優越と劣等の話
出会って間もない人と会話をした。話していくうちに、彼はとても頭のいい人なんだということが解る。それと同時に、私は劣等感を感じた。私は、彼と私の間に距離を作った。彼は埋まらない距離を感じ始める。私の中に劣等感がある限り、彼との距離が”親しい”といえるほどに近づくことはないだろう。
劣等感と優越感は表裏一体だ。
誰かに対して劣等感を抱くということは、また違う誰かに優越感を抱いているということ。
どちらの感情を抱いたとしても、経験上、その相手との本当に健全な人間関係は作れそうにない。
仕事や友人関係は続けられる。表面上は問題ない。
だけど、なんだかちょっとだけ無理をしないと付き合えない。
劣等を感じる相手に対しては背伸びをしなければならないし、優越を感じる相手と一緒にいると自分が嫌になってくる。
「相手にどう思われるか」「親に、先生に、上司にどう思われるか」という、自分の評価基準が自分の外にある人生を長く送ってきたもんだから、脳が自動的に他者と自己の比較を行ってしまう。
「自分を苦しめている」と理屈で解っていても、そう簡単に何十年続けた思考パターンが変わるもんでもない。
「過去や未来の自分と比べる」
繰り返し繰り返し、10年20年かけて、自分と対話しながら矯正していくしかない。気の遠くなる作業だけれども、それ以外にないんだ。