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【エヴァ考察】これまでのサードインパクト

今回は空白の14年に起きたサードインパクトについて,シンエヴァPKGにも触れつつその全貌に迫りたいと思います.


1.セカンドインパクト

(0)はじめに

サイクロプス父さんによれば,インパクトは全3回の構成です.

セカンドインパクトによる海の浄化.サードによる大地の浄化.そしてフォースによる魂の浄化.

『シン・エヴァ』

あらかじめ本記事の戦略を説明すると,他のインパクトの検討を通じてサードインパクト(以下「サード」と略記)の姿を浮かび上がらせるといったことを試みます.比較して見えてくる共通点のアナロジーでサードを考えます.

というわけで,まずはセカンドインパクト(以下「セカンド」),フォースインパクト(以下「フォース」)のなかで参考になりそうな点を洗い出します.


(1)破の脚本

セカンドは旧南極カルヴァリーベースで起きました(ミサト).参考となる脚本を長いですが引用します.太字に注目してください.

○セカンドインパクトのイメージ描写。(回想)※もっといいイメージを一考。
南極に巨大な槍が運ばれている。
天を覆う巨大な顔
背中と頭上に光の輪を持つ4体の光の巨人。お互いの背中から光の尾が伸 
びている。
巨大な翼を広げる光の巨人たち。
赤い海へ変わっていく南極大陸。
爆心地に傾いたままそびえ立つ巨大な十字型の生命の樹らしき物体
赤い色が海面を染めていく。
を、見つめる少女。爆心地でのただ一人の生き残った人間。少女時代のミサ
トである。
手に父親の形見となった十字のペンダント。
加持の声「15年前に行われた、南極で発見されたアダムと呼ばれる物体の調査。彼女の父親はその指揮を取っていた。その調査中にセカンドインパクトは起こった。君と同じ14歳の時だ」

破全集248頁(太字強調引用者)

シンエヴァを経た我々にとってこの文章は既視感でいっぱいだと思います.もっとも,書かれている内容の多くは本編で映像化されておらず,単純に省略されたのか,それとも内容自体に変更が加えられたのかはわかりません.そこでこれをすべて真実と受け取っていいかは慎重になりますが,今回はその指摘のみして概ね変更はなかったと考えて進めたいと思います(特に本編との間に大きなズレがないため).

以下では取り上げていく脚本のポイントを挙げ,それについていくつか指摘していきます.その際,旧劇サードを大いに参考にします.というのも,『シン・』のアディショナルインパクトのビジュアルが旧劇サードと同じだったからです.


①「アダム」「天を覆う巨大な顔」
旧作と同じく,南極に存在したアダムが旧劇サードのリリスのように巨大化している様子がうかがえます(新劇アダムの存在は「アダム新劇場版:再訪」←URL埋め込み以下同じ).


②「背中と頭上に光輪を持つ4体の光の巨人」「巨大な翼」「光の尾」
脚本の巨人は破の回想シーンで見た4体でしょう.アダムスと言われています.

また光の翼と尾についてもNHG(アダムス)を彷彿とさせます.上の4体も光の尾があったのではないでしょうか.隠れて見えないだけで.

というのも脚本だと光のエネルギーの数は1体に3本(翼と尾).4体で合計12本のエネルギーを発生させていますし,同じくアダムスとされるNHGがフォースで合計12本発生させていたことも確認できるので.

いったん脱線します.頭上の光輪とは別にある「背中の光輪」も指摘したい.劇中でも何度か見られました.モチーフは聖人や仏像の後ろにある光の輪でしょう.

宗教によって,またそのデザインによって後光だったり光背こうはいだったり,アウレオラやニンブスとも呼ばれます.キリスト教絵画でこの光輪をまとった人物が描かれたらそれはイエスを意味します.

エヴァの場合,イエスのそれをモチーフにしていると考えられるわけですが,いまのところはこの光輪を「贖罪を果たした神の子→生命の実を得た存在」の象徴というざっくりな予想しかできていません.劇中には他にも様々な光輪が見られ,それぞれの区別,位置付け等検討事項が多く脱線では手に余ることもあり,今後の課題とします.

