramフォロワーが選ぶ、映える?人気庭園ランキング

2019年に続き、「自分がめっちゃ良いと思った庭園」ではなく、【『おにわさん』インスタグラムで2020年に「いいね」が多かった投稿(庭園)】をランキング形式で紹介します。
もう4月なんですが、決して「2020年度」とかではなく、1月1日〆のこの1年間の結果です(後回しになっていただけ…)。おそらく600投稿ぐらいはしてる中からトップ36を紹介!

2019年の時と同じことを書きますが、別にこのランキングが何かの“権威付け”になるわけではありません。
(´-`).。oO(自分自身が順位づけする、という行為は僭越だな…)
とも思うので…自分ではない、他の方々の「いいね」による客観的/そしてあくまで直感的な印象でのランキングとして面白がってもらえたらいいな、と思います。

■例によって『2020年に投稿したもの』なので、足を運んだのは2019年…という庭園も含まれます。

■そして“おにわさん”の中の人個人が「ここ最高!」と思った庭園については、2020年足を運んだ庭園を紹介し終わる(見込みの)4月中…?GW明け?ぐらいに紹介できればいいな~と思ってます。

■なお、ありがたいことにフォロワー数の増加に伴い“いいね”の数が底上げされていて…上半期のランキングで登場した庭園がほとんどランク外になってしまいました。
なので2020年上半期ランキングも併せてご覧ください。

(ちなみにで言うと、年末の時点で1.6万人だったInstagramフォロワー、おかげさまで現在は2万人に達しました。いいね数も更に底上げされているので2021年のランキングもまた異なった趣向になりそう)

【前書き①】2020年は東日本へ行けなかった。

2020年は移動の制限がありました。秋には遠方への旅行を再開する人も増え、自分自身も今住んでいる関西から出る機会も増えたけれど、それでもやはり怖さがあって2020年は2月中旬の出張を最後に東日本を訪れることはなかった。

なので、登場する中では最も東で富山県。東海道では愛知県。
そして他府県への移動制限中にはその分京都市内の庭園(*庭園として紹介されづらい飲食店も含む)へ足を運んでいたので、昨年以上に京都率高いです。

【前書き②】旅館・ホテル・料亭・レストランの庭園へ足を運ぶようになった。

これまでは、一般的な“庭園”施設…数百円払えば入れる寺社や文化施設の庭園を中心に紹介してきました。

2020年、当然そういう庭園にも変わらず足を運んだけれど、これまで「ちょっと高いから見られないな」なんて風に思ってきた『庭園のある宿泊施設や飲食店』に積極的に足を運ぶようになりました。

決して今裕福な生活をしているわけではないですが、ありがたいことに日々の給与には影響しない生活を送ることができた。
その中で、ライブやスポーツ観戦のような元々の趣味にお金を使う機会がなくなった(イベントが行われなくなった)。

その分、庭園にちゃんとお金を落とそう、という想いが強くなった。

日本庭園や古民家という舞台においては、やはり訪日客は欠かせない存在だったと思ってます。
京都ファン・日本庭園ファンの中にはネガティブに感じていた方も少なからず居ると思うけど…そうは言っても庭園や文化施設を守るためにはお金がかかる!

そう思うので2020年はこれまでにない背伸びをして、高級と言ってもよさそうな旅館や料亭、京町家一棟貸しなどなどそんな場所を体験しました。
当分(向こう数年)、2019年までのようなインバウンドはのぞめないと思うけれど。それまで“日本らしい建物や庭園、残そう”というムードに少しでも貢献したい。

若い世代には、“庭園って数百円で映える写真が撮れるよ”ってオススメしたいけど、大人に対しては、“庭園は数百円で見るもの、ではないよ”というムードになっていくといいなと思っていたりする。
ということで、今回のランキングには「庭園を見るだけ」は不可能な施設もそれなりに含まれます。

…という前の説明が長くなったけど紹介。
あなたが知っている庭園はいくつありましたか?

▼1位~9位の庭園

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1. ザ ターミナル キョウト(京都市中京区) #京都カフェ
アートギャラリー、カフェとして新たな命が吹き込まれた、昭和初期の呉服商・木崎安之助の京町家と庭園。

2. 角屋もてなしの文化美術館(京都市下京区) #国指定重要文化財
京都を代表する花街・島原に国内で唯一現存する揚屋建築の、幕末の志士も眺めた枯山水庭園。国指定重要文化財。

3. 皆美館庭園(庭園茶寮みな美)(島根県松江市)
海外の日本庭園専門誌ランキングで2年連続3位の人気庭園は、明治時代創業の料理旅館の出雲流枯山水庭園。

4. 高台寺 洛匠(京都市東山区)
2020年8月、惜しまれながら閉店した築100年の数寄屋風近代和風建築と鯉泳ぐ庭園が人気だった甘味処。

5. 胡乱座(旧長岡家住宅)(京都市下京区) #国登録有形文化財
明治時代の京町家を活かしたゲストハウスは、貴重な“泊まれる国登録有形文化財”。坪庭を眺められるお茶室も。

