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ドーナツと牛乳と。エッセイの楽しみ

 雑誌に連載されているエッセイで、読んで気に入ったものがあると、その雑誌が当たりだと思い、なかなか処分できなくなる。気に入ったページだけを集めておけばいいのだが、切り離すと、そのエッセイの良さが半減するような気がする。その雑誌に載っているから、魅力が深まったりするように思えるのだ。
 クロワッサンという雑誌に連載されている俳優、松茂豊さんのエッセイが毎回いいなと思う。今出ている号にはドーナツの話が載っている。近所にできたドーナツ屋さんのドーナツは、子供のころには買えない値段で、大人になったら端から端まで買ってやると誓うところ。そういう風に欲しいと思ったことを覚えているところがいいと思う。それから、挿絵のドーナツもよかった。絵は松茂さんとは違う方が描いているが、砂糖がかかって、あんがたっぷりつまったシナモンドーナツというおやつ。牛乳にあう、という文に心惹かれる。子供の頃、おやつと一緒に牛乳を飲むのが好きだった私には、食べた時の感じが分かるし、同じように食べたいと思う。幸せだろうなぁ。

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