ちなみに光輪の考察で解決しそうなことは,旧南極の十字にあった光輪や,第3村での別レイのそれ,特典の『-46h』でインフィニティ登場シーン等です.いずれも先ほどの予想が当てはまりそうな方たちではあります.


③「巨大な十字型の生命の樹らしき物体」
話を元に戻します.脚本の十字物体の正体は,5体目のアダムスと推測しています.5体目が旧南極に存在したこと自体はシンエヴァ本編で5つ目の十字架が確認できたので問題ないでしょう(下記画像).

手前に「傾いたままそびえ立つ」のはそれか.アダムの可能性も捨てきれず.

また,旧劇サードの初号機が同様に十字物体になっていたことからもそのように考えられます(下記画像).

初号機とロンギヌスの槍が融合した生命の樹

脚本の十字物体は5体目のアダムスが槍と融合して成ったものでしょう.


(2)生命の樹の行方

続いてこの十字物体=生命の樹に注目します.旧劇では生命の樹となった初号機はリリスの額に取り込まれました(下記画像).

脚本には空を覆うほど巨大な顔が描かれており,旧劇サードと同じ様なことが起きたと考えられます.つまり5体目のアダムス(十字物体)がアダムに取り込まれた.

ちなみに旧劇では初号機がインパクトのトリガーでしたから,新劇セカンドのトリガーは十字物体になった5体目のアダムスと考えることができます.

また脱線しますが,上記に加えて十字物体が"傾いている"描写から,脚本の描写はサードが完了あるいは中断された段階を描いていた可能性があります.旧劇で傾いたことはないので,傾きはなんらかのトラブルを想起させます.すると天を覆う顔は旧劇巨大レイがそうなったように宇宙から落ちてくるちぎれたアダムの頭部の可能性があるわけです.

続いて,仮に中断だった場合,その詳細,例えば阻止したのは誰?といったことが気になります.止めた人物の候補は葛城博士でしょう.サードを止めたのが加持リョウジだったことを考えるとミサトの関係者で韻を踏めますし.制作陣が考えそうな筋書きかと.大事な人に絶対先立たれるマン葛城ミサト…

セカンドの分析は以上になります.ここまでを簡単にまとめると,①セカンド回想の脚本は本編と矛盾しないので事実として扱ってよさそう.②セカンドは旧劇サードと似ており,旧劇サードの初号機の役割は5体目のアダムスが担った.

なお,この5体目が日本に漂着,回収され第13号機の素体の一部となったであろうことは過去に記事にしました(詳しくは「13号機とシンクロの話」).




2.フォースインパクト

次にフォースです.フォースといっても『:Q』のフォースと『シン』のフォースがありますがまとめて検討します.とりあえず先ほどから注目している①光のエネルギー,②トリガー,③生命の樹=十字物体の観点から見ていきます.

(1)光のエネルギー流

セカンドで4体のアダムスが発生させていた光の翼と尾.Qフォースではネルフ基地から発生しています(下記コンテ).また,『シン』ではNHGが各3本×4機で12本出していました.この点は各インパクトに共通のようです.

Qコンテ.マーカー引用者


(2)儀式のトリガー

次にインパクトのきっかけ,起爆剤となるトリガーはどうか.セカンドは5体目のアダムス,Q及びシン・フォースは13号機でした.結局のところ,5体目のアダムス(生き残り)が13号機に姿を変えつつ,三度もトリガーを担ったことになります.


(3)生命の樹らしき十字物体

先ほどセカンドの十字物体が巨大アダムに取り込まれた可能性を指摘しました.シン・フォースではエヴァインフィニティで構成される十字物体(下記画像)が巨大レイ(イマジナリー)に取り込まれた可能性があります(このとき13号機が十字物体にならなかった理由も含めて詳しくは「インパクトの方術試論」の5).

ちなみに,Q・フォースはシン・フォースの要となる黒き月の復活が目的なので,巨大レイは登場しませんでした.したがって十字物体も現れず,ということでしょう.

