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やきそばの記憶

 マクドナルドのグラコロの時期になった。好きな商品なので、いつも待ち遠しい。私のとっての年の行事になっている。気にいるとそればかり食べるが、食べながら前もこの味だった、と幸せをかみしめるように食べる。
 また食べたいと思うのは、好みの味という情報と、におい、そして幸せな記憶が刻まれているからだと思う。
 車で小旅行すると、途中サービスエリアに立ち寄ることがあるが、そこで食べるのも楽しい。「ごへいもち」が好きなので、見つけるとつい食べてしまう。食べて、旅行していると再確認するかのようだ。
 子供の頃、夏休みにプールに家族ででかけたことがある。休憩で、アイスクリームやジュースを父に買ってもらった。そこのお店は軽食もあり、やきそばの匂いが漂っていた。父はやきそばも頼んでくれて、パックに入った出来立てを、家族で一緒に食べた。
 その美味しさが忘れられないのだ。自分ひとりのものでなくて、分け合ったので、もう少し食べたいところでなくなってしまった。それが、余計良かったのかもしれない。夏休みの焼きそばの味。何もない日に買って食べたら、あの味にはならないだろうと思う。美味しい匂い。そして、その匂いを漂わせながら、兄弟たちに沢山取られないよう慌てて食べたのだ。
 この時には、これを食べたい。そう思うのも幸せだ。

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