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大きい1つよりも小さな幸せをたくさん見つける方が満ち足りる。

6月。そう賞与の時期だ。
去年までなら「ボーナスでたらなに買おうかな?♪高級まくら?♪化粧品?♪スマホ変えちゃう?♪」
なんて、言葉ひとつひとつに音階をつけて話していたと思う。

※ちなみに私は音痴である。中学生の時はパートリーダーという真面目さを見せながらも成績は2だったりした。


満ち足りる」。
私の大好きな作家、江國香織さんの本を読んでいると「満ち足りている」という表現が出てくる。

例えば

この広い家のなかで、美弥子さんはきょうもとても満ち足りたふうに見えます。だいたい、満ち足りていない女性がジャムなど煮るでしょうか。

『真昼なのに昏い部屋』より


私はこの表現が大好き。
幸せな様が ーたとえ不足があったとしてもー 伝わってくる。
(江國作品は同時に寂しさや孤独さをも感じさせてくるところがまた良いのです)


話を戻すと、私はずっとボーナスで「高価な買い物」をすることで自分は幸せになる、満たされる、と思っていた。
ダイアナのヒールを買ってみたり、シャネルの香水を買ってみたり、マッサージ機を買ってみたり…。

けどね、30歳を目前にして気がついたのですが、私どうやら「大きな幸せ」よりも「小さな幸せ」をたくさん感じているほうが満ち足りていようなのです。

1年に1回食べる高級なお肉よりも、有名店のケーキよりも、ブランド物を買ったときの高揚感よりも

仕事帰りに飲む一本のビールだったり、コンビニで買うスイーツだったり、いつも身につけているアクセサリーだったり、大好きな本の一節だったり、

小さくても安くても自分のお気に入りのものを毎日ちょっと身につけているほうが、私は満ち足りている。心がゆたかになる。

自分が何で心を満たすことができるのかわかると、ちょっとのことでは揺れなくなる。日々の暮らしが楽になった。

江國香織で一番すきな小説『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』より。

(夫を)玄関に送りだし、窓をあけて部屋に風をいれ、洗濯機をまわし、朝食の食器を洗って鉢植えに水をやる。

取るに足らない日々だけど、でも取るに足らない日々だからこそ私は満ち足りているのだと思う。


だからボーナスはそんな小さな幸せをたくさん送れるものに、少しずつ使っていこうと思います。

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