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11月30日 年金の日 【SS】定年後の差

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 年金の日

厚生労働省が2014年(平成26年)に制定。
日付は「11(いい)30(みらい)」と読む語呂合わせから。
国民一人ひとり、年金情報を手軽に確認できる「ねんきんネット」などを活用しながら、高齢期の生活設計に思いを巡らす日。この日には「年金の日」や「ねんきんネット」の周知のため、「年金の日」賛同団体やその会員により年金相談会などのイベントが実施される。

このイベントなどの取り組みにより、「ねんきんネット」などを利用して年金記録や年金受給見込額を確認し、高齢期に備え、その生活設計に思いを巡らしてもらうことを呼び掛けている。


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【SS】定年後の差

 最近のテレビやネットでは、年金や投資のことが話題になることが増えてきた。私の若い時は、ほとんど気にしたことがなかったというのが本音である。私自身、すでに年金受給者となっている。それでも、毎日のようにテレビやネットで情報が流れてくるとなんとなく気になるようになってしまった。最も、時すでに遅しではあるのだが。それでも、自分たちの子供世代にとっては大切な情報だなと思い、極力確認するようになっている。思えば、自分たちの親がもう少しこんなことを考えていてくれたらと思ってはしまうのだが、時代背景を考えると致し方ないのかもしれない。

 私が初めて年金の申請をする際に、四十五年以上も前に少しの期間だけ、不明な厚生年金の期間があると言われたことがある。しかし、その時の会社名など思い出せるはずもなく、無いものとして扱ってもらったことがある。というのも、当時はアルバイトだったにもかかわず、店長が正社員登録をしておいてくれていたので厚生年金の掛け金を払っていたようだったのだ。当時のバイトは居酒屋だったので、店の名前は覚えていても、実際の運営会社の名前までは覚えていないというのが実態だった。中国系の会社で複数店舗を経営していた会社だったようだ。考えてみれば、こんなほんの少しの期間であったとしても、算入しない期間があるとすれば、その分は国庫に入ってしまうわけだなと感じた次第。後の祭りである。おそらく同様の人たちは大勢いるのではないのだろうか。もちろん、その後サラリーマンとして働いた期間はしっかりと記録されていた。

 サラリーマンとして企業に就職すると大抵の会社では厚生年金に加入となる。個人で事業をおこしている人たちは、厚生年金が無いので国民年金や自前で個人年金とか事業主保険などに入って老後の備えをすることになる。最も、そんな知識があればの話だし、事業を始める時は老後の課題よりも、当初数年間を乗り切るための金策や売上向上策の方がはるかに重要課題となることは間違いない。

 サラリーマンの場合は、天引きになるので掛け金を収めないということはないが、個人で起業した場合は、なかなか困難な場合もあるだろう。しかも、厚生年金の場合は、会社が社員と同額の賭け金を納めてくれるので、実質は倍の積立を実施していることになるのだが、国民年金の場合は誰も補填してくれない。四十年間一定額を掛け続けても年金は一月七万円程度が限界となる。最も、年金は終身なのでだいたい十五年以上もらい続ければ、掛け金の分は回収できることになる。考えてみれば、決して損ではないように思う。

 厚生年金の場合は、給与の額に応じて掛け金は変動するので一概には言えないが、国民年金分に加えて月当たり十万から十五万円程度の上乗せが出来ることになるのだ。そんなことを考えると年金額だけからみれば、サラリーマンの方が優位に見える。ただ、サラリーマンは定年というものがあるので、その後の収入が絶たれるのである。一概にサラリーマンの方がいいとは言えないだろう。

 それでも言えることは、大手企業の場合は、相当額の退職金を積み立てていてくれるので、その分を確定年金にすれば、さらに年金額の上乗せが可能となり、一気に老後の生活に対する安心感は上がる。少し前に老後資金二千万円問題が話題にはなっていたが、その分を退職金で補えるのなら貯蓄がそれほどなくても凌げるのかもしれない。最も贅沢な暮らしができるわけではないのだが。それと同様なことを個人で実現しようとすれば、iDeCoとかNISAの活用を検討すべきだろう。それもできるだけ早いうちに。できれば毎月積み立て投資をしておくべきなのだ。三十年以上経った後、後悔しないためにも。特に退職金に関しては、会社の体力に応じて様々なのである。普段働いている時には気にしないかもしれないが、いざ貰うときに「えっ、これだけ」となっても後の祭りである。

 個人で事業をしている人は、サラリーマンと違い、経費計上や自分自身の収入を制御できることになる。儲けた月にはその分を浪費せずに投資に回すと言うことは重要かもしれない。定年という区切りがないのが個人事業ではあるが、それでも老後の生活というのを視野に入れた働き方をすることで、より楽しく家族のための時間も作れるようになるのではないだろうか。子供や孫たちとの時間を楽しく過ごすために自由になるお金を作るために、年金に加えた収入源を考えながら働くことは決して無駄ではないだろう。

 今や高齢化社会となり、一定額の年金は支給されてはいるものの、年金は自ら意識した積立によって補わない限り、日々の生活費としては足りない。結果として若い時からの投資は重要だと言えるのである。でも、それでは何のために働いているのかわからなくなってしまう。まさか、老後の生活を目標として働く人はいないだろうから、適度に遊ぶお金を作るためにお金に働いてもらうと考えるべきである。豊かな老後というより、心配しないで生活できる老後というものが実現できるかできないかでは人生が変わってくるだろう。サラリーマンであっても個人事業主であっても、自分の年金がどの程度当てにできるのかということを知って、今を楽しみ、老後に備えるという生き方ができればいいのではないかと思う。

 サラリーマンの方が安定してていいよねという話も時々耳にはするが、決してそんなことはないのである。要は、人生を終える瞬間にしかそんなことは判断できないのだろうなと思う今日この頃である。

 年金を軽んじることなく、自らも諦めることなく蓄えを作り、さらには今を楽しむためのお金も作り出すということを常に考えるべきなのではないだろうか。「言うは易し行うは難し」かもしれないが、考えて行動しなければ何も始まらない。まずは、自分の年金を意識してみることが大切なのかもしれない。最も事業を起こした結果、大成功を収め、長者番付に載るくらいの資産を作ることができれば話は別である。


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