見出し画像

丁寧な暮らしって?

最近よく聞く「丁寧な暮らし」をしている人のイメージは優雅とか、余裕がある、素敵などと、ついこないだまで思っていた私。いや実際そういう人はSNS上でもたくさんお見かけする。

ただ、自分がそこに敷居を感じなくなったのは、都内某区から隣県の郊外へ引っ越したことがきっかけだ。自転車で隣の区から区へ、徒歩で雷門もスカイツリーも拝める地に一昨年まで住んでいた私。

リモートワークもメインになって、寝に帰るだけの狭い空間に暮らすのに嫌気がさし、3日悩み思い切ってひとり2LDK陽当たりのいい地に越したという経緯。

今郊外で暮らす私の家の近所には、22時をすぎて空いている飲み屋は皆無。いちお住宅地だが、人通りすら日夜ともに怪しいほど少ない。飲み足りない時は、セブンイレブンか深夜までやっているお酒も取り扱うドラッグストアへ、という選択肢=家で飲み直すの一択である。

そうした暮らしは、言わずもがな自炊に励み(嫌いじゃない)、友人を招いて家飲みをひらいてみたり、ひとり晩酌してみたり、だらだら読書したり、ながらラジオで家事をしたり。コーヒーは豆から挽いて飲み、焼きたてのバケットを買ってきて好みのサンドイッチを作る。ゆっくり湯につかり、観葉植物を愛で(話相手)…。といった具合に、自然に暮らしが丁寧になっていったのだ。

ふらりとデパートに行くこともなければ、電車に乗らなければ友だちにも会えない。要するに暇なのかもしれない。時間に余裕があり、40も過ぎれば落ち着いた日々の繰り返しが、結構しあわせである。

ある時、先輩に「あなたは、とても丁寧な暮らししてるのね〜」と言われ、「いや、これは丁寧に暮らさざるを得ない暮らしです」が、ついて出た。

「たしかに!」と、互いに笑ってしまった。私の場合は、そんな感覚なのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?