紫式部と『源氏物語』って超有名だけど、何がスゴイの?
1999年。
「この千年間で偉大な業績を残した歴史上の人物」に紫式部が選ばれました。
選ばれたのは30人だけ。
日本人では、紫式部だけ。
紫式部や『源氏物語』のことは99.9%の人が知っているでしょう。
2024年に紫式部が主人公である大河ドラマ『光る君へ』が放送されるなど、日本での紫式部と『源氏物語』の知名度の高さは言うまでもありません。
弐千円札(ゲットするのに苦労したぜ)にも、『源氏物語』の一場面が描かれています。
そのうえ『源氏物語』は日本だけでなく海外でも高い評価を受けています。
フランスでは国立の大学教授などで専門のプロジェクトチーム(全員、まなざしが強い)が組まれるほどです。
しかし、紫式部と『源氏物語』について、
を知っている人は多くないのではないでしょうか。
したがって、私なりに紫式部と『源氏物語』のスゴさをお伝えします。
内容は専門的になりすぎないようにしたつもりです。
これを知れば、大河ドラマ『光る君へ』がより楽しめると思いますよ☺️
❶紫式部の基礎知識
紫式部という名前、本名ではありません。
同時代(平安時代)の男性は、
など、ニンゲンらしい名前です。
彼女の場合は「紫式部」・・・・・・よく考えると、
とツッコミたくなりせんか?
なぜこのような名前なのか。
それは「正式な記録が残っていない」からです。
現代でも、個人情報をさらすのは実に恐ろしいことですね?
平安時代の女性は、本名を知られると呪われる危険性がありました。
今と違って、”呪い”がもたらす心理的ダメージは大きかったのです。
だから、安易に名前を知らせませんでした。
したがって、ニックネームのようなもので呼ばれていました。
同じ平安時代の女性、清少納言も本名ではありません。
赤染衛門という人は「えっ、キミ女性だったの?」と思ってしまう名前をつけられています。(男性みたいな名前ですが女性です)
菅原孝標女なんて「すがわらのたかすえの むすめ」という”そのまんま”すぎる名前をつけられています。(菅原孝標女は、文字通り菅原孝標の娘)
❷紫式部の何がスゴイ?
非常におおざっぱに言ってしまえば、
として構わないと思っています。
というわけで、さっそく『源氏物語』のスゴさをお伝えしましょう。
❸『源氏物語』のスゴさ(1)
これが、1つめのスゴさです。
たしかに、それ以前にも『竹取物語』などの物語はありました。
しかし『竹取物語』の内容なんて、
というビックリ・キテレツストーリーです。
子どもにはウケても、大人には響きません。
そういう「ファンタジー」は、もうお腹いっぱいだったのでしょう。
しかし、『源氏物語』は違いました。
『源氏物語』は、主人公・光源氏が都を舞台にさまざまな姫君と恋愛をするリアリティあふれる話です。
現代において、”ドラマ”は、一定の人気を誇るものです。
その”ドラマ”というものは、現実に基づき、リアリティある内容でしょう?
たとえば・・・・・・
⬇️母が「たまらん」と言っていた『VIVANT』
⬇️私が珍しくすべて観たドラマ『逃げ恥』
ファンタジー系もおもしろいですが、そればかりでは飽きてしまいます。
今でこそ、「リアリティある話」なんていくらでもあります。
しかし、「ファンタジーしかない」状況において、リアリティある作品を書いた紫式部の『源氏物語』は画期的作品なのです。
携帯電話にしろ、インスタントラーメンにしろ、
のです。
そして、世界最古のという点も重要。
”日本最古”ではないんですよ。
『源氏物語』は、西暦1001年ごろに書かれたとされていますが、この時期に世界で存在したものといえば『アラビアンナイト』くらい。
しかも、文字ではなく口頭で伝わっていたものです。
と言われるほど、大きなものを残しました。
この記事冒頭の「偉大な業績を残した人物」に選ばれるのも当然と言っていいのかもしれません。
日本の文学が、世界的に頭一つ抜けていたなんて、誇らしいと思いませんか?
