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オンブレチェックの魅力。~カルチャーと素材から見る~
こんにちは。こうです。
今回は、オンブレチェックの魅力について、ぼくなりに思うことを書いていきます。
以前の記事で書いた「洋服✕〇〇=価値、魅力」という考え方に基づいて、大きく2つに分けて解説していきます。
ちなみに、この考え方とは簡単に言うと、、
「有名人が着た洋服は価値が上がるのと同じように、魅力や価値のあるものであれば、それ以外のものを洋服に掛け合わせて考えても同じ図式が成立するのでは」
というものです。
こちらの記事にてより詳しく解説しているので、興味のある方はぜひご一読ください。↓
それでは、まず1つめから解説していきます。
1.オンブレ✕アウトローカルチャー=価値、魅力
洋服に「※カルチャー」を掛け合わせて魅力や価値を見出す方法です。
オンブレチェックは、時代ごとのさまざまな「※アウトロー」なカルチャーに精通しているという特徴があるため、その視点から掘り下げていきます。
※カルチャー
直訳すると「文化」、「文明」という意味。
1つの時代や社会においての、特定の価値観に基づいた生活様式や振る舞い全般のことを指す。
ファッションにおいては「〇〇時代の〇〇に属する人たちは、よく〇〇な雰囲気の服を着ていた。代表的なアイテムは〇〇だ。」ということが該当。
※アウトロー
法から外れた者、無法者やならず者の意。
国内外で不良を表す言葉として広く通用している。
オンブレチェックとアウトローカルチャーの関係性について、年代や時代背景ごとにさらに分類して解説します。
① 50s~60s不良カルチャーとオンブレチェック
1950.60年代のアメリカにおいて、主に不良やバイカーがオンブレチェックをこぞって着用していたとされています。
陰影があってどことなくダークな雰囲気が、スタイルともマッチして当時のアウトローな人たちには刺さったのでしょうか。
1960年代を舞台にしたアメリカ映画「アウトサイダー」では不良グループがオンブレチェックを、優等生グループがマドラスチェックのシャツを着用しています。
作中の洋服を通して、このようなカルチャーの対比が描かれているのも興味深いポイントです。
![](https://assets.st-note.com/img/1718441600537-4yD8rCkPxU.jpg)
不良グループ「グリース」のポニー・ボーイ(左)。
② 70s~80s 西海岸カルチャーとオンブレチェック
1970年代に入るとサーフ、スケートシーンでオンブレチェックが着用されるようになります。
サーフシーンでは水に濡れたあとにすぐ温まることができ、撥水性にも優れているウール素材の開襟シャツ、「ボードシャツ」がこぞって着用されました。
そして当時、ロサンゼルスのヴェニスビーチ周辺の無法地帯、通称「ドッグタウン」ではサーフィンを禁止された若者たちがストリートでスケートボードを楽しむ文化が生まれました。
「Z-BOYS(ズィーボーイズ)」と呼ばれたその若者たちは、他人の家のプールなどで勝手にスケボーを滑るなどして独自に技を磨いていき、結果として今日のスケートスタイルの基盤を築いたとされています。
その中の一人である「ジェイアダムス」が、青のオンブレチェックのボードシャツを着てスケートをする姿が記録として残されています。
オンブレシャツに褪色したデニムパンツ、VANSのスニーカーというスタイルでスケートを滑る。
その姿は最高にカッコよく、「西海岸カルチャー=オンブレチェック」のイメージを見事確立させたのではないかと思います。
ちなみに、これらのカルチャーをより知りたい方は映画「ロード・オブ・ドッグタウン」を観ることをオススメします。
「Z-BOYS」のヒストリーが描かれた映画となっており、アメリカ西海岸のカルチャーを感じられること間違いなしです。もちろん、ジェイのオンブレも登場します。
![](https://assets.st-note.com/img/1718444830036-DuHKmjbjfU.png?width=1200)
スケートするジェイアダムス。
③ 90s~グランジカルチャーとオンブレチェック
1990年代には「グランジファッション」が流行し、その中でオンブレチェック柄のアイテムがこぞって着用されるようになります。
その背景には、グランジのパイオニアともいえる「カート・コバーン」の存在があります。
90年代のグランジ・ロックを代表するバンド「NIRVANA」のフロントマンであるカート・コバーン。
そのカートコバーンが、赤や青を基調としたいくつかのオンブレチェックを着用した記録が残されています。
激しさがありながらもどこか陰鬱さを感じさせるNIRVANAの曲調は、オンブレチェックが放つ陰影のあるダークな雰囲気と絶妙にマッチし、唯一無二のオーラを醸し出しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1718463380565-Z7pfI7UtCH.jpg)
