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サド侯爵夫人・わが友ヒットラー

三島由紀夫 新潮文庫2003年版

・あらすじ
獄に繋がれたサド侯爵を待ちつづけ、庇いつづけて老いた貞叔な妻ルネを突然離婚に駆りたてたものは何か?

ー悪徳の名を負うて天国の裏階段をのぼったサド侯爵を六人の女性に語らせ、人間性にひそむ不可思議な謎を描いた『サド侯爵夫人』。

独裁政権誕生前夜の運命的な数日間を再現し、狂気と権力の構造を浮き彫りにした『わが友ヒットラー』。三島戯曲の代表作二編を収める。(本書あらすじより引用)

・感想
去年の5月頃、ある人から勧められた作家さんで、別作品もあることにあの後気づいたので、読んでみたいと思いました。去年の5月末ぐらいに「美徳のよろめき」を読みましたが、まあ…難しくて…(笑)「まだまだだな」と思ったのも記憶に新しいです。

「サド侯爵夫人」は、夫が獄に閉じ込められ、離れ離れになり、帰りを待つ夫人の話です。そして、最終的に待つことにくたびれたのか、いそいそと彼のいる獄中に行く話です。離れ離れになっている夫と早く会いたいという感じがとてもにじみ出ていました。

「わが友ヒットラー」はレーム事件を題材に、独裁者の誕生を描いた作品です。ただ対話形式のものですが、とても残虐な描写が多かったように感じました。政治の勝手な決定で、多くの命が失われていることは、今、世界で起きていることととても似ていて、「歴史は繰り返すものなんだな。」と読後に考えました。

あとがきに、女脳と男脳が存在していて、「サド侯爵夫人」は女性同士の話なので女脳を意識して書いて、「わが友ヒットラー」は男性同士の話なので、男脳を意識して書いたそうです。これらの作品は対になるように執筆したそうです。こういった書き方のものは、初めて見る形だったので、とても面白かったです。

・書籍情報
初版発行:2003年6月1日

発行元:新潮社

定価:980円+税




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