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蚊虻記

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詩歌と野記
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城とその不確かな句碑

城とその不確かな句碑

 五歳児が二俣城にある野面積み天守台の写真を見てそこへ行きたいと言うので天竜区へ赴く。駐車場に四輪を停めて本丸へ登るとゲートボール大会が催されている。

 二俣城を下りて天竜川の堤沿いに鳥羽山城へ向かう。むかしの二俣川が二俣城と鳥羽山城の間を流れていたことを思えば、二俣城は三方を川に囲まれた天然の要害と分かる。鳥羽山城を登ると秩父古生層の片理が露出している。栗はおおかた毬を残して猿に食われている。

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どよめ樹

どよめ樹

 五歳児が城に興味があるというので四輪で水窪の高根城へ赴く。新東名から三遠南信自動車道を通り、大井橋で国道百五十二号に入り北上する。車一台通れるか通れないかの山道を進む。水窪のまちなかへ着き、向市場遺跡のあたりで飯田線の踏切を渡ると、過疎地域なのに人だかりがある。秋祭ではなく、一区画が黒焦げになっている。運転席の窓をわずかに開けるとまだ焦げ臭い。火事か?

 高根城が近づくと二通りの手書き看板があ

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