―親が子どもに養いたい一番大切な力― レジリエンスを育む8つのステップ
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―親が子どもに養いたい一番大切な力― レジリエンスを育む8つのステップ

ONENESS MAG - ワンネス財団

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「わたしは、決して失望などしない。なぜなら、どんな失敗も、新たな一歩となるからだ」と言ったのはトーマス・エジソン。彼のような偉大な発明家を目指さしてはいませんが、失敗や苦労を経験し、それを糧にしていくことが生きる上でとても大切だってこと、筆者も数えきれない程の苦い経験から十二分に理解しています(ずいぶん打たれ強くなりました。苦笑)。

でもやっぱり辛いです、失敗。できることなら避けたいです。そして自分が大切に思う人が打ちひしがれる様子を見るのは自分のこと以上に辛い。我が子だったら尚更です。しかし、我が子の行く手を先回りして「障害物」を取り除いたりすることには意味が無いばかりか、大切な成長の機会を奪ってしまうことは読者の皆さんもご存じでしょう。親として心がけたいのは、障害物を取り除くことではなく、生きていく上で避けられない苦難を乗り越える力「レジリエンス」を育てることです。

以前「メンタルを強く保つ5つの方法」にも書きましたが、「とにかくやってみろ」「気合いだ」という言葉に代表される「精神論」や「根性論」はもはや「時代遅れ」という認識が広がっています。個々人の個性や能力を無視した導きや押しつけはストレスを招き、失敗の原因を振り返ることなく気合いで乗り越えることを求めても、経験からの学びは少なく、失敗が繰り返されて効率が悪いからです。

では子どもたちが困難に打ちひしがれても再び立ち上がり、目標に向かって前進し続ける「レジリエンス」を獲得していくために、私たち親はどんなサポートができるのでしょう。

主なレジリエンスの研究は2000年代初頭から始まっていますが、それらの結果から、レジリエンスを高める要因は、前向きな姿勢、楽観主義、感情をコントロールする能力、失敗を有益なフィードバックとして捉える能力であること、レジリエンスは教えることができるスキルであることなどが明らかになっています。

今回は「Resilience in Children: Strategies to Strengthen Your Kids」(Katie Hurley, LCSW 2020 PSYCOM)を中心に、過去の研究から明らかになった、子どもにレジリエンス養う具体的な方法についてご紹介していきます。

レジリエンスを育む8つのステップ

① まずは親が認識を変える

どんな子どもでも程度の差こそあれ、成長の過程でストレスに遭遇します。テストの結果、友達との衝突、クラブ活動での挫折、家庭環境など、子どもにとってのストレスは多方面からやってきます。それらのストレスは、時に大人にとっては小さなことに思えますが、子どもにとっては全てを飲み込んでしまうほどとてつもなく大きなことに感じられる場合が少なくありません。ですから、まず親がすべきことは、自分自身の考え方を変えてみることです。子どもが直面する問題を軽視せず、子どもが既に持っている問題解決の方法を練習し、新しい方法を見つけ出し、レジリエンスを養う機会だと捉えるのです。過去にうまくいった方法を押し付けることは避けなければなりません。このように思考を変えることで、「自分は強い」「困難は乗り越えることができる」というマインドを子どもに養う準備が整います。

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② しっかりと向き合う

子どものレジリエンスに欠かせない一番の要素は、支えとなる親や養育者の存在です。物事に対処する能力は、思いやりのある人間関係の中で培われます。そのため子どもに無条件に支持していること、愛していることをしっかり示すことが大切です。ゆったりとした時間を確保し、携帯電話を離れた場所に置いて向き合います。そうすることで子どもは助けや助言を求めても良いことを感じ取り、困難な状況を乗り越える意欲が内側から湧いてきます。

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③ 健全なリスクテイク

現代の子どもたちには、怪我をしないように配慮された設備環境や、ITツールによる大人のモニタリングなど「安全網」が張り巡らされています。そのような環境で育ってきた子どもたちに勧めたいのは、「健全なリスク」を取ることです。「健全なリスク」とは、自分の心地よい領域から飛び出すような活動で、失敗した時のダメージが少ないものを指します。例えば、新しいスポーツに挑戦する、学校の演劇活動に参加する、内気な友達と会話をすることなどが例に挙げられます。「健全なリスク」を乗り越えることで、子どもたちの内面は少しずつ鍛えられます。一方で、リスクを避けてばかりいると、「自分は困難に対処できるほど強くない」という意識が根付いてしまいます。

