マガジンのカバー画像

不定期通信

55
運営しているクリエイター

2020年2月の記事一覧

ところで僕はどこにいるのか。

ところで僕はどこにいるのか。

救急科の頃も思ってきたこと。放射線科に来てからといっても感じていること。

自分は今どこにいるのだろうか。それぞれのキャリアパスが明らかでない時代だからこそ感じることだが、医者として今の立場は真っ当なのか。

例えば今やっている手技は救急専門医として恥ずかしくないレベルかどうかと言う判断。もしくは、放射線科専攻医として何年目のキャリアに相当するレベルのスキルか、と言う評価。こう言ったマイルスト

もっとみる
凡庸の矜恃

凡庸の矜恃

僕はプロだ。医療をして金を貰っている。それを生業としているからには、走り続けなければならない。

しかし、僕は凡庸だ。万能の、何でもできるスーパーマンにはなれない。だから、人に頼る。頼らなければ前に進めない。

だから、僕は線引きをする。自分が診られる範疇と、自分が診られない疾患と、線を引く。どれだけ自分を信用してくれている患者さんにも、診られない疾患は診られないことを伝える。不甲斐なく大変に不本

もっとみる
手の届かない憧れなら、却って害悪かも知れない

手の届かない憧れなら、却って害悪かも知れない

ちゃんちゃらおかしいと笑われるかも知れないが、僕はスーパーマンになりたかった。
ブラックジャックみたいな凄い外科医に憧れたし、ヘリに乗っていた頃はコードブルーのような現場活動に不謹慎ながらアドレナリンも出た。
ただ、そう言う超人的な能力もさることながら、僕が真に求めたのは、本当に必要な時に現場を守れるタイミングの良さ、だったように思える。
自分が凡庸であることを知れば知るほど、このタイミングの良さ

もっとみる
医療をする機械になれれば良いのだが…

医療をする機械になれれば良いのだが…

noblesse obligeと言うことを大切にしている。能力が高いとなれば仕事は勝手に舞い込んでくる。逆に、評価されなければ仕事は静かに減っていく。頼まれたり求められることは、1番見に見える信用の形であり、その意味で仕事が多いと言うのは有り難いことだ。

一方で、個人の感情として納得でにないものがある。それくらい自分たちでやってみろと言いたくなる事がある。特に自分が元々やっていた業界について

もっとみる
路半ば、先は見えず

路半ば、先は見えず

雪が降ると、明るくなる。

電灯が雪で散乱して、道に雪の影ができる。札幌の冬としては有り触れた景色に初めて胸を打たれたのは、もう13年前のことだ。

色々すったもんだはあったけれど、それなりの勢いと速度で駆け抜けてきた。一つ一つのプロセスが意外に無駄になっていないのは大きく湾曲しながら正弦波のような道筋が一つ見える生き方をしてきたからだろうと思う。

研究者になりたかった頃も、僕は臨床

もっとみる