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「そういうふうにできている」さくらももこさんのエッセイ|読書感想文

さくらももこさんの、妊娠から出産までの出来事が書かれているエッセイ。

エッセイって、人の心の中を覗き見しているようでどきどきするし、くすぐったいような気持ちになる。

さくらももこさんのエッセイを読んだのはこの本で2冊目だが、もうこの世界観のとりこである。
読みやすいし、言葉のチョイスや文体が好き。

実際にはすごく辛かっただろうと想像できることも重くない表現で書いてあり、クスッと笑えたり、最後まで楽しめた。

この本が出版された30年前は、心や見えないものに対しての興味、関心が広まった時代だと聞いたことがある。
このエッセイの中でも、スピリチュアルな感性が当然のようにさらっと表現されている。
魂、波動など、聞き慣れない言葉が出てきた。
よく意味が理解できないところもあり、異空間にワープしたような不思議な感覚に包まれた瞬間があった。

驚いたのは、「この世紀末の不安定な世の中で、20年後には人類はいないと信じる若者も多い」いう内容が書かれていたこと。
いつの時代も不安定で、未来を心配するのは変わらないのだなと感じた。


印象に残ったこと

* 子供が生まれるという体験と、子供のいない人生という体験は、人生で両方いっぺんに体験することはできない。
どちらもまた違う楽しみが体験できるということ。

* 子供は私のお腹から出てきたが、”私のもの” ”私の分身” ではない。
私のお腹は、地球に肉体を持って生まれてくるための通路でしかない。
お互いに一個の個体であり、”家族”という教室に転入生がきたようなもの。

* 日常において、肉体的にも精神的にも色々な出来事が起こるが、振り返ってみると笑い飛ばせることが多い。渦中にいるときに深刻になりすぎず、俯瞰して見ることの冷静さを持つことが大切である。

* 帝王切開の手術中にわかったのは、「脳と心と魂は、全部別々のものである」ということ。
意識(魂)が脳を使用している状態=心



ここからは私の考えだが、心=身体なのではないかと最近思い始めた。

どんな感情も全て身体で感じていて、それらをちゃんと受け入れて消化していかないと、身体にたまっていく気がする。

消化というのは、出てきた感情に蓋をするのではなく、なんでそう思ったのか?と自分の正直な気持ちに耳を傾けること。

怒りも悲しみも、好きも嬉しいも、全ての感情に意味がある。

この本を読んだ後だからなのか「そういうふうにできている」のかもと思えてならない。


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