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旅のはじまりは、いつもしおりから。

「うみちゃんのしおりが久しぶりに見たいわ」

おれは毎回、あのしおりが楽しみやったんや、と言ってくれたのがうれしくて

パソコンに残るしおりフォルダのデータを開いてみた。

旅のしおりなんて、小学生の遠足か!
そんなツッコミもあるかもしれないけれど、

一秒も無駄にしたくないせっかちな夫と、
計画表がある方が動きやすいわたしにとって
旅のしおりは欠かせないものとなっていた。

A4サイズを2分割して作るので、出来上がりはA5サイズの片手でも見やすいコンパクトなものに仕上がる。

表紙は色付きの用紙で印刷し、裏表紙にはその土地の有名な場所や食べ物の画像を貼り付けた。

しおりの内容は、おおまかなタイムスケジュール、旅の目的、食べたいもの、
おやつは300円までで、バナナはおやつに入りますか?と聞かれるとちょっとウザいあの質問の答えは先に書いておく。

その他おみやげリストや、行きたい場所の一口メモなど

うっかりすると、詰め込みすぎて厚焼きのトーストレベルになりホチキスが通らなくなるので情報は必要最大限にし携帯の中にデータで残す。

海外旅行のしおりには、英会話メモも載せていた。

●おなかが痛いです。

●トイレはどこですか?
 
●トイレを貸していただけますか?

●お腹が痛いので、病院に行きたいです。

●お腹が痛いのですが、日本語を話せるスタッフはいますか?

と、起こってほしくない、使いたくもない…ほぼ体調面を心配する英会話がずらりと並んでいて
作成したのは自分なのに笑ってしまう。

わたしの弱いお腹は、本番に弱いタイプで旅先でバランスを崩しがちだった。


旅の目的に関しては、出来るだけおもしろ回答を記入し、出発前にお互い発表し合っていた。

そしてこのしおり制作で、何よりも1番大事にしていたページがある。

それは、表紙をめくったときに現れる
はじめに…というページだった。


書いたのは2019年のお正月明け頃。
未知のウィルス、とやらをまだ知らなかった頃にわたしはしおりの中ではしゃいでいた。

あの日のわくわくを思い出すと…あれ?
なぜだか涙が溢れた。書いたのは自分。
わたしは、過去のわたしの言葉に泣かされていた。

パソコンの中に眠らせておくのはかわいそうなので、ここにも載せてみる。


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はじめに・・・。

いつだって全力で生きる

2018年、最後の日に食べたものは本場大阪の串かつ
迎えた2019年、ぼくたちは海を越えてニューヨークへ渡る

「冬のニューヨークなんて寒いから留守番でいいや…」なんて言ってみたものの

見上げた青い空の中にキラリと光るものを見つけた
 
また今度…は、当たり前にあるものじゃない
それを教えてくれたキミは今は遠いところだけれど、きっと安らかに笑って背中を押してくれたのだろう
いつかまた会えたら今度はちゃんとありがとうを伝えよう
 
ぼくたちは今を生きる

食べたいものを食べ、行きたいところに行く
会いたい人には会って 
伝えたいことは目を見て伝えなくちゃ

生きていれば後悔のひとつやふたつあるかもしれない
でも大丈夫
気付けたことで未来へとつながる
 
わたしたちは宝石の欠片を拾い集めて、シアワセのパズルを完成させていこう


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当たり前の毎日を失ってから改めて気付いた、日々を大切に生きること。

このしおりを書いた時に、すでに気付いていたはずなのに。

飛行機は乗りたくないな、
食べるものあるのかな、
治安はどうなの。
寒いから極暖のヒートテックだけでスーツケースパンパンだよ。 

なんて。
今は言いたくても、言えない文句がある。

もう少し、もう少しと言っているうちに2年が経ち
このもう少しがあともう少し…少しなのか?沢山なのか続きそうなざわざわしたニュースも目にしてしまう。

ないものねだりをしたってしょうがないことはわかっている。明日も大切に過ごそう。
今出来ることはそれしかない。

いつか行きたい場所のしおりを、フライング気味に作っておくのもありかもしれない。

そんな日々の中で生まれていく気持ちも大切にすれば、次のしおりのはじめの1ページ目が
きっとエモいことになるのだろう。

エモさが手伝って、カラー用紙を使わずしても表紙がピンク色に染まることを願うわたしなのだ。

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