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外資系的仕事のすゝめ  <見た目は黒船、実は泥舟?>

どの産業界にも一度は訪れたであろう外資系企業の参入。
筆者の携わる業界もニッチ産業で日系企業が業界内の住み分けと競争のバランスを上手にとり共存していた世界だった。そして、そこに業界最大手の実績を提げ日本市場への進出をした企業に勤めている。周りや先代の話では、参入当時には”黒船来襲”と表現されたという。想像に難くない。

主題は先日中途入社者の歓迎会ででた先輩社員たちの会話。下はその一幕。
中途入社者に入社1週間以内にこんな話をしてもいいものかどうかはさておく。

社員A「なんでB君はうちに入ったの?」
中途入社者B「勉強してきたことが活かせて、自由な社風が気に入ったからです」
社員C「ちゃんと会社について調べた?」
中途入社者B「それが英語の情報しかなくて、あまり」
社員C「よく入ったね。失敗だよ、一寸先は闇」
中途入社者B「でも業界のリーディングカンパニーで黒船じゃないんですか!?」
社員A「黒船に見えるよね。でも実は泥舟かもよ」
社員C「そうそう、だから沈まないように、毎日オールを漕いで、水かきしてるの。泥舟だから」
中途入社者B「いやいや、なんだかんだいって長く存在してるじゃないですか」
社員D「泥舟でも帆船でさ、いい風が時に吹くから前に進んで結構沈まないんだよ。ここがポイントなんだよ。」
社員A「黒船でも泥舟でも、毎日必死に水かきして、オールを漕いで生きていくしかないのさ」

正直、この船が黒船なのか泥舟なのか、入社前に見分けるのは困難だ。
会社の中核を深く理解していても、この船は黒船だと自信をもって活気に満ち溢れる瞬間を生きれる日々とこの船は泥舟だと落胆し将来の不安に苛まれながら生きる日々が交錯してきた。
外部に謙遜する時は泥舟と言い、辛さを誇張するときもあれば、相手に好印象を与えたいときは黒船に乗ってるつもりで堂々と企業としての競争力と実績を強調してきた過去もある。人生100年・定年70歳時代を生き抜く上で漠然とした不安に襲われるのも事実。

特にこれから外資系企業への就職・転職を考えている人へ、安心してほしい、後にも先にも、黒船か泥舟か決まるのはあなた次第。自身の決断が間違ってないと、あなた自身でできることが必ずある。

仮に黒船としよう。企業が培い養ってきたグローバルプレゼンスを通じ自由と力強さを感じるだろう。しかし、あなたがそこに胡座をかいているようであれば、黒船はすぐに綻び、船底に水が溢れ、メッキが剥がれたように泥舟が少しずつ姿を表す。信頼や実績を一度失墜すると取り戻すのは容易ではない。
反対に泥舟だとしよう。落胆する実情の中にも、企業として他社にはない強さがあるに違いない。それを探す方法論と実践するノウハウはいくらでも世の中に溢れている。あなたが働く意欲を高く持ち、周りを巻き込み、日々船底の水を掻き出し、必死にオールを漕いでいれば、泥舟を少しずつ船艦にかえることができる。

もちろん経済効率性、経営合理性が合わなければ、どんなに努力しても”日本市場撤退”で突然幕を閉じる可能性は十分にある。しかし、それでも必死に水を掻き出し、オールを漕いで、少しでも船艇を船艦に変えた経験があれば、世の中に溢れる〇〇力なんかは一通り身になっているはず。冒頭の一幕、社員AもCもDも各自経験があるからこそ言える冗談がある。ちなみに社内ではサバイバーと尊敬する先輩が名付けた。

いみじくも自身が選択をして乗った船である、黒船でも泥舟でも正直どちらでも生き続けられる術は必ずある。泥舟に見えても悲観することはない、黒船に変えよう。黒船であれば、風をうまく捉え、大きく成長すべきである。そして最悪、船は乗り換えればよい。

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