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一生モノのギターを壊してしまった話

昨日の夜、福島駅で路上ライブをしているときに事は起こった。
ライブ中盤、遠目ながらも少しずつ聴いて下さる方が増えてきて、さあこれから!というところ。とっておきのバラード「青リンゴ」のイントロでDのコードを鳴らしたときだった。

突如手からギターの感触がなくなった。驚いて手元を見ると、悲しい背中を見せながらギターが地面に落下していくのがスローモーションで見えた。

ゴトッ

鈍い音がした。急いでギターを拾い上げると、トップ板の端が欠けてしまっているようだった。
そして、足元に目をやると、その原因が分かった。8年間使ってきたギターストラップの紐が切れたのだ。しかも同時に2箇所。共に45の都府県を巡り、様々なライブに出演してきた盟友の最期は、あまりに呆気なかった。

ストラップを治すことはできそうになかったため、仕方なしに座って演奏することにした。
その後も聴いてくださる方もCDをもらってくださる方もおり、その日のライブ自体は楽しく終了した。

その後、仙台行きの電車に乗り込み、自宅を目指した。一刻も早く明るいところでギターの状態を確認したかった。
自宅に戻って確認してみると、トップ板は割れていなかった。しかし、トップ横のバインディングを激しく地面に打ち付け、一部が欠け、一部にヒビが入ってしまったのである。

破損した木部。茶色いパドックのバインディングが割れているのが分かる。

本来であれば、リペアショップなどに持っていき、修理していただくのが筋だろう。しかし、私はそれが腑に落ちなかった。
M社長に何度も相談してオーダーした一生モノのギター。言わば、体の一部も同然である。
私の知らないところでリペアしていただくというのが申し訳なくもあり、また悲しくもあった。ネックが真っ二つに折れてしまったと言うなら、迷わずお願いするのだが、表面のヒビであれば自分にできることがあるはずである。自分で修理して表面が若干歪になったとしても、自分の傷跡と同じように受け入れることができると思った。

ネットで調べると木部の修理には、タイトボンドという木工用ボンドよりもさらに強力なボンドを使うらしい。表面には、アクリルラッカーを吹き付ければ良いだろう。

大学院時代、研究のために木材を加工、塗装した経験が少しはあったため、当時の知識を活かしながら治すことができるかもしれない…。

翌日、私はホームセンターに向かい、タイトボンドとアクリルラッカーを手に入れ、ギターのリペア計画が始まったのだった。

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