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フィリピンで語学留学

 フィリピンは英語圏です。島国で統一言語がなかった頃にアメリカの植民地になって、英語が共通言語になりました。今ではテレビ番組はほとんどすべて英語放送ですから、子供も老人もみんな英語がわかります。
 英語留学というと、これまではアメリカ・イギリス・オーストラリアなどが主流でしたが、それらの国々はどこも遠い。それに比べてフィリピンは日本から近いから、早く安く行けます。
 しかもフィリピンは物価も人件費も安いですから、フィリピンの英語学校の多くはマン・ツー・マンで習えます。ここが米・英・豪と大きく異なる点で、米・英・豪では集団で勉強することになりますから、一部屋に日本人ばかり集められて、結局のところ日本で英語を勉強するのとあまり変わらないことになりがちです。それに比べて、マン・ツー・マンで習えば、学習効果はだいぶ違うでしょう。それでも安く上がるのは、人件費が安い故です。

フィリピン語学学校に潜入取材

 日本人のフィリピン英語留学は、サラリーマンの方から始まったようです。お盆休み・正月休み・ゴールデンウィークなどを利用して1週間の短期留学、あるいは会社から命令されて会社の費用で派遣されたりということが多かったようです。その後、大学生にも広がりました。そして次第に年齢層が下がってきて、最近では中高生で短期にフィリピンに英語留学に行く人も増えてきました。大学入試改革で大学入試に英会話が入るようになると、フィリピンに英語留学に行く中高生はこれからますます増えるでしょう。
 ちなみに、だいぶ前から韓国の中高生がフィリピンに大勢で英語留学していました。韓国は日本以上に受験競争が厳しくて、大学受験でも就職でも日本以上に英語が重視されていることが影響しているのでしょう。
 ちなみついでに、日本人留学生はマニラ近郊に多く、韓国人留学生はセブに集中しています。自然とすみ分けるような形になっているわけですが、そのわけは恐らく飛行機の便に因ります。日本系の航空会社はマニラだけに就航していて、韓国系の航空会社はセブにもたくさん就航しているからです。
 そしてそれにはまた訳があって、日本企業と韓国企業のビジネス展開の違いに因ります。私の感覚ではアジア一帯で言えることですが、大雑把に言えば、日本企業は首都など大都会を押さえて、韓国企業は地方で展開する。だから私がアジアのかなり辺鄙なところを旅行しても、どこに行っても韓国人ビジネスマンがいる。恐らくそんな事情もあって、日本人はマニラ近郊、韓国人はセブとすみ分けることになっているのでしょう。

 前置きが長くなりましたが、2016年の夏、フィリピンの英語学校に潜入取材しました。どのようにやったかというと、普通に英語学校に2週間通いました。
 同行者もいました。当時中学2年生だった娘です。実は私はその前年の夏にも計画を立てたのですが、当時中学1年で英語を勉強し始めたばかりの娘は乗ってくれませんでした。それをなんとか翌年は説き落として、ようやく実現したわけです。
 潜入取材以外にも目的がありました。それは、英語の勉強。私も中学1年の時からずっと英語をペラペラしゃべれるようになりたいと思っていました。結局いまだにろくにしゃべれないのですが、それから40年ほど経って再チャレンジです。今度こそペラペラになるんじゃないかと夢見て。
 もう一つの目的は、娘の英語の勉強。まだあります。英語学校は土日が休みなので、週末には娘と一緒にビーチ・リゾート。
 あと一つ、理由を挙げるなら、娘が小学生だった頃はよく一緒に海外旅行に出かけていたのですが、娘もだんだん大きくなって、次第に旅行に付き合ってくれなくなってきたので、そんな娘を連れ出す口実として「英会話の勉強しに行こうよ」と。などなどたくさんの目的をもって、2016年夏にフィリピンの語学学校に通ったわけです。