フォースの分析はだいたい以上になります.ここでも簡単にまとめると,フォースもアディショナル・インパクトによる巨大レイまで含めれば,見た目は旧劇サードに似ていることです.

ちなみに,旧作の補完計画と新劇の計画とでは背景が異なります.両者の異同は別記事で整理してあるので,この記事の後にでも確認していただければうれしいです(「続・ナウシカの続きとしてのエヴァ」).




3.サードインパクト

では,これまでの分析を踏まえてサードインパクトに切り込んでいきます.ここでも上で検討したインパクトの共通項,すなわち光のエネルギー流,トリガー,十字物体の観点から考えていきます.これらがサードでも見られると考えられるからです.


(1)光のエネルギー流

まず,サードのエネルギー流はどこから発生したか.上で検討したインパクトとは異なる可能性が指摘できます.

どういうことかというと,サードの内容を示唆するゼーレ(キール)の台詞に「真のエヴァンゲリオン.その誕生とリリスの復活をもって,契約の時となる」というものがあります.

そして,シン・フォースではNHGを用いた方術が「人工的なリリスの再現」(冬月)と言われ,おそらくQ・フォースの際にエネルギー流を発生させたネルフ本部もそれに近い呼称が与えられたと予想できます.

そして,この「リリスの再現」と「リリスの復活」が同時に執り行われることは考えにくい.そこからサードでは「再現」は行われないということが予想されます.

ではどのように?となりますが,先に結論を言うとサードのトリガーは初号機なので光のエネルギーは初号機が発生させると考えます(サードのトリガー初号機説).

初号機についてはニアサーが参考になります.あのとき初号機は何本も光のエネルギーを発生させていました(下記画像).少なくともアダムスと異なり1機で4本以上は発生させている.

これが光のエネルギーであることは下記コンテ参照
破コンテ.マーカー引用者

なんなら旧劇では光の翼が12枚生えていたので,ニアサーや新劇サードでも単独で12本のエネルギー流を発生させていたと考えられます(次の記事で解決(のつもりです)「初号機の素体」の2).だから単機でガフの扉を開けた.

こうした初号機の特殊性は,他の機体では歯が立たなかった第10使徒を瞬殺したことに加え,シンエヴァ最高潮の瞬間の1つ,碇のわがままもといヴンダー対NHGにおける高雄「でも主機はこっちが上だ!」という台詞にも表れています.初号機のパワーは理由は不明ですが他の機体よりも強い.こうした強さの点がエネルギー流に関係していると考えたい.

・最強のエヴァンゲリオン?
脱線します.何を唐突にとは思いますが,どの機体が最強かを考える際の視点が意外と参考になるかと思ったので取り上げます.ここでは最強の基準を,仮にNHGの主機に使った場合どの機体が1番馬力を出してくれるか,と設定します.

対象はとりあえず初号機,13号機,8号機とします.次に判断するための考慮要素をどう設定するか.これもとりあえずパイロットの数,吸収した生命の実の数にしましょう.以下に簡単にまとめます(Pはパイロット).

初号機:P(シンジ,レイ,コアにユイ),第10&11使徒(※)
13号機:P(カヲル,アスカ,コアにゲンドウ),第12&9使徒
8号機:P(マリ),Mk9〜12.

吸収した敵の数は8号機が1番多いですが,パイロットの数と生命の実の数の合計でみるといずれの機体も5つで揃っていることに気づきます(一応8号機のコアには誰もいないことにします).もっとも,8号機が取り込んだアダムスの器は使徒のようにオリジナルの生命の実ではなくその模造品の可能性がある点,影響はないか問題になりそうです.また,初号機と13号機はともにリリスとアダムという神の魂を擁していることは強さに関係するか.そして,シンエヴァで魅せた8号機の圧倒的戦闘力,その一方で13号機も寝起きのくしゃみで巨獣化新2号機を葬ったり,初号機も単機でインパクトを起こしたりとそれぞれ魅せます.

