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凡庸の矜恃

僕はプロだ。医療をして金を貰っている。それを生業としているからには、走り続けなければならない。

しかし、僕は凡庸だ。万能の、何でもできるスーパーマンにはなれない。だから、人に頼る。頼らなければ前に進めない。

だから、僕は線引きをする。自分が診られる範疇と、自分が診られない疾患と、線を引く。どれだけ自分を信用してくれている患者さんにも、診られない疾患は診られないことを伝える。不甲斐なく大変に不本意でしんどくても、患者さんの不利益になってはならないと思うから、ありのままに患者さんに話す。

ごめんなさい、僕では貴方を治せません。

この言葉が嫌だから、ずっと修練して来たのだけど、やっぱり、この壁を越えられない。

僕は凡庸だ。スーパーマンにはなれない。

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