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守備の問題点(ゾーンとマンツーマンについて)

北九州戦、ぼこぼこでしたね。すごく悔しい…。
実は北九州戦だけでなく似たような形で崩されていますよね。しかし、北九州戦は前半はやられていたけれど、後半は442にして持ち直した…。といわれる方が多いですが、実はそうではありません。守備のやり方を変えただけ。そのあたりについて…。栃木の守備が参考になると思いますので、そのあたりに触れながら考えていきたいと思います。

1 ゾーンディフェンス

まずゾーンディフェンスとは何か。基本的に裏へのパスや縦パス、ボランチへのパスなどゴールに直結するようなところに侵入させないことを前提としています。そのため、人ではなく「場所」を守るディフェンスです。ここでもう一つ大切なことは、ボールの取り方です。危険なところにパスを通させないことを前提にしているため、ゾーンディフェンスの場合は全員が守備組織を理解し、連動しなくてはなりません。そのため、自分たちから能動的にプレッシャーをかける場合、かなりの確率ではがされます。そのため、よほどのことがない限り、自分から能動的に守備にはいきません。考え方としては、相手の攻撃が守るゾーンに侵入したとき、「網にかける守備」がゾーンの鉄則です。

2 マンツーマンディフェンス

次にマンツーマンディフェンスとは何か。基本的には、相手のパスコースをプレッシャーをかけることで、制限し、自由にさせないこと。出どころを読みやすくなったことで、能動的にプレスをかけてボールを奪取する。ゾーンが場所で守る守備ならマンツーマンは「人」についてボールを「奪う守備」です。押さえておきたいのは、この後解説しますが、この守備は前線から守備をしないといけません。全員で連動してパスコースを制限します。そのため、ものすごく体力的に厳しいディフェンスです。北九州の守備はこれしかできないため、後半勝ってるから「落とした」と言われますが、この守備を一試合行うことは、体力的に難しい。「落とした」のではなく「落ちた」のです。ただこの守備は毎年J2の上位陣のほとんどがこれ「だけ」実践してきます。これは、J2のディフェンス陣がこれをビルドアップではがせないからです。つまり昇格には一番効率の良いサッカーです。ただこのサッカー「だけ」ではJ1では通用しないサッカーです。川崎を筆頭に、ビルドアップではがせるチームが多いからです。だからこそ、J2のうちに守備をある程度、2類使い分けること。ビルドアップを仕込むことがJ1で戦う上では絶対条件だと思います。

3 大宮VS北九州(前半のゾーンディフェンス)

なぜ北九州戦の前半…。というかなぜここ数試合やられるのか。当然、相手がゾーンディフェンスを弱点を突かれたからです。根本的な問題は、この後説明しますが、システム的には守備のゾーンの範囲外をうまく使われ、つり出されたのが問題です。

図1

541守備弱点1-1

基本的に541にした場合、図1のようにCFの脇のスペース。もう少しいうと、CFの脇のラインが人数的な穴になっています。

図2

541守備弱点2-1

図3

541守備弱点2-2

図2、図3は実際にヴェルディにやられた攻撃です。宮坂選手にCF脇の低い位置で受けられ、釣られたシャドーの裏のスペースを使われたパターンです。

図4

541守備弱点3-1

図4がここ数試合、かなりやられたパターンで、541なのに、深い位置のサイドが開いてしまうパターンです。図4のように相手SBが低い位置を取るパターンです。

図5

541守備弱点3-2

ここ数試合、大宮は541の守備ですが、523のような形で前線3人がプレッシャーをかけてるシーンが見受けられます。これがまずい。図5のようにシャドーがSBの低い位置にプレッシャーをかける場合、相手DHのパスコースが物理的に切れません。シャドーの裏にも広大なスペースもあります。

図6

541守備弱点3-3

北九州戦ではこのスペースをディサロ選手を筆頭にツートップ+ボランチに自由に使われていました。DHにとってみると、ボランチ脇のスペース、下がり目のボランチ、裏へのケアなど、選択肢が多くありすぎ、前に出れないのです。ここが問題。イッペイ選手のサイドがやられ放題だったのはここにあります。

ここ数試合、大宮のゾーンが崩されているのは前線3人。特にシャドーの選手が人に向かって守備をしており、自分の守備エリアを守るゾーン守備ができていないことにあると思います。前述しましたが、ゾーンは「網にかける守備」です。網に誘導して、網ににかかったらボールを取ればいいんです。当然、自ら穴をあけていたら、食い破られますよね。

