見出し画像

大宮見取図#2 地域の課題を食で解決!シェアキッチンに注目。

●CLOCK KITCHEN 氷川参道店
星野 邦敏(ほしの くにとし)さん

いかにも「昔からあります」な、小ぶりでレトロな店構え。
しかしそこで提供されるのは、オシャレなカフェご飯や、こだわりのテイクアウトコーヒー。
しかも、曜日や時間帯で入居するお店が入れ替わる……。
今回は、そんな摩訶不思議なお店「CLOCK KITCHEN 氷川参道店」の魅力に迫ります!


同じ空間なのに違うお店のメニューが味わえる。

お話しを聞いたのは、株式会社コミュニティコム代表の星野さん。
大宮駅前でのコワーキングスペースの運営や、インターネット上で大宮地域の魅力を発信する大宮経済新聞の編集長など、何かと地域に携わる活動をしています。
 
いくつもある事業のひとつが、今回お聞きするCLOCK KITCHEN。ひとつの飲食店スペースを時間と曜日で細切れにしてシェアする、いわゆるシェアキッチンです。
昼はカレーやおむすび、雑穀米ランチ。夜は焼肉や居酒屋。過去には高級モンブラン専門店など、どれも個性的な店舗ばかり。最近はこだわりコーヒーのテイクアウト出店も増えているのだとか。
 
星野さん「今と昔の良さが融合したリノベーション空間で、曜日によって違うものが食べたり飲んだりできるところが魅力です。この体験は、他にはない面白さだと思います。どんなお店が入っているかはHPに掲載していますが『今日は何のお店だろう』と、あえて行ってからのお楽しみにするのもアリでしょう」
  
入店している方も、副業のサラリーマンや主婦、学生などさまざま。星野さんは、飲食する側だけでなく、飲食を提供する側への想いも口にします。
 
星野さん「飲食店って、やりたい人は多いのに、不動産契約やキッチン設備の準備など、けっこうな初期費用がかかります。失敗すれば、退去費用だってばかになりません。そこでシェアキッチンで週1〜2回から始められれば、リスクを抑えられます。店舗の運営者同士やお客さんとの新たなコミュニティの創出にもつながりますし、空き物件も活用できる。地域の活性化に貢献できる仕組みになっていると自負しています」
 
飲食店を始めてみたい人の後押しが、地域の活性化につながっているようです!

飲食未経験でバナナジュース店を経営。

多方面に事業を展開されている星野さんは、なぜシェアキッチンという飲食事業に目をつけたのか。その根本には、彼の大宮地域への想いが溢れていました。
 
星野さん「大宮の街も全国的な例に漏れず、空き物件が少しずつ目立つようになってきていました。街の活気を取り戻すには、まず衣食住に関わるところからだと思ったんです。シェアキッチンなら、お店側が挑戦しやすいですし、ある程度の人気店になれば『ここの物件で出店していいよ』と、空き物件がどんどん埋まっていく……そんなストーリーを思い描いていました」
 
理想は持ちつつも、星野さんにはひとつの不安が。それが、飲食業がまったくの未経験だったこと。きちんと事業を運営していくためには、何らかのノウハウを身につける必要があると考え、星野さんはなんと自らシェアキッチンの店先に立つことを決めたのです。
 
星野さん「元々たばこ屋さんだった場所がたまたま使えるというお話をいただいたので、土曜限定で妻とバナナジュース屋さんを始めました。やっぱり何でも自分で体験してみないとわからないじゃないですか。一年ほどやってみて、いろいろ勉強になりました。それに、当時はけっこう売れたんですよ(笑)」
 
何という行動力! 地域を盛り上げるためにはこのくらいの熱量が必要なんだということを思い知らされます。

東北の若者たちの語らいにエネルギーを感じました。

 星野さんの出身は旧浦和市(現さいたま市緑区)。東京でIT会社を運営していましたが、東日本大震災をきっかけに、地元エリアに目を向け始めたそうです。
 
星野さん「震災の復興の一環として、これから事業を始めようとしている現地の方々にIT系の講師として何度か呼ばれて行ったんです。私と同世代とかもっと若い人たちがUターンやIターンで東北に戻ってきていて、日中に私の話を聞き、夜になると将来について語り合ったりしていました。すごく活気を感じたんですね。その光景を見て、地元への貢献っていいなと思いました。個人的にも20代前半で引きこもっていた時期があって、その反動というかパワーが、地元に向かったのかもしれません」
  
しかし、星野さんの地元は浦和。なぜ大宮だったのでしょうか。
 
星野さん「ノウハウはなかったのですが、まずはどこかでコワーキングスペースの運営を画策していました。なかでも大宮は、埼玉県という大きな枠で考えていて、地元エリアのひとつという感じです。後にたまたま大宮東口商店街連絡協議会会長の栗原さんと出会い、大宮の駅前にちょうどいい物件があると紹介されたこともあって。そんな流れで決めました」

 新旧いろんな表情が楽しめる街。

 あらためて大宮の魅力を星野さんに聞いてみました。
 
星野さん「駅前を中心に開発が進みながらも、古いものも多く残り続けていて、新旧入り混じっているところに面白さを感じます。街歩きをすると、斬新なことをしている今風の店、昔ながらの味わいが残る店、私たちCLOCK KITCHENのように新旧をうまく取り入れている店など、いろんな表情が楽しめると思います。大宮を訪れる際は、食と街を一緒に楽しんでほしいですね」
 
昨今はグルメ情報サイトなどで入念に下調べをしてから飲食店に行く人も多いかと思います。でも時には、事前情報なしに自分の足でお店を探すのも楽しいかもしれません。そんな思いがけない美味しさに出会うための街歩きに、大宮はぴったりな気がします!

新たな取り組みにチャレンジ。~地のり×CLOCK KITCHENでマネー教育~

 星野さん、今度は地元の見沼田んぼで新たな取り組みにチャレンジするとのこと。
大宮から車を走らせること約10分、見沼田んぼの畑で星野さんを見つけました。

子供から大人まで熱心にさつまいもの苗を植えています。「あきないキッズ」という企画だそうです。きっかけは有休耕作地がさいたま市内に増えている現状を見て、自分たちで耕作することで景観を残したいと思ったこと。また、2歳のお子さんとのおままごとだそう。

星野さん「自分たち親が最近はペイペイ、クレジットカードなどキャッシュレスでお金を払っているから、子どもたちは現金を渡してモノと交換するところを見たことがないみたいで。おままごとの時に娘がお金とモノを両方渡してきたんですよね。お金とモノのやり取りがうまく成立してないところを間近に見て、モノを作って売る。仕入れて売る流れを自分の子どもに経験させたいなあとおもったのが発端ですね。」

さいたま市内ではさつまいも収穫体験をよくやっているとのこと、それだけでなく売るところまで経験させたい。自分たちで作ったさつまいもを商店街の歩行者天国で売ったり、シェアキッチンで調理して売ったり。まさにマネー教育、そして都市農業の片鱗も見えてきます。 見沼田んぼという地の利を生かして、生産から販売まで、都市農業&マネー教育の体験に乗り出す星野さんに目が離せません。 

 CLOCK KITCHEN 氷川参道店 株式会社コミュニティコム 代表取締役 星野 邦敏(ほしの くにとし) 埼玉県さいたま市大宮区大門町3-108

この記事が参加している募集

休日のすごし方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?