このように議論は尽きませんが,ここでは初号機と13号機が対であることの内容の一部が垣間見えること,そして少なくともアダムスの器より初号機が主機として優れていることの理由に持ち合わせる魂の数が関係するかもしれない,といったように考えてみると意外な収穫があることを指摘したかった脱線でした.
※初号機が第11使徒を取り込んだというのは筆者の独自見解(後述(4)).


(2)トリガー

話を戻して,トリガーついてもう少し考えます.本記事が拠って立つサードのトリガー初号機説は次の台詞を根拠とします.

(Q・C-0809)カヲル「一度覚醒しガフの扉を開いたエヴァ初号機は、サードインパクトのトリガーとなってしまった.リリンのいうニアサードインパクト.全てのキッカケは君なんだよ」

(Q・C-1151)アスカ「ガギシンジ、またサードインパクトを起こすつもり?」

この2つの台詞を素直に読むかぎりサードのトリガーは初号機(シンジ)なのですが,そう簡単には済まない状況のようです.というのもサードのトリガーMark.06説が唱えられているからです(代表的なものに下記動画).

筆者の理解する範囲でこの方の説明を紹介すると次のようになります(間違いがあるかもしれず各自確認お願いします).

上記動画には次の説明はありませんが,他の動画だと『:破』のゼーレの台詞に注目しています.すなわち,リリスの復活と真のエヴァンゲリオン(Mk6)の完成を契約の時,すなわちインパクトを起こすタイミングとするという台詞を,Mk6がトリガーである根拠の起点にしています.

そして先ほどのカヲルの台詞「一度覚醒しガフの扉を開いたエヴァ初号機は、サードインパクトのトリガーとなってしまった.リリンのいうニアサードインパクト.全てのキッカケは君」を次のように読みます.

まず「サードインパクト(中略)すなわちリリンのいうニアサー」と理解します.カヲルはニアサーとその後のサードの両方をサードと呼んでいるというのです.カヲル限定の用法らしいですがサードには2つ意味があると.先ほど筆者がQフォースとシン・フォースと分けてフォースには2つあるというようなものですね.

そして「一度覚醒し〜トリガーになってしまった」部分はまとめてニアサーの出来事を指していると解釈します(ちなみに初号機説からはニアサーを起こした初号機がサードのトリガーに利用されちゃったと読みます).以上から,初号機はサードといってもニアサーのトリガーであって後続サードのそれではないと.

また,上記動画では『-46h』のインフィニティの首が初号機だった点について,インフィニティはニアサーによって既に発生してて,サードはそれらを地上に顕現させただけという理解を示しました(「全てのキッカケは君なんだ」の解釈としても).筋は通っていそうです.


(3)生命の樹のような十字物体

さて,異なる見方もあることを確認したところで自説の論証に戻りたいと思います.生命の樹たる十字物体に注目しながらトリガー初号機説を検討します.

上述の通り,セカンドとシンフォースでは生命の樹(十字物体)が巨大化した神に取り込まれました.このことはおそらくサードでも同じだろうと踏んでいます.すなわち,サードでは初号機が変身した十字物体が"復活した"巨大化リリスに取り込まれた可能性を指摘できます.

手がかりは次の画像です.本編と異なる絵ですが見逃せない情報があります.

『庵野秀明展』よりQのイメージボード.マーカー引用者 

絵の真ん中上に「サルベージのあと(立杭)」とあります.おそらくリリスに取り込まれた十字物体を取り出す際に開けた穴と思われます.そしてサルベージされた十字物体は本記事の立場からは初号機です.

また,絵のリリスが真っ赤であることにも注目したいです.おそらくコア化の表現でしょうが,そうだとすると次の画像につながります.

画像でも確認できますが,柩の中の初号機は「コア化状態」です(Q原画集上43頁).このコア化はサードの際にリリスに取り込まれた名残りと考えることができます.ニアサーで初号機がこの状態になるとは考えづらい(cf. 破次回予告).この機体のコア化状態自体が,初号機がサードに強く関わっていたことを推認させます.リリスに取り込まれる初号機についてはもう一度後で触れます.

トリガー初号機説に立たない場合,おそらく初号機のコア化はサードに巻き込まれたからという理解になるかと思います.大地のコア化と共に赤くなったと.