4 大宮VS北九州(後半の442変化とマンツーマン)

後半、なぜ改善したのか。当然相手の運動量が落ちたのもそうですが、混乱した守備をマンツーマンで整備したこと。ゾーンのおかげで体力が温存されたこと。442のミラーゲームにすることでマンツーマンをはめやすくしたからだと思います。

図7

マンツーマン1-1

基本的にマンツーマンの守備の場合、図7のようにCFが逆CBに展開されないように、コースを制限。逆CFがDHをけん制すること。

マンツーマン1-2

そうした場合、高確率でSBにボールを預けるため、SHは強く出れませす。SBがダイレクトでSHやDHに出した場合も限定されてるので、予測しやすい。またこの守備の場合、裏のスペースが空くので、ここをケアするキーパーとCBが必要なのと、全員が残り時間すべてスプリントしないといけないですが、後半だけなら持ちます。

また栃木SCが顕著ですが、逆SHが高い位置、いわゆる「右肩上がり」をすることで、ショートカウンターに対する厚みを作るのもポイントですね。

監督の手腕としてかなり批判されていますが、個人的にはかなり大胆な変更で整備したので、及第点以上ではないかと思います。飲水で変えられればとか言う人もいますが、試合中にあそこまで混乱している状態で飲水ごときの時間でゾーン⇒マンツーマン+3421⇒442の変更なんてできると思いますか?普通の監督なら、後半でフォーメーションを変更かつ守備のやり方も変えるなんてできませんよ。正直、対応力は化け物かと思いました。

ちなみにマンツーマンの守備は、そこまで頭を使うことがなく、とにかく「人に行く」「コースを切る」だけなので、実は簡単ですし、シンプルです。だからこそ混乱した状態を、マンツーマンというシンプルな守備に変更することで改善していた。マジですごい。

5 どうすればいいのか

ではどうすればいいのか。ぱっと思いつくのは2つあります。

〇取りどころと約束事

正直、なぜここまでシャドーが前に出るのかがわからないです。J2のサッカーで純粋にビルドアップだけでこのゾーンを崩せるのはヴェルディだけだと思います(個人で打開は別)。川崎のようにパスワークで崩しに来るのはここだけです。その時にはっきりしてたのは、どこで取るのか。一番シンプルなのは541の4のラインに来た時にプレス⇒サイドの出させる。クロスを跳ね返してセカンド回収が理想です。

そこで、サンドバックにならないために、長いボール+今年仕込んでいるビルドアップを生かして、はがしていけばいいと思います。

とにかくいかに、網にかけるか。どこを取りどころに設定するか。これが中2日で改善できることではないだろうか。

〇栃木に見出す使い分け

もう一つは、昨年はマンツーマン一辺倒のショートカウンター「だけ」。今年はビルドアップ偏重のゾーン「だけ」。ここが根本的な問題のもう一つです。これを使い分けることが昇格…というより未来の大宮を変えると思います。

例えば栃木のように、ゾーンではめて蹴りだした後、全員がスプリントをかけてラインを上げてマンツーマンに切り替える。蹴りだして、着地するまでに、またCBが後ろや横を向いて、ロングボール蹴れないときにスプリントかけてラインを上げ下げしないといけないと思います。WBが後ろにいるから、重心が思いのも事実ですが、今期の大宮は圧倒的に守備時のスプリントがネガトラ以外に足りないと思います。この辺りは意識付けなので、中2日でもなんとかなると思います。

6 最後に(愛媛戦の予想)

スタメンに関しては今回は触れません。本音でいえば、攻撃時のビルドアップは3421で守備時に442に可変することが一番大宮にははまる気がします。逆に今までの大宮からすると、442ではビルドアップでは崩せません。

ただこの可変をしているチームがどこにあるか、申し訳ないですが考えはあるけれど、やっているチームをあまり見たことがないので、もしよければコメント欄で教えてください!

愛媛戦ですが、予想は3421のままで、約束事を何点か作って試合に臨むのではないかと思います。正直、勝てる気はあまりしません。流れも悪いですしね。色々理由がありますがシンプルに、「仕込めないから」です。

逆にポイントはその次の長崎戦です。一週間あるので、十分に仕込める時間はあります。ここで高木監督は一つの答えを出すのではないかと思います。相手は首位ですしね。

では今回はこの辺りで!

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