6. 武家屋敷跡 野村家庭園(石川県金沢市) #国登録有形文化財
海外の日本庭園専門誌で高評価の庭園は、藩主を迎えた建築と庭園が一体化した“市中の山居”。国登録有形文化財。

7. ならまち格子の家(奈良県奈良市)
平成年代に奈良の古い町並み“ならまち”に復元された伝統的な奈良町家。礎石が多く配されたユニークな中庭も。

8. 新渓園(岡山県倉敷市) #小川治兵衛
大原孝四郎の別邸に、近代京都を代表する作庭家・七代目小川治兵衛が“有隣荘”より先に手掛けた庭園。

9. 銀閣寺庭園(京都市左京区) #世界遺産 #国宝
東山文化の結晶。室町幕府8代将軍・足利義政の命により善阿弥・相阿弥により作庭された世界遺産の回遊式庭園。

▼10位~18位の庭園

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10. 旅館花屋(京都市下京区) #旅館
宿泊予約サイトでは見つからない、穴場の京町家旅館は庭園も良き。祇園祭の山鉾巡行では“木賊山”が目の前に。

11. 大極殿本舗 六角店“栖園”(京都市中京区)
築150年の京町家は京都市指定歴史意匠建造物。天龍寺御用達庭師が作庭した坪庭を眺めながら名物“琥珀流し”を。

12. ゲストハウス鯉屋(京都市上京区・西陣エリア) #ゲストハウス
築130年、明治時代の京町家の庭は庭石へのこだわりが随所に見られる枯山水庭園。一面の紅葉も美しい!

13. 栄摂院庭園(京都市左京区)
徳川家康の家臣で彦根藩家老も務めた木俣守勝ゆかりの寺院の庭園は、隠れた紅葉の名所。秋のみ特別公開!

14. 上島珈琲店 京都寺町店“開闢の庭”(京都市中京区)
本能寺からすぐ。京町家のような雰囲気を醸す上島珈琲店は中庭に枯山水庭園も。

15. 大極殿本舗 六角店“栖園”(京都市中京区)

16. 長江家住宅(京都市下京区)※通常非公開
2019年にはグッドデザイン賞受賞。江戸時代からの歴史をもつ呉服商の、京都市指定有形文化財の京町家の庭。

17. 西宮市大谷美術館(兵庫県西宮市) #荒木芳邦
実業家・大谷竹次郎の邸宅地に開かれた美術館の日本庭園は、昭和の関西を代表する造園家・荒木芳邦の作庭。

18. 晦庵 河道屋(京都市中京区)
デヴィッド・ボウイも好んだ、江戸時代から続く京都の蕎麦の名店——数寄屋風造りの建築から眺める露地庭。

▼19位~27位の庭園

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19. 丹巌洞(福井県福井市)
松平春嶽や橋本左内も訪れた福井藩医別荘を起源とする料亭の、一面苔むした緑が美しい庭園。国登録有形文化財。

20. 豪農の館 内山邸(富山県富山市)
“越中一千石地主”と呼ばれた豪農屋敷に残る、藪内竹翠指導の茶室や徳富蘇峰の讃えた庭石のある庭園。

21. 幻住庵(滋賀県大津市) #松尾芭蕉
“先づ頼む 椎の木もあり 夏木立”――石山寺と縁深い神社境内に残る、俳人・松尾芭蕉が夏を過ごした草庵。

22. 上時国氏庭園(石川県輪島市) #国指定名勝
大納言・平時忠を祖とする平家の末裔の豪農屋敷。加賀藩主も訪れた書院から眺める庭園は国指定名勝。

23. 大西常商店(京都市下京区)
伝統的な京扇子の製造卸を営む京町家空間の、枯流れの独創的な庭園。月釜やイベントも行われる開かれた京町家。

24. 大橋家住宅(岡山県倉敷市) #国指定重要文化財
大原家とともに江戸時代の倉敷を代表した豪商・大橋家。国指定重要文化財の邸宅の座敷から眺める庭園・坪庭。

25. 泰勝寺庭園(京都府八幡市) #久保篤三
松花堂昭乗ゆかりの寺院に再建された日本百名席の茶室“閑雲軒”と、久保篤三作庭の現代枯山水庭園“南天の庭”。

26. 苔の里(石川県小松市)
粟津温泉の奥の小さな里山集落で育まれ続けてきた、一面の美しい苔庭――。隠れた苔の名所は日本最高級の苔庭。

27. 高台寺 洛匠(京都市)

▼28位~36位の庭園

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28. 八勝館庭園(愛知県名古屋市) #堀口捨巳 #福住豊
これぞ庭屋一如。建築家・堀口捨己の手掛けた昭和の日本を代表する和風建築には、日本庭園の存在も欠かせない。

29. 白沙村荘庭園(橋本関雪記念館)(京都市左京区) #橋本関雪
銀閣寺からすぐ。日本画家・橋本関雪が自身で設計した大文字山の借景が美しい回遊式庭園と和風建築群。国指定名勝。

30. 近江日野商人館(滋賀県日野町) #国登録有形文化財
日野を代表する近江商人・山中兵右衛門家の屋敷から眺める枯山水庭園。圧巻の資料館は宿場町好きはマスト!