(4)贄

さて,初号機トリガー説には次の疑問が生じます.贄問題です.インパクトのトリガーとなった機体はいずれも使徒の贄が捧げられました.サードではどうだったのか(なおセカンドは使徒の代わりに槍を使用.詳細は「インパクトの方術試論」の2).

これについて,まず初号機に刺さった槍を抜けば直ちにニアサーの続きが始まるといった事態はおそらく起こりません.それは『:Q』で覚醒した上で槍を自らに刺した13号機が『シン』で新たに使徒の贄を必要としていたことから推測できます.

初号機の贄となった使徒とは,もちろん本編で登場することのなかった第11使徒ということになります.なお筆者は第11使徒=碇シンジ説(あるいは初号機説)には立っていません(簡単には「第11使徒/マリの正体(仮)」).

第11使徒については『庵野秀明展』公開資料を根拠に第12使徒と共にリリンに捕らわれている可能性があり(詳しくは「使徒の量産化?」),したがって『:Q』で第12使徒が自らを13号機に捧げたように,第11使徒も初号機に自らを捧げるかたちで再度初号機は覚醒状態に至ったと予想しています.

なんなら全く同じ事が起きた可能性も.使徒が取り付いたエヴァの首をMk6が刈るとか.

また,聖なる槍を使徒の贄の代わりに用いた可能性もあります(「インパクトの方術試論」).

以上,サードのトリガー初号機説の立場から空白だらけのサードを埋めてみました.




4.サード周辺

初号機以外にもサードでキーとなった方々がいますので触れていきます.

(1)リリスの復活

まずは,先ほど触れた次のゼーレの台詞です.サードのトリガー初号機説はこの台詞をどう読むのか.

(破C-0828F, 0829A, 0829B)
キール「我らの望む,真のエヴァンゲリオン.その誕生とリリスの復活をもって,契約の時となる.それまでに,必要な儀式は執り行わねばならん.人類補完計画のために」

「リリスの復活」の具体的な内容ですが,①その胸に刺さる槍を抜くこと,そして②取り出したと思しきコアに代わるものを代入することの2つと考えています.リリスにコアがないことは多くの方が指摘しているように,リリスの胸の縫合跡からの推測です.

このことは新劇の世界では碇ユイが(元)リリスであることの表現と理解することにもつながります.コアがないことは,コア=魂=心がリリスにはなくユイにあることの表現(詳しくは「ゲンドウの話/リリスの転向」冒頭の参考動画).

続いてコアの代入とは,旧劇のオマージュが行われていそうという特に根拠のない予想です.

ただいまおかえりィィ

もっとも,槍を抜いただけでリリスが動くとはどうも思えないということも理由としてあります(旧作では脚が生えただのみで動き出したりはしませんでした).まだ生煮えの考察なのでこれくらいしか述べられないです.

ちなみにコアに代入されるのはもちろん全身コアのアヤナミレイです(レイについては差しあたり「式波アスカのオリジナル」の2).コアとは魂の物質化ですからこのレイはリリスのコアの代用になりうると考えています.

彼女らが各所で取り込まれる説

レイが取り込まれる事態は過去に何度か描かれました.『:破』では第10使徒に零号機ごと捕食され,そのことが下記画像のようにコアの表面の無数のレイとして表れました.

第10使徒のコアの表面に無数のレイの顔

『:Q』では第12使徒に取り込まれた結果が描かれます.第12使徒が13号機を包んだ際の壁に無数のレイが見られました.その際,無数のレイの描写が上の画像と同じような表現を採っていることから第12使徒に取り込まれていたと推測できます.また,さらに先ほどの画像(Mark.09越しの第12使徒)でもレイの顔になっています.

取り込まれた時期はサードインパクトのゴタゴタのどこかでということになるでしょう.その予想の1つとして,リリスにコアとして融合したレイが,さらにMk6との融合を通じて第12使徒とも融合したというようなことが考えられます.


