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大西羊
2023年10月23日 04:24
手紙がとどく。山になるくらい、どっさりと。 寝ぐせのわたしは、玄関の靴のそばに落ちて土ぼこり・砂まみれになったそれらを一つひとつ拾いあげていく。上等の、ステキなクリーム色の封筒のそれは、ほんとどっさり、バケツ一杯ぶんくらいある。 一通目の手紙にはこう書いてある。 あなたのことを 好きになってしまいました だから届く 水星の恋文 すっぴんのわたしは封印を破って他の手紙もぜんぶ読ん