【SS】14.創作のVR ※クリエイターフェス
フェスが始まり、散弾銃を打つ勢いでショートショートを中心にnote記事を生産している。そんな時、書いている内容の中に入り込めたらおもしろいなと思った。そんな映画もあったかな? ゲームの世界に入るジュマンジみたいな感じかな? 小説家が書いていることが次々と現実になっていくような映画も確かあったかなと思いつつ、自分自身が入り込めたら面白いと思い作ったショートショートです。お楽しみください。
創作のVR
小説を書いているとそのお話の中にいる感覚になるのは、作者なら誰しも感じていることだろう。話の中に入り込むからこそ最初に思っていたのとは違った展開に入ってしまうこともある。そう、書きかけの小説は生き物のように話を変え思い描いた結末さえも変えてしまおうという勢いで襲い掛かってくるのである。
今は2183年。テクノロジーの進化も伴って、今では頭の中で思い描いたものが現実のような映像となって表示されるマシンまで開発されてしまった。創作に携わる者はこぞってこのマシンを買い漁った。その結果、市場からマシンの在庫はなくなり、高値で取引されるまでになってしまった。
実は私も一台手に入れたのだ。最近は特に調子が悪くて文章を紡げない。なので、このマシンをつけて新展開する物語を作ろうと思っている。おそらく他の購入者の購入動機も似たようなものだろう。そういえば、このマシンが世の中に現れてから、新しく出版される小説が極端に少なくなってしまったような気もするのだが、きっと気のせいだろう。
早速、書きかけの小説を前にしてマシンをつけた。書きかけの部分まで映像がはっきりと空中に映し出され、あたかもその場所にいる気持ちになり、自分の小説と一体になった。なかなかいい流れになっていると自分で思った。さあ、次はどう展開するのかと思った瞬間。目の前は真っ白い景色に変わり変化する兆しが見られなかった。不良品だったのだろうかと思い、急いでマシンのマニュアルを確認し注意事項を確認してみた。
注意事項 : このマシンでは、着用される方が頭の中で発想したものだけが映像化されます。このマシンによって新しいストーリーが紡がれることはありません。
このマシンを利用したことにより、スランプに陥る小説家が急増し、新しい小説が世の中に出てこなくなったのだった。例外なく私もその中の一人となっていた。
了
期間限定マガジン (2022/10/1 -2022/10/31)
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