カート・コバーン。
独特な気だるい雰囲気から、どこか退廃的な匂いを
感じさせられる。
3つの時代背景に分けて、オンブレチェックとカルチャーの関係性を解説してきました。
3つのカルチャーに共通していえることは「どこか社会通念から外れていて、退廃的な雰囲気がある」ということ。
そんな現代では一見受け入れがたいアウトローな雰囲気を見事に拾い上げ、ファッションという側面で表現しているのが「オンブレチェック」だと思うのです。
オンブレチェック✕アウトローカルチャー=退廃的な色気の具現
これこそが、カルチャー視点でのオンブレチェックのもつ魅力ではないかと思います。
2.オンブレチェック✕生地=価値、魅力
洋服に「生地、素材」を掛け合わせて価値や魅力を見出す方法です。
オンブレチェックが放つ陰影は、その生地の持つ素材感によってそれぞれ異なる魅力を発揮します。
生地に分けて解説します。
① オンブレチェック✕レーヨン
以前の記事にもいいだけ書きましたが改めて。笑
レーヨン独特のとろみと躍動感のある生地は、オンブレチェックの特徴と非常にマッチします。
その生地感とオンブレのもつ陰影が互いの特徴を引き出し合い、着用時には残像のような揺らめきを演出してくれます。
また、その揺らめきから感じられるどこか気だるげな印象は、先述のアウトローカルチャーの雰囲気とも通ずる部分があります。
生地、柄、カルチャーがそれぞれの良さを互いに引き出し合う。
これほどマッチする組み合わせは他にないのではないかと思うほど魅力的な組み合わせです。
② オンブレチェック✕ウール
ウールは、先述のレーヨンとはまた異なる魅力があります。
ウール独特の毛羽立ちのある生地感は、オンブレのもつ陰影のグラデーションをより際立たせてくれます。
レーヨンのような動いた際の揺らめきは少ないですが、その生地感と柄の陰影がマッチして、ぼんやりと全体に広がるようなグラデーションを演出してくれます。
ぼんやりと影のある印象が、アウトローの「悪い」雰囲気とも絶妙にマッチします。
③ オンブレチェック✕コットン
コットンのオンブレチェックシャツに関しては、レーヨン、ウールと比べると比較的安価な印象ですが、また異なる独特な魅力を秘めています。
さらに、わかりやすいオンブレ柄ではないものの、柄部分の生地がグラデーションのように刻まれ、少し離れて見るとオンブレ柄に見えるような個体もあります。
コットンのオンブレは、開襟だとプリントネルシャツ、レギュラーカラーではヘビーネルシャツに多い印象です。
レーヨンやウールと比べると素材の特徴的に気兼ねなく着ることができます。
また、着込んでいくことでの生地の擦れやダメージなどから出てくる味が、アウトローカルチャーの良い意味での「粗雑さ」とマッチします。
3つの生地それぞれの、オンブレチェックとの相互作用からくる魅力について解説してきました。
それぞれ魅力は異なりますが、どれも「陰影と退廃的な雰囲気をより際立たせる」という共通点があるように思います。
3.まとめ
・オンブレチェック✕アウトローカルチャー=退廃
的な色気の具現
・オンブレチェック✕生地(レーヨン、ウール、コッ
トン)=陰影と退廃的な雰囲気の際立ち
=カルチャー、柄、生地3つの要素が絶妙にマッチし ていて、「男心に響く格好良さ」を体現した洋服
4.最後に
今回、オンブレチェックについて記事を書いたのは理由がありました。
1つ目は、ぼく自身がオンブレチェックが大好きであるということ。
2つ目は、世間的に価値が上がり高騰もしてきているのにも関わらず、その魅力が深堀りされていることが少ない印象があったから、ということでした(ぼくが情報を拾いきれていないだけかもしれませんが)。
オンブレチェック自体、雰囲気や感覚に訴えかけてくる特徴をもった柄かと思います。
そのため、「理屈やうんちく関係なくカッコ良ければよし。」という認識が強いのではないかとも思っています。
ぼくもこれまでなんとなくそんな感覚を持っていましたし、「多くを語らず雰囲気で魅せる」ことが合っているアイテムなんだと思っています。
ですが、そんなアイテムだからこそ「なぜ、どのようにしてそのカッコ良さがあるのか」を深堀りしていくことで、よりアイテムそのものの奥深さやスタイリング面での幅広さなどを追求できるのでは、と思ったのです。
世間的な価値と評価が上がり「なんとなくカッコイイから着る」だけでは非常にもったいない。
「カッコイイ」アイテムだからこそ、さまざまな角度から深堀りし「自分がカッコイイと思うポイント」を見つけていくことに本当の価値と楽しさがあるのではないかと思います。
長くなってしまいましたが、少しでも共感してくれる方やオンブレチェックに興味をもっていただける方がいれば嬉しいです。
今回は以上となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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