タイトル:ハッシュタグ #未来からの囁き
ミナは、夜遅くスマホを手に、ベッドで横になっていた。「未来タグ」と呼ばれる新しいSNS機能で、その日の感情や出来事をタグにして記録し、10年後に自分が読み返せるように設定していた。未来の自分にメッセージを残せるのは、どこか心が躍る。
「今日も平凡な一日だったな…」そうつぶやきながら、彼女は「#いつか叶えたい夢」とタグを残した。
だがその夜、ミナのスマホに見知らぬタグの通知が届いた。そこには、「#君を信じて」というメッセージが表示されていた。驚きとともに、ミナはタグが未来の自分からのメッセージではないかと思い始めた。
その日から、毎晩のように新しいタグが届くようになった。「#会いたい人に会いに行こう」「#勇気を出して」――まるで誰かが未来から自分を見守り、支えてくれているような気がした。
そしてある日、「#大切な人に会うために進んで」というタグが表示された瞬間、ミナの胸に幼馴染のカズヤのことが浮かんだ。遠くの町で働いている彼とは疎遠になっていたが、なぜかこのタグが彼に会うためのメッセージのように感じられた。
ミナは未来タグの示す方向に進むことを決意し、久しぶりにカズヤに連絡を取った。数日後、二人は再会し、長い間話していなかったこと、そしてお互いにとっての大切さを再確認することができた。
その夜、ミナはスマホに新たな未来タグを記録した。
「#未来の私へ、私はもう迷わない。」
ミナはこの瞬間、未来タグがただの記録ではなく、自分の心の中の声を未来から届ける手段だったのだと気づいた。
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