31. 今西家書院(奈良県奈良市) #国指定重要文化財 #森蘊
民家で初の国宝(旧国宝)となった室町時代の建築に、昭和の庭園研究第一人者・森蘊が作庭した露地庭。

32. 旧木下家住宅(兵庫県神戸市) #国登録有形文化財
明石海峡をのぞむ芝庭に露地と和洋折衷の庭園が見られる、数寄屋風造りの近代和風建築。国登録有形文化財。

33. 奥丹清水(京都市東山区)
清水寺へ向かう三年坂沿いにある、江戸時代初期に創業した“日本一古い湯豆腐店”は、大正時代の建築と庭園にも注目!

34. 大徳寺 黄梅院庭園(京都市北区) #千利休
千利休作庭と伝わる苔庭“直中庭”にモダンな石庭“破頭庭”、枯山水庭園“作佛庭”と茶室建築群と苔と紅葉!

35. 養浩館庭園(福井県福井市) #国指定名勝
駅チカ大名庭園!江戸時代中期に作庭された越前松平家の御茶屋と庭園。作庭は茶道宗徧流の祖・山田宗徧?

36. 康国寺庭園(島根県出雲市)
“大名茶人”松平不昧のお抱え庭師であり出雲流庭園の祖・沢玄丹が作庭した、借景の美しい枯山水庭園。

人気のある庭園の傾向2020

昨年書いたのは以下の2点。
① 枯山水庭園の方が直感的にいいって思われるんだなぁと思う。
② これは常々思っていることだけど、京都であるとか、歴史があるとか、名勝であるとか、そういった背景関係なく、「この庭園が意外と大人気!?」という場所が往々にしてあって面白い。

今年はっきり言えることは“町家の庭園の人気の高さ”
京町家もそうですが、『ならまち格子の家』や金沢の『武家屋敷 野村家』(野村家は元々しおさいプロジェクトの高評価で知られます)、倉敷の町家『大橋家住宅』など。

京都では1年間に800件の町家が失われていると言われます。
少しでもお金が落ちるための装置になれればいいなと思うし…各地方には『全く注目されていない』町家がきっとある。「こんな田舎の、こんな中庭」と思われているような施設が、実はすごい輝きを秘めている可能性がある。

自分自身はそういう場所に少しでも多く足を運んで紹介したいし、施設の方々にも“うちなんて”ではなくあるものを磨けばいいのかと思ってもらうようなきっかけになればいいなと思う。

※最近投稿した、高知県の田野町という小さな町にある『岡御殿』がそのタイミングでの“おにわさん”過去最高の5,500いいねを記録したように。

「めちゃくちゃいい施設だ」と思った感覚が多くの方にシェアできたのは嬉しい。

そして今年は小堀遠州、重森三玲、中根金作…といった方々の庭園は上位にはなく(←これはそもそも2019年以前に紹介してるってのもあります)、久保篤三さん、荒木芳邦さんといった昭和の関西の作庭家の庭園が名を連ねた。

重森三玲、中根金作以外にも昭和年代に素晴らしい作庭家(クリエイター)が居たということをちゃんと書き残していきたいし(といっても自分も後追いで後から知ってるパターンだけどw)、優れたクリエイターの名前は沢山並んでいた方が楽しい。

“おにわさん”やこの記事で生み出したいことは、“知るきっかけ”

『おにわさんもこのランキングも評価のためのものではない』というのは何度言っても言い足りない。
前回の↓のエントリでも書いたけれど、『足を運ぶきっかけになること』が目標であり、“インスタで人気だったよ”というのが一つの理由になればいいな、というもので。

マニアが好むジャンルというのは放っておくと上と下を決めて、批評めいたものになっていく。自分が常々肝に銘じる言葉は『マニアがジャンルを潰す』。“おにわさん”はそのような、クローズドなものではなく気軽に読めるものでいたい。まあまあ十分マニアックだとは思うけれど。

2021年は書きかけのnoteをもう少し公開していきたい…!

▼書きかけのnoteの見出し
・“おにわさん”が《庭園マイクロツーリズム》のきっかけになってほしい
・“おにわさん“の庭園レビュー・評価はあてにならない
・“おにわさん“は全ての庭園に対してフラットでありたい
・レビューに点数をつけたくない
・庭園施設・文化施設はTwitter/Instagram/Facebookを全てやるべきという話

というわけでおそらく次回は中の人が2020年めっちゃいいなと思った庭園選集です…たぶん…。






[おにわさんーお庭をゆるく愛でる庭園情報メディア]( https://oniwa.garden/ )の中の人が、庭園について思うことなどを綴ります。 サイトでは日本全国約1400の庭園と2万枚以上の庭園写真を掲載!