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小説君の名は。

新海誠 2016年

・あらすじ
山深い田舎町に暮らす女子高生・三葉は、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。一方、東京で暮らす男子高生・瀧も、山奥の町で自分が女子高生になる夢を見る。やがて二人は夢の中で入れ替わっていることに気づくがーーー。出会うことのない二人の出逢いから、運命の歯車が動き出す。長編アニメーション『君の名は。』の、新海誠監督みずから執筆した原作小説。

・感想
今、『すずめの戸締まり』で話題の新海誠監督の作品です。公開は6年前の2016年。『天気の子』の前です。当時、小学5,6年くらいでしたが、大ヒットで凄まじい勢いの人気ぶりだった記憶があります。学校でも友達との会話で何度も聞いた名前でした。先日、近所の図書館に初めて行ったときに、ちょうどこの本があって、懐かしいと思って、すぐに手に取りました。当時、映画、そして児童文庫で読んだ記憶があったのですが、6年たった今、内容を振り返ってみると、薄ぼんやりとした記憶になっていました。

まず、入れ替わったときの、ちぐはぐ感が当時と同じく面白く感じました。見た目は女子なのに言葉遣いや行動が男子になっていたり。状況がよくわからなくて、お金を無駄遣いしたり、入れ替わった相手の体に興味を持ったり、好き勝手し始めていたので、次に入れ替わったときに備えて二人がルールを作ったりしてやり取りしている姿が、印象的でした。お互いに見たことも会ったこともない二人が、まるでものすごく親しい間柄のように感じました。

後々、入れ替わりの理由を気にし始めた瀧は三葉が暮らしているであろう町に向かうのですが、その町は三年前の彗星災害で、破壊された「糸守町」だったのです。当然、町は壊滅状態で、人が住めるような環境ではありません。この災害に三葉も巻き込まれなくなったという事実を知ります。薄ぼんやりとした三葉の時の記憶を振り返った時に、ご神体に口噛み酒をお供えしたことを思い出します。瀧は、ご神体に行き、口嚙み酒を飲みました。すると…。

当時、なぜ、何の前触れもなく、面識のない別人と不定期で入れ替わり、なぜ、ある日突然それが終わったのか、よくわからないまま、映画を見た記憶がありますが、数年たって読み返したときに、未曽有の彗星災害がこれから起こるという事を予言していたということに気づいた時は、本当にこの話、よくできていると思いました。また、ここに出てくる主人公二人は、高校生で、自分も今、同じ高校生なので、当時とは違う形で感じるものがあって、こう考えると、「本って残るんだな~」と思いながら読んでいました。

新海さんは別作品も数多くあって、映画は見たことあるのが多いのですが、本の方はあまり読んだことがなかったので、ほかの作品も読んでみたいと思いました。

・書籍情報
この本は2016年6月25日に刊行されました。


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