(2)Mark.06の役目その1

続いて真のエヴァすなわちMk6について.ゼーレがどうしてこの機体を重視したのか.空白の14年と判明した例の偽予告から考えます.

ナレーションは「ドグマへと投下されるエヴァ6号機」

Mk6の投下先は英語部分「アクセスが厳重に制限されたリリス保管区域」でしょう.施設の最深部に向かって,宙に浮かべない通常エヴァはMk6のようには降りられません.おそらく諸事情であのような降り方でしかリリスの元に向かえない状況にあったと思われます.他には例えば,このときネルフ職員は幽閉状態でしょうから,他の勢力(戦自?)に施設を占拠されており,パイロットなしで出撃できる自律型に改造されたこの機体しかなかったといったような.

そしてここからが肝心なのですが,この機体が何をしにリリスの元に向かうかといえばリリスから槍を抜きコアにレイを入れるため,すなわちリリスの復活を執り行うためと考えられます.


(3)Mark.06の役目その2

リリスから槍を抜いただけかいと思われるかもしれませんが,ご存知その後,サードを止める際に再び起動します.

これについて,ドグマに降りる際は自律モードですが(Qのカヲルの台詞),サードを止める際のMk6は手動となるように思えます.

すると同機体に何かが起きたわけですが,それはネブカドネザルの鍵を使用した加持が『シン』のゲンドウのようにMk6に融合して動かしたと考えています(物語風に「使徒の量産化?」の最後で解説).ドグマ最深部にヘリの残骸があったのも,ヘリの向かう先がリリスの復活後その場で停止していたMk6を目指していたからと考えられます.

加持はゲンドウに渡した他にもくすねていたという.ゲンドウらによって排除された一因かもしれません.

加持が操るMk6がリリスの首を刎ねますが,実はここまで含めてゲンドウ(及びゼーレ)の計画通りということになります.

サードのトリガー初号機説からは,サード時のMk6の役割は以上のような理解になります.リリスの復活とサード阻止.

・トリガーMk6説の問題点
個人的にこの説の抱える問題点は,インパクトのトリガーとなりつつインパクトを阻止できるのかという点です.本文のようにトリガーを生命の樹となる機体と捉えると,Mk6は十字物体となってリリスに取り込まれつつそこから脱することになります.例がないことではないですし(ex. 旧劇初号機),取り込まれる前に中断した等諸々考えられますが,違和感はあります.

ちなみに,サードの阻止すなわちリリスの首を刎ねることは,首無しインフィニティの創出も兼ねてます(上述動画参照).人類補完計画の観点からすると首無しインフィニティは人類の知恵の喪失,すなわち贖罪,原罪の浄化を意味するので,ゼーレとしては是非とも遂行されなければならない事柄でした.彼らが同機体を重視したのはこの役目ゆえかもしれません.

ここでまた脱線ですが,サード周りのカヲル加持コンビを整理しておきます.

・Mark.06とカヲル加持
カヲルが搭乗してニアサーを阻止
加持が融合してサードを阻止

・ゼーレゲンドウの罠
サードで加持を排除(ネブカドネザルの鍵厄介だから?)
Qフォースでカヲルを排除(使徒の力厄介だから?)

なお,サードを止めた後の加持Mk6をどうやって無力化というか,2本の槍を含めてQの状態にしたかは今回もわかりませんが,おそらく第12使徒が絡んでくるのはこの辺りかなと睨んでいます.


5.初号機・リリス・インフィニティ

最後にインフィニティと初号機とリリスの関係についてどうしても触れたい.主に次の2つの問いを扱います.

Q1.リリスの首を刎ねるとインフィニティの首が取れるのはなぜか.
Q2.インフィニティが初号機と似た姿をしているのはなぜか.

これらの問いには前提があるので,まずそのことを説明します.先ほどの動画で指摘されていますが,リリスの首を刎ねたこととインフィニティの首が取れたことは連動しています.

例えば,その表現として下記画像は動画だと大量の骸骨が上から降っていました.すなわちリリスを刎ねたことと骸骨発生の時間的近接性を示すことで,ひいては両者の因果関係を示唆する描写として挿入されたと理解できます.

