【アート感想】雨の日の室内みたいな:アレックス・カネフスキー「The Battle of Shahbarghan-シャバーガンの戦い」
どうしてだろう。ここは不思議に居心地が良い。
「不思議に」というのは、ここに展示してある絵画は、一般的に綺麗だとか癒されるという類の絵画ではなく、静寂の中にどこか不穏な空気を纏っているからだ。
仮にそれぞれの絵が映画を構成している何万コマもある画像の内の一つだとして、普通ならこの後に何かしらのハプニングや変化が起きそうなものだが、これらの絵からはこの先物語が展開していく雰囲気があまり感じられない。途切れる気配のない分厚い雲のようにずっと同じような場面が淡々と続いていきそうな、そういう種類の怖さを感じる。
あの居心地の良さはそういうことだったのかもしれないと思う。例えば人から失敗談を聞いて、自分だけが四苦八苦しているわけではないんだなぁと感じて癒されるようなことがあの空間でも起きていたのかもしれない。
それは、自分の苦しみが薄まる感覚だ。
もしくは、雨の日に家に籠っているような安心感とも似ている。ザアザア雨が降りしきる日の薄暗い室内が居心地良く感じるのは、外の雨が室内に及ばないことを知っているからだ。
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