見出し画像

想像する

少し前にNHKBSでやっていたドラマ『空白を満たしなさい』。
ある日突然身に覚えのない己の自殺から復活した徹男(柄本佑)。
自殺に身に覚えはなく、その死の前後が思い出せない。自分はなぜ死んだのか、答えを追い求める物語だった。

このドラマの中で、主人公が言ったセリフが心に残った。

「生きたかった。生きたいと思いながら自殺した」。



20年以上前に自死により兄を亡くした私にとって
ガツンと響き
辛いセリフだった。

自分の人生をより良いものにしたかった。
なるはずだった。
こんなはずじゃなかった。
だから
生き直したい。
今の現実は違うんだ。

そういう思いで自死したなら
残された遺族はたまったもんじゃない。
辛い。

でも
なんか、わかる気もする。

兄は
完璧主義者、のような
理想は高いが現実が追いつかない、というような
そんな感じの人だったように思う。

本人にどんな気持ちだったのかを聞くことは叶わないから
想像することで、
楽になったり
辛くなったり
会いたいって思ったり
悲しくなったり
自分を責めたり
家族を責めたり
色々だ。

想像力があって良かったと思う。

想像力がある限り忘れない。

辛くても悲しくても
想像する。

思い出も
もしかしたら
もう想像の産物になっているのかもしれないのだけれど。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?