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導くということ - 私なりの定義(前編)

 指導とか、育成とかアドバイスとかの「導く」ということに関して、最初は私自身の定義みたいなものを書いておいた方がいいだろうと思い、最初の記事は私なりに考えていた定義(のようなもの)を綴ります。

 これまでの経験の中で、新人時代からリーダーを経験しそして管理職になり更には自分の下にも管理職がいる組織で仕事を担当してきました。合計すれば約40年以上にわたる経験の中で多くの同僚や後輩、そして先輩や上司とつながると同時に多くの部下を持つ経験をしてきました。その際、会社としては上に立つものに対し、「強い指導力」を期待し、組織としての強化を期待します。私自身は、最初は自分自身のスキルアップと後輩やプロジェクト・メンバーの育成の両立を考えて行動し、段々と管理職経験が長くなるにつれ、主要な業務から外れ、部下による成果を最大限にするための施策を考えて行動するようになりました。最後は、全体のアドバイザー的な役割となり、会社全体に有効と思われる施策を打ち出して会社全体のスキルの底上げを支援していくようになっていったのです。

 もちろん、経験度合いが濃くなればなるほど、相対する社員の一人一人のスキルや性格により、対応を変化させて対応することになります。つまり、集団をリードしていくことを求められてはいますが、集団を構成するのは個々の個性ある社員一人一人なのです。結果、一人一人に対するケアや支援、そして仕事を通して導くことが最も重要となります。その意味ではリーダーの役割はとても大きいと思います。

 組織や会社が求めるのは、生産性が高く高品質のアウトプットができ、チームに貢献できる社員が集まった集団です。結果、売上と利益がそれを証明していくことになるわけです。そして、そのような集団を維持できる人材は優れた管理職という評価が得られることになります。しかし、社員一人一人にとっては、身につけたいスキルや適応できそうな仕事の種類、ソリが合わない社員の接触、給与への不満、将来への不安、失敗への恐れなどが交差しているのが実態なのです。また、管理職と言っても一人の社員であることには違いないので、これらの間で悩むことになってしまいます。

 会社の中における育成に関しては、自分自身の置かれている立場によって相手が変化するので以下の5段階に分けて考えてみることにします。これは私が歩んで来た道でもありますね。実際には部下の人数などにも左右されることになりますが、ここでは考えないことにします。それぞれの段階によって、教えなければならない内容も変化しますし、聞かれる内容も異なってくるのです。

1 後輩の疑問に関わる時期
2 プロジェクトメンバーの育成に関わる時期
3 管理職となり部下の育成に関わる時期
4 管理職を育成する立場の時期
5 全社員の共通の育成に関わる時期

 1は、入社して数年が経過した頃、2は、主任クラスになりプロジェクトリーダーとなった頃、3は、最初のラインになった頃、4は、2ndライン以上になった頃、5は、本部長や役員になった頃の経験になります。

 私が重要だと思うのは、段階に応じて相手や内容は変わるものの、まずは相手の言葉を「聴く」ということだと思っています。実はこれが難しいのです。単純に耳で聴くだけではなく、メールや仕事の成果物や報告書を通して「聴く」、言い換えれば「感じる」ことが重要だと思っています。大抵の場合、小さなことは飲み込んで話さない社員は多いのです。しかし、多くの社員が同じようなことを思っているとしたらそれは何とか察知して解決策を探りたいと思うのも悩みのひとつです。教える立場になった人が、全員のことを細かく把握することは不可能に近いことですし、コミュニケーションの時間が多い人ほど良く感じてしまい、誤った判断に繋がるリスクもあります。そして、誰しもが全てを打ち明けて話してくれるわけでもありません。そんな時に組織が有効な役割を果たすことがあります。大抵は相談する相手が同じ組織内の先輩や同僚だったりすることが多いのではないでしょうか。この相談相手になってくれている社員とのコミュニケーションは、実は数人分の情報を聴くためのコミュニケーションになるのです。肩入れはよくありませんが、限られた時間で判断していこうとするとこんな手段も有効だろうと思います。

<後編に続く>


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77字
グループリーダーや部下を持っている管理職の方達の日々の迷いを共有し少しでもヒントになるような記事を目指して描いていきたいと思います。

経験から得られた、社員に対する育成や組織に対する取り組みということを私なりに綴ってみたいと思います。

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