④ 解決に乗り出す気持ちをグッと抑えて質問する

子どもから相談され「待ってました!」とばかりにレクチャーを始めてしまった経験、誰にもあるはずです。親としての自然な反応です。次回はそこをグッと抑えてまずは子どもの言葉を受け止め、質問をしてみましょう。そうすることで問題を自分なりに捉え直し、解決策を自分で見出すことを助けることができます。

⑤ 感情にラベリングする

ストレスがたまると、感情が高ぶります。子どもが自分でも説明がつかない感情やモヤモヤした気持ちに圧倒されている時には、優しく問いかけて気持ちを言葉にする手助けをします。例えば、「頑張ったけど認めてもらえなくて悔しいのかな」「たくさん宿題があって焦っているんだね」といった言葉がけです。そうすることで子どもは自分の体験の意味を冷静に見つめ、理解することができるようになり、不安、悲しみ、嫉妬といったネガティブな感情は特別なことではないと分かるようになります。またそれらは長くは続かず、やがて過ぎ去ってしまうものだと考えることができるようになるのです。

⑥ 子どもの失敗も自分自身の失敗も受け入れる

レジリエンスを養うためには、失敗は学びを得る絶好の機会だということを、親が言葉や態度で常日頃から示すことが重要です。時には自分の失敗談を子どもに聞かせることも良いでしょう。反対に親が結果ばかりを重視すると、子どもは失敗を恐れ、強い不安を抱き、逆境を乗り越えるどころか、挑戦することにも抵抗を示すようになります。

レジリエンスを育む8つのステップ-03

⑦ 外に出る

ストレスに悩まされている時は、外に出るだけでリフレッシュされ気分が晴れやかになりますが、日常的に外で自由に遊ぶことは、それだけでレジリエンスを養うことに繋がります。虫捕り、キャッチボール、鬼ごっこなど、どんな遊びにも失敗はつきものです。失敗したら次にどうすれば良いかを考え、次の方法を試し、やがてうまくできるようになると「やり続けたらできるようになるんだ」と思えるようになります。そこまで遊びに浸る時間は子どもの成長と共に確保が難しくなりますが。レジリエンスを高めるためにも、豊かな感性を養うためにも、遊びに没頭する環境と時間の確保はとてもとても大切です。

⑧ コントロールできることに集中させる

最後に特に思春期以降の子どもたちを対象に是非やってみたいことをご紹介します。それは自分がコントロールできることとできないことを分けることです。多くの場合、コントロールできるのは、自分の感情、物事の捉え方、起こることへの反応、他者への接し方です。一方、他者の感情、思考、行動をコントロールすることはできません。これに基づいて物事を俯瞰できるようになると、問題に圧倒されることが少なくなり、自分がコントロールできる範囲内で前向きな選択をすることができるようになります。また、自分がコントロールできない部分に対する過度な責任も感じなくなり、気持ちが楽になります。この思考を身につけることができると、レジリエンスの鍵となる要素とも言われる「楽観性」が備わってくるようになります。

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まとめ

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今回は子どもたちのレジリエンスを高める方法についてご紹介しました。「②しっかりと向き合う」の部分でもお伝えしましたが、レジリエンスの要となるのは、自分自身を無条件に受け入れてくれる人の存在です。ですから、親や養育者の手を離れた後も、子どもたちが安心して挑戦し、失敗し、再び立ち上がって前に進み続けられるように、私たち親は支え合える関係性を作ることの大切さも伝えていかなければなりません。

子どもたちに伝えたいことはたくさんありますが、大事なことはここに挙げた全てのことを、親である私たち自身が実践し、日々の逆境から立ち直り、起こることを前向きに捉え、成長を見据えてイキイキと生きることなんだと思います。そしてただ背中で見せるだけでなく、心の変化のプロセスを子どもたちと共有できたらとても素敵だと思います。

(寄稿:泉谷道子 - 心理学博士)

引用文献:

“Resilience in Children: Strategies to Strengthen Your Kids”(Katie Hurley, LCSW 2020 PSYCOM)

https://www.psycom.net/build-resilience-children

“How to Raise Resilient Kids” (Amy Mezulis, Psychology Today 2022)

https://www.psychologytoday.com/us/blog/whats-parent-do/202203/how-raise-resilient-kids

「遊びに浸る経験が子どものレジリエンスを育む」(日経Woman, 2020)

https://dual.nikkei.com/atcl/column/17/070500106/051200013/

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