娘をフィリピンにおいてくる案

 さて、フィリピンに英語学校は星の数ほどあります。多いのは首都圏マニラとフィリピン第2の都市セブですが、私と娘が選んだのはマニラからバスで3~4時間ほど離れたところにある英語学校 CNE1 です。なぜそこを選んだのかを話しましょう。
 マニラなど都会の英語学校ではビルの一室をブースで区切ったような場所でレッスンする形が多いのですが、そんな場所で1人の先生とマンツーマンで1日6時間もいると息が詰まりそうです。それに比べて田舎の学校では木陰や庭のベンチや東屋のような屋外でレッスンできて、その方が開放的で楽しそうです。私たちが選んだ英語学校はマンゴー畑に囲まれていました。
 そこを選んだのには、他にも理由がありました。実はその学校は、幼稚園から大学まで抱える私立の総合学校で、その一部として英語学校があるのです。教員である私の関心事としてフィリピンの学校を見たいということもありましたし、娘にとっても短期の語学留学にとどまらず、先々のこととして長期で留学する可能性もあるかなとも考えました。
 「留学するなら欧米の方が良い」と言う人もいるでしょう。けれども、私は必ずしもそうは思わないのです。実際問題、日本企業がどこの国々の企業と一緒に仕事をするかと言うと、中国や韓国や東南アジアの企業と仕事をする方が多いんですね。また、多くの学生が欧米を目指すなら、なおさら東南アジア方面の方が希少価値があって、むしろ狙い目だと思うのです。
 そんなことを考えて、私は娘に言いました。「場合によっては、お前をフィリピンに置いてくるからね。父さん一人で帰っちゃうかもしれないよ」と。冗談9割、本気1割で、そう言っていました。

部屋に鍵をかけない生活

 さて、実際にその学校に通って思ったことを1つ。その学校のすごいところは、部屋に鍵をかけずに財布を置きっぱなしにしてもお金が無くならないところ。入校した日に職員の人が言いました。「4人部屋・2人部屋でも鍵が1つしかないから、誰も鍵をかけない。でも、お金が無くなったことは、これまで一度もない」と。
 これって、本当にすごいことだと思う。確かにこの学校の出入口にはガードマンがいるが、同じ敷地に地元の子供たちが通う学校もあるし、掃除をしに部屋に入る人もいる。ここで英語を学ぶ学生たちは初顔合わせがほとんどです。それでも、無くならないのです。
 日本でもこんな場所はそうそう無い。みんなが顔見知りの田舎ならともかく、都会ではあり得ない。学校でもホテルでも鍵をかけるか、財布を持ち歩くかするのが常識です。
 実際に僕も一度も部屋に鍵をかけませんでしたが、もちろん物が無くなったりはしませんでした。部屋に鍵をかけない生活は楽です。だからでしょう、自宅にいるような心地良さが、その学校にはあります。ここはフィリピン。

 この学校の良いところはもう一つ、先生たちが楽しそうにしているところ。休み時間にバスケットボールをやったり、ステージに上がってバンド演奏をしたり、学生と一緒にポケモンを捕まえたり。また、仕事という面もあるのでしょうけれど、先生たちがいろんなアクティビティーやイベントを催してくれる。
 だから学生たちの間からも、いろんな企画が自然と持ち上がる。大学で学んでいることを発表したり、自然とダンス教室が始まったり、何かしらミーティングを開いたり。もちろんそういう場面では、英語で話すのがお約束。こうして、授業以外の時間が充実しているのです。
 学校というところは、先生が楽しむことが一番大事なんだろうな。そうであれば、生徒たちは自然と学ぶ。その事情は国を問わず、年齢を問わず、同じなんだろうな、と思う。

自分のペースで学ぶ

 フィリピンの英会話学校では、普段考えてもいないような質問をぶつけられて、考えながら何とか英語で喋ると、即座に先生に直された。時制が間違っている、sがついてない、こんな言い方もあるよ、などなど。マンツーマンならではです。
 別の機会に体験で1時間ほど学んだプログラミング・スクール(日本国内でもちろん日本語で)では、ネット上の教材を見ながら自分でプログラムを組んでみて、わからないことがあったら、いつでも何でも先生に聞いていい。自分で手と頭を動かす時間が確保されながら、無駄に滞ることがない。
 どちらもとても効率的で合理的なやり方です。どちらにも大勢に一斉に説明するという場面がない。共通しているのは、
   ◯ 自分の体(頭・口・手)を使って
   ◯ 自分のペースで
   ◯ 先生の対応は即座に
という点。これ、大事なポイントだと思う。中学・高校でも見習わなきゃいけないな。
 僕がその学校に通ったのはその時の2週間だけでしたが、娘はその後に中3の時と高1の時に2度リピートして全部で3回、延べ7週間通いました。マニラ空港までの送り迎えをお願いできるので、親としても安心でした。
 その結果、英語の実力は僕は娘にはるかに置いていかれちゃった感じです。まぁ良しとしましょう。

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