そこで上述Q1です.リリスの首を刎ねるとどうしてインフィニティの首も取れるのか.それはリリスがこの星の生命の源だからでしょう.インフィニティを構成するコアとは魂が物質化したものです.その魂とは元はリリスを源とする,この世界の生きとし生けるもの全てに宿っていた魂です.

次にQ2です.インフィニティはなぜ初号機の姿をしているのか.

まず,シンエヴァPKGによってコア化大地に現れるインフィニティのなりそこない=首無しエヴァ(ハイカイ)の頭部が初号機と同じデザインだったことが判明しました.もちろんシンエヴァのフォースで生まれたインフィニティの胸部装甲が初号機のそれでしたから初号機だろうことは想像はついていましたが.

インフィニティとは人類が"神の子"となるべく用意された新たな器でした.したがって,「神の子」とは神(ユイ)の子シンジのことで,彼の機体が初号機だから似ているという説明があり得ます.

しかし,個人的には,神が自らの似姿として人間を造られたという聖書(創1 : 26)に因んで,このとき神=リリスが初号機の姿をとっていたからと考えたい.リリスの魂が初号機に宿っていることは旧作と新劇で共通です.そしてこの地球上の生命の源はリリスであり,リリスはいわば創造主.被造物であるインフィニティは創造主に似せられたために初号機=リリスの姿なのだといえそうなので(なお,魂のみならず器もリリスであることは「初号機の素体」).

ここでさらに疑問を追加します.首が取れる際はリリスと連動しているのに,その姿はリリスでなくて初号機なのはどうして,という素朴な疑問です.インフィニティのリンク先がリリスと初号機と2つあり,ズレが生じています.

このズレについて,トリガー初号機説からは容易に説明がつきます.まず,インフィニティは初号機がリリスと同化する前に生まれたからその姿は初号機.その後に十字物体となってリリスに同化した結果リリス=初号機に変更になったのでリリスの首が刎ねられたことと連動した.このように考えることができます.


※サードインパクトで起きたこと(仮)

以上を踏まえてサードの出来事を時系列順で予想してみます.

①第11使徒がネルフ本部に登場.何者かが応戦.
②第11使徒が初号機に取り込まれ再度覚醒(cf. Q第12使徒戦)
③サード開始.ガフの扉が開きインフィニティ発生?
④Mk6によってリリスが復活
⑤初号機がリリスに取り込まれる
⑥加持がネブカドネザルの鍵でMk6に融合しサードを阻止
⑦第12使徒が登場.Mk6に取り憑き加持から制御を奪う?
⑧何者かによって初号機から抜かれた槍とリリスから抜かれた槍がどうにかなっちゃってMk6=第12使徒が停止する.
※上記に並行してネルフ本部でヴィレの決起.白兵戦.
※ヴィレ決起:高雄によると青バンダナは敵味方の識別のため→識別が難しい入り組んだ施設の代表ネルフ本部で白兵戦が行われたと推測.施設に敵は予告のネルフ職員幽閉の際に軍が配置されたと予想.もっとも,ゼーレ所属の加持やカヲルが司令に就任したことで,旧劇と異なりヴィレ決起まで戦闘は起こらず穏便に事が進んだと予想しています.
※ヴンダー強奪:詳細は不明ですが,サード時にはミサトらの手に渡っていたことが『シン』の回想で明らかになっています.


今回は以上になります.結局全貌を明かすこと能わずでしたが,少なくとも以前よりだいぶ真相に迫れたのではないでしょうか.最後までお読みいただきありがとうございました.


・今回引用した記事一覧
 「アダム新劇場版:再訪
 「13号機とシンクロの話
続・ナウシカの続きとしてのエヴァ
 「インパクトの方術試論
 「君の名は
 「使徒の量産化?
第11使徒/マリの正体(仮)
 「式波アスカのオリジナル
 「ゲンドウの話/リリスの転向
初号機の素体


画像:©khara/Project Eva.

※追記(2023/3/14)
「サードインパクトで起きたこと(仮)」の追加.項目立て変更,説明追加.

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