❹『源氏物語』のスゴさ(2)
突然ですが『SLAMDUNK』嫌いな人、います?
いませんね( ̄∀ ̄)
話を進めましょう。
あの超絶人気漫画『SLAM DUNK』を生み出した井上雄彦氏は、『SLAM DUNK』の前に『楓パープル』という作品でデビューしました。
その後、『カメレオンジェイル』という連載を経て、『SLAM DUNK』で人気爆発します。
多くの作家は、初期の作品で経験を積み、大ヒット作を生み出すのではないでしょうか。
デビュー作で人気爆発し、1000年以上読み継がれることになりました。
しかも、文字数は約94万字。
現代の1冊の単行本が、約15万字前後・・・・・・。
つまり、紫式部は、デビュー作でいきなり単行本約6.2巻分の長さの作品をかき上げてしまったわけなのですね。
また、『源氏物語』には、795首の和歌が登場します。
795首、ですよ。
795首の和歌を紫式部が一人で考えた、ということなんですからね。
単行本約6.2冊のお話を書くだけでなく、和歌を約800首も詠んでしまうなんてトンデモナイことです。
参考までに、280万部のベストセラーとなった俵万智さんの『サラダ記念日』に収録されている短歌は434首。
❺『源氏物語』のスゴさ(3)
『源氏物語』の主人公・光源氏は、イケメンで歌・楽器の演奏・絵画などのあらゆる才能に恵まれ、天皇の血筋でもあるという完璧超人です。
⬇️漫画化されると必ず美形で描かれます
『源氏物語』は光源氏を中心に話が進みますが、光源氏は途中で亡くなります。
私が『源氏物語』を読んで最も震えたのは、その書かれ方です。
今まで、『ジョジョの奇妙な冒険』や『キングダム』など、あらゆる漫画の「キャラの死に様」に感動してきた私。
しかし、『源氏物語』を超える、「人の死」の書き方に出会ったことはありません。これからもないでしょう。それほど、特殊な書き方です。
(ネタバレになるので、ここでは詳細は省きますね)
というわけでここまでをまとめます。
❻『源氏物語』の豆知識
最後に、人に話したくなる豆知識を。
あなたが書店や図書館で手にする『源氏物語』は、『源氏物語』であって『源氏物語』ではありません。
これはどういうことか――
たとえば、現代において、あなたが朝井リョウさんの『正欲』という小説を買うとします。(映画化された作品です)
東京の書店で買ってもネット通販で買っても図書館で借りても、すべて同じ『正欲』です。
文字は一字一句同じ。
しかし平安時代には、印刷技術なんてないです。
だから、本を増やすには「書き写す」しかありませんでした。
そのうえ「書き写す」過程で、
ということがありました。
それだけでなく、
ということもありました。
(「このキャラは好きだからもっと活躍させよう」などといった考えだったのかもしれませんね)
まぁ94万字(原稿用紙約2400枚!)も手書きするわけですから「こんなことが起きてもしゃーねぇ(*°∀°)=3」という気もします。
そして、紫式部が書いた『源氏物語』の原本は残っていません。
残っているのは、原本を書き写した「写本」のみです。
その「写本」は、前述のとおり「誤写」や「改変」がありました。したがって、
ということが当然のようにあるのですよ。
突然ですが、ラーメンには〇〇系というのがありますね。
それと同じように、『源氏物語』にも系統があります。
青表紙本の系統と河内本の系統では、内容が違います。
Wikipediaには専用ページがあり、細かく分類されていることがわかります。
古い時代の写本ほど「オリジナルに近い」と言えるので、
なんてことがあれば、新聞に載る大ニュースとして報道されます。
他にも『源氏物語』の魅力はここには書き切れないほどあります。
一人でも多くの方が、『源氏物語』に興味を持ってくださると嬉しいです★
出版を目指しています! 夢の実現のために、いただいたお金は、良記事を書くための書籍の購入に充てます😆😆